史書<聖ケケウ の回顧録(口述)>
( 2001/09/06)
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作者
未記入
登場キャラクター
歌い手
#AA001AX973−辺 境篇 92頁
……我らは彼の地より魔術師の残党を掃討せしめ、ファリスの威光と加護を知らしめんがため、彼の地に聖堂を建立す。 奴隷より解放せしめたる人夫数千 余、うち石切工となる五十、搬送夫二十は、伝説にのみ残るシー族の末裔と知れり。
シー族曰く、我らはもはや人にあらず、ファリスの慈悲を持て、我らを永遠の闇に封じるべし、と。 我問いただしたるが、明確たる言やなし。 ただ、彼ら の歌に真実を知るのみ。
かつて、シーと呼ばれる一族と魔術師との戦いがあった
卓越した剣の技を持つ偉大な<戦士>達とそれを束ねる<族長>を指してシーと、近隣の一族は彼らに畏敬の念を込めてシーと呼ぶ
魔術師は彼の地をも支配せしめんと、無限ともつかぬ魔術師の強大な魔法の力は偉大なシーの一族をも蹂躙していった
繰り返される数多の激戦の末に魔術師が戦いに勝ち、死の境界の向こうではシーと呼ばれる一族は魂を持ってはならぬと定められた
シーを軽視し、空虚な心を押しつけた魔術師は、シーに終わりのない命を与え 姿を変え 隷属を命じた。魔術師は暗く狭い牢獄、坑道 闘技場にシーを縛り閉 じこめ、光を奪い、自由を奪い、魂を奪った
それより数えること幾星霜
魔術師に復讐するために、シーは魔術師の力の断片さえも手に入れた
魔術師の<聖地>が地上から永遠に失われたとき、彼らは復讐の機会の到来を知る
遙かな祖先から受け継がれた偉大な剣の技と、復讐のための魔術師の力の断片を使い、遂に不遜な魔術師に打ち勝った
されど魔術師が与え奪った姿は戻らず 自由は戻らず 命は戻らなかった。足に蹴爪、首に毛の生えたもっとも低級な動物でさえも、暗い死の門を開く術を知っ ているというのに シーは人間であった頃の 魂の恩恵を取り戻すことはできなかった
いつしかシーは すべての生けるもの、死する定めにあるものを、ある時は妬み、ある時は憎むようになった
それは再び魂の恩恵を取り戻すために覚えた、存在を肯定する感情であるのだから…
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