錆びた黄金−8− ( 2002/08/29 )
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作者
松川彰 タルノ
登場キャラクター
同上



◆ そして流れ始める ◆

 ドゥーバヤジットと“三つ指”、エルウッドがマーファ神殿に足を踏み入れた。その頃、ピルカとクーナは猫を探していた。エルウッドからの情報、そしてマーファ神殿の前で出会った、クォーツという若い盗賊からの情報で、トーマス・ブギーマンが使い魔らしき猫を連れていたと聞いたからだ。猫を捕まえるのは難しい。だがそれも、人間ならばの話である。草原妖精ならば、人間が通れない隙間でも通れるのだから。
 使い魔を捕まえても、トーマス・ブギーマンを捕まえられるわけではない。だが、使い魔の行動で幾つかの推測をすることは可能になる。
 猫を追う草原妖精たちが、猫と…そしてもう1人の人物と出会うまでにまだしばしの時間がある。


 そして神殿では、リッフィルが待っていた。情報を得ようと一度は盗賊ギルドに足を運んだものの、顔なじみの盗賊に幾つか事情を聞いたあとは、イエメンが気になって戻ってきたのだ。友人であるマーファ神官の女性がイエメンを保護してくれているはずだが、やはり気になった。
 本来、彼はカーナを心配していたのだ。リッフィルはカーナに好意を抱いている。守りたいと、そう思っている。そして、ぎこちないながらも、カーナも自分に多少は好意を抱いてくれていると思っている。そう信じていたからこそ、カーナがこういった事件に巻き込まれていることを知って、助けようと思った。そして実際、カーナとエルメスをイエメンのもとからも助け出した。
 ただ…それは本当に正しいことであったのか。
 そう迷い始めている自分に気が付く。冒険者として…いや、人間として、麻薬には抵抗がある。それ以上に、麻薬に溺れることにはひどく嫌悪がある。だから、あの場からカーナを連れ去った。だが、あの時のカーナの目を考えるなら、カーナは麻薬というものを抜きに考えてもイエメンのことを思っているのではないかと迷いが生じているのだ。
 カーナ自身がそう望むなら…と。
 思いかけて、首を振る。たとえそうであっても、麻薬を許容する理由には決してならないと。


「ひと足遅かったようだな。……あんたが今回の事件の頭か? イエメンなら…ついさっき逃げたところだ。私も彼を追うつもりだが…」
 リッフィルの説明に、ドゥーバヤジットは眉をひそめた。
「逃げただぁ!? あんのデカブツ野郎が……! オレたちだって追うに決まってんだろ。ってぇか、てめぇ何モンだっ!?」
「リッフィル。魔術師だ。カーナとエルメスの友人でね。……エルメスに聞かなかったか? イエメンのもとから最初に彼女たちを助け出したのも、路上で倒れていたイエメンを見つけたのも私だ。そちらの事情は…顔なじみの盗賊に聞ける分くらいは聞いたが、それ以上のことは知らんよ。ただ、だからと言って、知りたいとも思わない。私は私なりの理由で、イエメンを探したい。………あんたに許可してもらえないなら勝手に動くだけだが?」
 そう言ったリッフィルを、一度睨みつけておいてから、ドゥーバヤジットは肩をすくめた。
「…………エルウッド。一度ギルドに報告に行ってくれや。集合場所は、奴らのアジトがある近く。林があるはずだからその中で。途中に印を残しておく。帰りに治療院によって、あの医者センセイ連れてこい。どうせ部外者が混じるんだ。医者センセイをのけモンにするのも可哀想だろ。結末は見届けさせてもらうってぇこと言ってやがったからな。ついでに、ミニアスにはカーナ見張っとけって言っといてくれや。
 ……ってなわけだ。部外者とギルドが手ぇ組むことはもうとっくに承知してる。だからてめぇも好きに動きな。魔術師だってぇんなら、使い甲斐もあるだろ。……で? おめぇなりの理由ってのは何だい? イエメンに恨みでもあんのかい」
「恨みなんかない。ただ……そうだな。彼を殺したくないから、というだけでは理由にならないだろうか。私はカーナが好きだ。だが、カーナはイエメンを……。ならば、イエメンを殺したくない。相当に中毒は進んでいるようだが、出来るだけの治療を試したいと思ってる。事件が片づいたら…イエメンを預からせてくれないか? もちろん、そのために、出来るだけの協力はする。私という魔術師を雇う報酬がイエメンの身柄だと思えばいい」
「ふん……てめぇの女を攫った相手のために、ってか。ご苦労なこった」
 そう言い放ちつつも、ドゥーバヤジットはリッフィルの提案を却下しなかった。


