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背景説明:
大都市オランの街中にある貴族の館。
門柱に鳥が羽ばたく彫像が掲げられているのが特徴で、
巷の人間には鳥屋敷とも言われている。
主人の名は、グリオール=サルカン。
外見的特徴は中年の男性で痩身。
多少陰気な感じもするが、優しい外見を持ち、物腰も洗練されている。
彼には家族はおらず、延べ床面積200u程の屋敷(地上2階地下1階)に
住み込みの使用人数人と暮らしている。
彼の屋敷で働く使用人が、最近になって三月ほど暇をもらった為、
少なくなった使用人を補充しようと街に募集を告知した。
酒場で出会った、何でも屋のエルフと名乗った男に仕事の口を紹介され、その気になった君は屋敷を訪ねる事にした。
「ああ、あの鳥屋敷ね」
君が聞いていた門柱の事を説明すると、尋ねた人々は口をそろえて同じ事を言い、同じ方向を指し示した。
田舎から出てきたばかりでオランの街に不慣れではあったが、その屋敷は地域でも有名らしく
何度か道行く人に尋ねた所、簡単に行き着く事が出来た。
君が鳥の彫像がのる門柱をくぐり、正面玄関で挨拶を行うと、年老いたメイドが君を出迎えた。
「当家に何の御用でしょうか?」
街中で使用人募集の話を聞いた事を説明すると、老婆は君を屋敷の広間へと案内した。
案内された広間には先客がいたらしく、君の方に興味深そうな視線を送っている。
先客の歳は君と同じぐらいだろうか。きっと、使用人募集の話を聞いて同じように来たに違いない。
だが彼女は、君の方に視線を送るだけで話し掛けてこようとはしなかった。
しばらく広間で待たされた後、君たちは順番に屋敷の主の元へと通された。
「失礼致します、旦那様。募集の件でお見えになった方を案内しました」
階段を上った二階の南側に面する部屋。どうやらここが主人の部屋らしい。
部屋の内装は、適度に趣味が良く、又適度に高価そうな感じである。
主人は君に対し簡単に自己紹介をすると、仕事の期間と報酬を説明した。
期間は3ヶ月で報酬は1日20ガメル。
三月で1800ガメルにもなるのだから、メイドの仕事としては割の良い方であろう。
そして最後に、主人は君の事について幾つかの質問を行った。
「君の名前と出身地、そしてこの話を誰から聞いたのか?」
「君が現在住んでいる場所は?」
「過去にメイドとしての経験は?」
主人が尋ねてきた内容で答えを要する事はこんな所だろうか。
主人は君の目をみつめ、人柄を伺うようにしている。
当然同じような質問がもう一人にもされている事だろう。
君の返事次第では、この話はここまでとなる。そう、君は今面接されているのだ。
さて。君は主人の質問に対し何と答える?
第二話
背景説明:
大都市オランの街中にある貴族の館。
門柱に鳥が羽ばたく彫像が掲げられているのが特徴で、
巷の人間には鳥屋敷とも言われている。
その屋敷が出した使用人募集の告知を聞いて、
ラムラッケを含む二人の人間が屋敷を訪ねた。
ここ鳥屋敷の主人、グリオール=サルカンは、
君を雇用するに当たり、いくつかの質問を行った。
主人:「君の名前と出身地、そしてこの話を誰から聞いたのか?」
「出身地はムディールです。言っても誰も知らないような小さな村が私の故郷。
この話しは、酒場で知り合った何でも屋のエルフって人から聞きました」
主人:「君が現在住んでいる場所は?」
「古代王国の扉亭に宿を取っています」
主人:「過去にメイドとしての経験は?」
「経験はないけれど、なんでもやれる自信はあります」
君は緊張した面持ちで主人からの質問に答えた。
しばらくの後、最後まで君の顔から視線を外す事が無かった主人は
君の事が気に入ったのだろう、満足そうに肯くと、君に雇う旨を伝え、
先程の老婆に君を案内するように命じた。
君は老婆により、先程とはうって変わった狭い部屋に案内された。
部屋の両隅には簡易的なベッド、君には冒険者の宿で顔なじみではある、が二つあり、
ベッドの両脇には造りつけの机が、申し訳なさそうにたたずんでいる。
部屋の中央に背丈ぐらいの間仕切りがあることで、一応のプライバシーは保証されているようだが
壁はランタンの灯で煤け、お世辞にも住みよい場所とは言えそうに無い。
老婆は君に、雇うに当たっての最低限の説明を行い、
皆に紹介する為に、着替えが終わったら広間まで来るように伝え、部屋を去った。
君が一人になって改めて部屋を眺めると、間仕切りの影の中に
一緒に面接を受けた女性がいる事に今更ながら気がついた。
彼女は屈託の無い笑みを浮かべながら先程の非礼を詫び、
これからの生活と、仕事について君に話し掛けてきた。
彼女の名はフート。職業は家政婦とのことだが、君の事を冒険者なんでしょ?
と、一見して見抜いた所から、言葉通りには受け取れそうにない。
「あなたは何でこの屋敷に来たの?」
「ここのお給金、他と比べて遥かに良いけど、きっと何か有ると思わない?」
「今、付き合っている人いる?」
「あなたはお給金が出たら何をするの?」
「冒険ってどんな事をしてきたの?」
「あなたの仲間も、同じように働いているの?」
本来の性格は若い女性にありがちな、お喋り好きなようだが、
先程の君に対する態度は、就職の好敵手として警戒と観察をしていたらしい。
彼女はこれから一緒に仕事をしていく仲間、しかも同じ日に雇われた同期である。
もしかすれば何かと失敗する自分を助けてくれるかもしれないし、
逆に自分の犯した失敗をあなたに押し付けてくるかもしれない。
さて。君は彼女との会話で何と答える?
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