深き森の語り手( 2001/09/18)
MENUHOME
作者
霧牙
登場キャラクター
アーカイル




エルフを嫌う人の子は 多い それは何故・・・

それはエルフが人を嫌うから

エルフは人の子を嫌う それは何故・・・

野蛮であるから? 高慢であるから?

それはエルフも同じであろう

気高き森の民だと高飛車な気持ちで人に接する
妖魔を嫌って弓や魔法でそれを討つ

それは高慢ではないのか?
それは野蛮ではないのか?

言葉は万能
そうとも言えるが、そうでないとも言える
それは誰が決めることか それは誰もが決められぬ

エルフは何故人を嫌う

人には心優しき者が大勢居る
自然を愛する者も居る

やはり人の良さは 人間界に出たエルフにしか理解できないのだろうか
すべてのエルフと すべての人の子が分かち合う日は・・・
まだ遥かなる時の彼方なのか・・・



オランの近郊の森の奥。
一本の巨木の枝に腰掛けて、エルフ――アーカイルは語る。
聴衆は誰も居ない。
否、森の動植物が聴衆だ。
だが、その語りは確かに森のエルフに向けられた物だった。
この森のどこかにある、”安らぎの宿”というエルフの集落。
そこで、この語りを行うはずだったのだが、とうとう集落は見つからず、一人誰に言うでもなく語る。
深き森がざわめく。
茂みから現れたのは、顔に傷のあるむっつりとしたドワーフだった。
「ほう、さっきから語っていたのは、あんたか」
「・・・・・・・ああ、そうだ」
アーカイルは木の根元に降り立ち、腰をおろす。
(・・・・・まさか、エルフに語りに来てドワーフと会うとはな・・・・)
数刻の、森と大地の妖精の対談が始まった。

・・・木々の向こうに、エルフが居たかどうかは・・・森の精霊だけが知っていることだった。






  


(C) 2004 グ ループSNE. All Rights Reserved.
(C) 2004 きままに亭運営委員会. All Rights Reserved.