 神殿から出てきたドゥーバヤジットとリッフィル、エルウッドを出迎えたのは、玄関先で待っていたクォーツだ。
「…で? 俺に何か出来るかい? ギルドの方から、こっちに向かえって言われたからには、最後まで手伝えってことだろうと思うから、何を押しつけられても今更文句は言わねぇよ」
 肩をすくめて苦笑してみせる。
 彼は、街で見かけた怪しい人物のことをギルドに報告に行っただけだったのだ。だが、彼が報告した人物がトーマス・ブギーマン本人と思われるため、ギルドはその情報をドゥーバヤジットに渡すようにとクォーツを派遣した。
「ああ。ちょいと荒事だぁ。覚悟しな。……エルウッド。治療院に寄ったら…そうだな。エルメスを連れてこい」
「それは構いませんが。どうしてですか? ハハッ! 彼女にはミニアスと一緒にカーナを見張っていてもらうのでは?」
「見張りは他にも誰か若いのをやっときゃいいだろ。……っつぅかよ、エルメスとカーナてぇのは仲が良かったんだろ? オレなら、てめぇの手で仕返ししてぇと思うからよ」
 そこへ、草原妖精が1人駆け込んできた。クーナである。
「ドゥーバ! 今、ピルカが向こうの幹部を見つけた。多分、“甘味屋”って呼ばれてる男だと思う。トーマスの使い魔かもしれない猫を抱いてたよ! 今、向こうはピルカ1人なんだ。誰か…手伝って!」
 その声に反応したのはクォーツだ。
「……旦那、どうせ荒事だ。細かいことは抜きでいいんだろ? それなら俺が行ってくる」
「ああ、好きにしな。そっちは任せた。こっちゃぁ、イエメンとトーマスを追う」
 その言葉が終わらないうちに、クォーツとクーナは駆け出して行った。


◆ 逃げ道 ◆

 イエメンの目の前に、男が立っていた。イエメンには馴染みの男だ。どこといって特徴のない、どちらかと言えば善良そうな中年の男。
「……坊。会えてよかった。トーマスが呼んでいるよ」
 黒猫を抱いて、艶のあるその毛並みをゆっくりと撫でながら“甘味屋”はイエメンにそう言った。巨漢の体のあちこちに浮かぶ、どす黒い染みを見ながら。
「か、甘味屋ぁ、おれは……」
 カーナとエルメスをバリオネスに連れ去られたあと、イエメンの頭の中にはカーナのことしかなかった。周りの風景は何ひとつ目に入ってすらいなかった。路地裏でミニアスと相対した時も、ミニアスは見えていなかった。ざらつく土の感触を頬に味わうと同時に、意識はモールドレの色に包まれていった。
 そして目が覚めたら彼は神殿にいたのだ。マーファ神官がそばにいた。そして、イエメンからカーナを連れ去った魔術師バリオネスも。
 もとより、傷の痛みなどほとんど感じてはいなかった。死ぬかも知れないという恐怖心すらイエメンの心の中には無かった。それらはすべて、モールドレが溶かしていった。
「お、おれ…神殿から逃げてきて……そう、少し前から随分と頭の中がすっきりしてんだ。ああ、生まれてこのかた、これくらい冷静だったことはないよ。甘味屋、おれは…カーナさんに会いたいんだ」
 『凶暴な麻薬中毒患者』を見張っていた神殿の人々は、『穏やかな顔つきをしたマーファ信者』は見過ごした。穏やかに、冷静に。そうすることで、イエメンは見張りの目を欺くことが出来た。
 血をぎりぎりまで満たした杯の表面のように、イエメンの中は冷静だった。そして、カーナという一滴を求めていた。その一滴があれば、真紅の液体はこぼれ落ちることが出来る。杯の縁を乗り越えることが出来る。
 自分の体に異変が現れ始めていることは、神殿を出るころに気が付いていた。晴れ渡っているはずの昼間の空が、やけに薄暗い。マーファ信者用の粗末な服の肩口からは、皮膚の染みが見えている。ガデュリンとトーマスの薬で抑えていたはずの、ブラウンケーキの後遺症であることは一目瞭然だ。同じようにして死んでいく人間たちを、イエメン自身も何人も見てきていた。
「そうかい、それがおまえの欲しいものか。なぁ、イエメン坊、俺はおまえのことを、ずっと可哀想な奴だと思っていたよ。それでも………ああ、今更だな、どうでもいい。うん、だから…おまえの欲しいものは何でも用意してやる。せめてそれくらいしか出来ないからね」
 “甘味屋”が小さく囁く。“甘味屋”も気づいている。イエメンの目の焦点が微妙にずれていることを。そして肌に浮かぶ死の前兆を。
「トマトを……カーナさんはきっとトマトを欲しがる。お、おれは…どうでもいいんだ。でも、カーナさんと会った時には、ちゃんと喋りたいから…トマトがあればおれも助かる。そ、そうだろう? だって、カーナさんはおれのことなんか何とも思っちゃいねえんだ。カーナさんは、おれじゃなくてトマトを…だから、カーナさんのために……トマトが必要だよ。それを持っていなくちゃ、おれはカーナさんに嫌われちまう…」
 イエメンが低い声で呟くそれに、“甘味屋”が頷いた。懐から幾つかの包みを出して、イエメンに握らせる。
「これはまだジュースにしてない。粉のままだ。ジュースにしてあるのも…そうだ、1つあったな。持っていきな。カーナのことも大丈夫。今頃は俺の手下がカーナを迎えに行っているから、おまえがトーマスの所で待っていれば、そこに連れて行ってやるよ」
 封をした小瓶も一緒に、手の中に押し込む。
「ああ、ああ…ありがとう、甘味屋ぁ。う、嬉しいよ。おれ、何でも協力するから。あんたとトーマスの言うことは…うん、聞ける、大丈夫だよ」
「じゃあ、トーマスのところに行きな。慌てるんじゃないぞ。おまえは慌てたら、いろいろとしくじってしまうからな。…そうだ、この黒猫を抱いていくといい。柔らかい毛を撫でているのは気持ちがいいから、きっとおまえも落ち着く。それに、この黒猫がおまえの行き先を知っているよ。道が分からなくなったら、黒猫に聞くんだ」
 黒猫──トーマスの使い魔をイエメンに抱かせて、“甘味屋”は笑った。
「あ、ありがとう。そうだな……気持ちいいな。うん、柔らかくて暖かくて」
 猫を撫でて、イエメンも笑った。
「おれはちょっと…そうだな、少し遅れていくよ。片づけることがあるものだからね」
 イエメンにそう声をかけて、“甘味屋”はイエメンを送り出した。


