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No. 00088
DATE: 2001/05/23 02:27:39
NAME: セシーリカ
SUBJECT: いぬさがし
「どうして、屋根に、子犬が登るんだ? しかも二匹も」
知るか。知ってたらこっちが聞きたい。
えーと、昨日………五の月の二十二日だったかな……いなくなった子犬探しを隣の家の人に頼まれたのがもともとの始まりで。
四半日街中かけずり回って、ようやく見つけたら、そこにいたんだもん。
場所? えぇと、「古代王国への扉亭」の近くの、二階建てにしてはでかいあの集合住宅。
…そうそう、シタールさんとかが住んでるとこね。あそこの屋根の上にいたんだよ。いたずらにしては悪質だよね。
「最近は、そういう質の悪ぃ悪戯、多いからな」
だよね? 自分より弱い子をいじめて楽しむなんて、一度説教してやんないと。
…話が逸れちゃった。んで、その子を助けに登ったんだけど、屋根に苔が生えてて、足を滑らせちゃって……。
「………ドジだな」
えぇい、うるさい。仕方ないだろ、落ちちゃったもんは。
「んで、そのザマか。……情けないな」
自分でもそれくらい解ってるんだから言わないでってば!(じたばた)
そりゃ、確かに受け身の取り方は教わってるよ。
でも、でかい子犬二匹も庇って、自分の受け身とれるほど………子犬ったって、成長したら人が乗れるくらいになる犬だよ。重いし暴れるし……はいはい、解ってます。言い訳ですね。ハイ(投げやり)。
子犬? 無事だよ。決まってるだろ。こんな怪我した挙げ句の果てに子犬たちも助かりませんでした、なんて事になったらたまったもんじゃない。第一、そのために庇ったんだ。かすり傷だって負わせてやるもんか。
…まぁ、落ちた現場をシタールさんとヴァイシャンさんに見られて、かなり恥ずかしい思いはしたけど………。絶対、他の人にも見られてるよね。あの界隈寝床にしてる人とか………うげ、恥ずかしいどころの話じゃないじゃん、それ。
報酬? 無し。つうか、多分これの治療費で飛んでくよ。その程度しか貰ってない。……隣近所なんだから、そんなには貰えないって。第一、正規の依頼でもない、ある意味わたしが勝手に引き受けたことなんだし。
せめて落ちた先が、軟らかい土の上とかだったらよかったんだけどな。ん? ならどこに落ちたかって? ………花壇の端。そう、その煉瓦積みのところ。そこに背中と左手直撃。
「よく折れなかったもんだ」
それが自分でも不思議。左手は捻っただけだろうから二週間もすれば包帯取っていいって。あいたたた、背中叩かないでよ、全身痣だらけなんだってば(涙目)
………情けないよね、ホント。
でも、子犬は無事だったし、わたしも生きてるし。それはそれで、平気。
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