半分だからって( 2001/10/23)
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作者
未記入
登場キャラクター
セリューサ




本当のところは今でも解らな い。
だってそうでしょ?私と他の人間が違うのはエルフの血が混じっている事・・・ただそれだけ。
生きている事には変わりが無いもの。

小さい頃から村の子供には避けられていた。
なぜかはわからない。だって私だって遊びたい子供なのに。
遊びたくって村に行くといつもいじめられた。
なんで?どうして?っと思って泣きながら家に帰る毎日。
泣くくらいなら行かなければ良いと言うお母さん。だけど私はみんなと普通に遊びたいだけなんだから。
きっと耳がとがっている事がいじめられる原因かと思って耳を切ろうとした事もある。
だけど怖くて出来なかったし、お母さんの悲しい顔が痛かった。
何時の頃だろうか、お母さんに連れられて森に行くようになったのは。
森では知らない事が多かった。それを覚えて行く楽しさ辛さ・・・だけどそんな辛さはいじめられる事に比べると全然平気だった。

そうして一人でも生活が出来るようになるとお母さんは家を出て行った。
また冒険者というものをやる為らしい。
私も来ないかと言われたけど、人が多くいる世界に抵抗を感じた。
私は今の生活が一番だと思って居たから。もしかしたらいじめられたくないからだったのかもしれないがそんな事は解らなかった。
そして私の一人の生活が始まった。
だけどなにも変わらない。しいて言えばお母さんがいなくなった事とたまに村に行くようになった事ぐらいだ。
森の生活だけでは足りない物が出て来る。そう言う物を森で取った獲物と交換しに行くのだ。
本当は出来るかぎりしたくないがでも生きて行くなら仕方が無い事だった。
友達はもとからいない。
エルフの血が混じっているからと言って見えない友達がいるわけでも無い。
どうもそちらの才能はないのかもしれない。小さい頃はなんとなく感じていたけど今はさっぱりだからだ。
べつに感じれたからと言って私にはどうする事もできないからどうでもよかった。

1年に1回はお母さんが帰って来る。その日が唯一の楽しみだったのかもしれないが後はただ生きているという感じで合った。
そんな生活を繰り返していたある嵐の日、私の家は初めての訪問者を招き入れた。
すぐ近くに村があるのにその人はそこまで行く体力もなく、薄ら見えた私の家に来たのだと言う。
タオルを貸し、夕食の残りのシチューを出す。
さっさと出て行ってほしい。どうせって気持ちがあるからだ。
だけどその人はご親切にありがとうございますと言うだけだった。
私はなんだか不思議な気分だった。だって私はハーフエルフよ?嫌われ者なんだよ?なのに・・・なんで

だから聞いたの。
「なんで普通にするのかって」
そうしたらその人は親切にして貰った人を無下には出来ないと言ったのだ。

だから次に
「でも私はハーフエルフだよ。嫌でしょって」
って聞いたら、
その人はハーフエルフだろうとなんだろうと親切にして貰った人には変わりはありませんと言うのだ。

だって私はハーフエルフってだけで無条件で嫌われるものなのに・・・。
「普通はハーフエルフと言うだけで無条件で嫌うでしょ?」
って聞いたらその人は、
そんな事はありませんと言ったあと少し間をおいてきっとその人達はあなたの・・・ハーフエルフが羨ましいのですよって言った。

羨ましい・・・そんな事を言われたのは初めてだ。
でもどこがどう羨ましいのかわからない。そんな顔をしていたのだろうかその人は続けて、
「ハーフエルフとは、もちろん悪いところもですがお互いの良い所も併せ持っていますからね。だから人間には無いものを持っているから羨ましいのです
嫌うと言うのは嫉妬ですよ」
と笑って答えた。
そうなのか?っと思いもあったけど、そうなんだと言う気持ちもあった。

その人はさらに続けた。
「ハーフエルフだからとそんなに卑屈になる事ではありませんよ。きっとハーフエルフはハーフエルフと言う名の種族なんですよ」
・・・。
「はい?一つの種族?嫌われているのに?」
その人は頷くと、
「嫌われている事は関係ありませんよ。それに私はそう思います」
と静かに答えた。

不思議な人・・・だっていままでハーフエルフだから・・・ハーフエルフは・・・って思っていたけど、そんな事はどうでもよくなった感じがした。
もしこの人がこなかったら私は何時までたってもハーフエルフだからと思って自分の殻に閉じこもっていただろ。

よく朝、気がつくとその人は居なくなっていた。
まるでハーフエルフを元気づける為の妖精に思えた。

それから母親が帰って来た日、私は「街に行きたい」と言った。
お母さんみたいな冒険者になると・・・。
森での事がきっと役に立つだろうと思うし比較的、器用な指先や身軽な体はきっとなにかの役に立つと思ったから。
お母さんは驚いていた反面どこか喜んでいるようでも合った。


私は街に出る。
きっとハーフエルフだからと白い目で見られたりいじめられたりするだろ。
だけどその時はこう思うし、言ってやる。
「なに?そんなに私が羨ましいの」って






  


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