 遠ざかっていく巨漢の背中を見て、“甘味屋”が溜息をつく。どうやら、自分は見付かってしまったようだと考える。少し前から、自分に注がれる視線に気が付いていた。
「……ちっ。しまったな。荒事は得意じゃないんだが……」
 自分の懐にはまだ、粉のままのモールドレが残っている。腰にはダガーが下がっている。
「どうにかならなければ、これでどうにかすればいいか」
 ふ、と“甘味屋”は笑みを漏らした。自分についていた尾行は、手が足りないのか、イエメンのほうはとりあえず見逃したらしい。だとすれば、自分がここで時間を稼げば、イエメンはトーマスのもとに辿り着く。イエメンにも言ったとおり、カーナのところには別の手下を向かわせてある。遠からず、イエメンはカーナに会えるだろう。
 もともとそれが仕事だったんだから、と。“甘味屋”はダガーに手を伸ばした。
「引きつけて、時間を稼いで……そうすりゃ、俺は…用済みだな」
 そうして、“甘味屋”は目の前に現れた草原妖精──ピルカと対峙した。草原妖精1人なら何とかなるかと、そう思いかけた頃、ピルカの傍にもう1人の草原妖精クーナと、それに連れられてきたクォーツが姿を現す。
 …こりゃぁ…駄目だな。
 “甘味屋”の口もとに笑みが浮かぶ。ひとつだけ、気がかりなことがあった。“琥珀”と呼んだ女のことだ。自分と一緒に逃げるなら、街はずれの集合場所に来いと言ってある。自分と…そしてクスリと縁を切りたいなら、街に留まれと。残ることを選んでも、自分は決しておまえを殺さないと…そう言ってある。
 彼女が、どちらを選んだのか。それが知りたかった。それでも、自分は生きて捕まるわけにはいかない。自分の中には、トーマスに関わる情報が幾つもある。組織全体の情報が幾つもある。それをギルド側に渡すわけにはいかない。だとしたら、自分の意識があるうちに、自分の意志でそれを封じよう。だが…もしもギルドに捕まって、情報と引き替えにすれば命乞いは効果的だろうか、とふと考える。渡せない情報と言うのは、逆に考えれば武器になる。だが、“甘味屋”はその考えをすぐに捨てた。自分は、深く関わりすぎている。そして、麻薬を多く売りすぎた。どんな手段を使っても、ギルドは自分から情報を引き出す。引き出した後は、どんな約束をしていようと縛り首は免れない。ひょっとしたら、すでに引き出す必要すらないのかもしれない。だとしたら…自分の命はすでに、1枚のガメル銀貨よりも価値がない。
 計算はすぐに終わった。ここで逃げられないのなら、死ぬしかない。
 ……ガデュリンもトーマスもジェイコブも。みんな嫌いだった。麻薬が愛を助けるものだなんて認めたくなかった。そんなものは全て歪んでいると思った。なのに、自分は売人だ。
「結局、俺も同類か」
 死への恐怖はなかった。それでも、懐にあるモールドレに手が伸びる。今まで、ただの一度も自分のためには使ったことのない麻薬に。それだけの量を一度に飲めば確実に死ねるだろうという量が手元にある。
 ためらいもせずに、“甘味屋”はその全てを口に入れた。
 ピルカが声を上げて駆け寄るのが見える。だが、渡すわけにはいかなかった。手にしていたダガーを、顎の下に押し当てる。
 笑ったのは…何故だろうと思った。けれど可笑しくてしょうがなかった。可笑しくて面白くて楽しい。矛盾に満ちた全てが。
 ──愛を求めて麻薬を生み出したガデュリンが。
 ──愛した女を殺したトーマスが。
 ──愛する者を捨ててまで麻薬を買う客たちが。
 ──麻薬を嫌いながらもそれを売る自分が。
 そして、黄金よりも眩しい琥珀を手に握りながら、それでも黄金を求めた自分が。


「いやぁっ!! やめてぇぇっっ!!」
 ピルカの声が通りに響く。“甘味屋”の首から噴き出した血が通りを赤く染める。
 隣にいたクォーツが、無言でピルカの視線から“甘味屋”を隠した。それでも、その手を握って、ピルカが“甘味屋”の顔を見る。
「……クォーツ。どうして? ねぇ、どうしてよぉっ!? どうして、あの人は笑ってるの!? どうしてあんな顔で……あんな、楽しそうに笑えるのよっ!?」
 ピルカと同じように、クォーツも“甘味屋”の顔を見ていた。そしてクーナも。
「あ…」
 クーナがクォーツの袖を引く。その意味はクォーツにもわかっていた。笑みを刻んだ“甘味屋”の口もとが、かすかに動いたように思えたからだ。
「……こはく?」
 錯覚かとも思った。目はすでに何も映していない。首からあふれ出す血の勢いが、唇をそんな形に動かしただけなのかもしれない。
 クォーツが手を握りしめる。爪がわずかに掌に食い込んだ。
 “甘味屋”が何を守ろうとして自分の命を賭けたのか、何を思って最後に笑ったのか、最後の…本当に『最期』の、声にならない呟きが何を意味するのか。そんなことは何1つわからなかった。ただ、分かっているのは、ここで1人の売人が死んだこと。そして、売人が持つ全ての情報は闇に葬られたこと。
「冗談じゃ…ねぇっ!」
 吐き捨てるように、クォーツが言う。ぐ、と握った拳にピルカがそっと触れた。
「……あたしも。あたしもそう思う。冗談じゃないよね。…麻薬なんて許せない。麻薬なんて無ければ、このおじさんは死ななくて良かったんでしょ? こんな風に…こんなの…間違ってるよ。こんな風に誰かが死ぬなんて間違ってる!」
「ああ…ああ、そうだな。間違ってる。こんな生き方…そして、こんな死に方」
 クォーツの視線の先で、“甘味屋”の喉が、ごぶりと鳴った。生きている証なんかじゃない。それはただ、気管の中にまで入り込んだ大量の血液が、喉の奥で移動しただけの音。それでもクォーツには、自分の言葉に“甘味屋”が同意したように…『その通りだよ』とでも言ったように、そう聞こえた。
「死なせねぇ…」
 呟いたクォーツを、ピルカが見上げる。
「死なせてたまるもんかよ。トーマスの爺ぃ。死ぬって形で逃げることなんか…許してたまるもんかよ!」


◆ −記憶− 錆びた黄金色 ◆

 トーマス、もうやめよう。私は……もういいんだ。……違う、そうじゃない。疲れたというのじゃないんだ。私は、見つけたんだよ。あの日の黄金を。君も私も、そしてジェイコブも。私たちはいつだって、心の中であの日の黄金を求めてきた。あの日、私たちを救ってくれた黄金を。
 気づいていなかっただけだった。もう、死んでしまったけれど、アデンは私に黄金を与えてくれていたんだ。彼女と共に過ごす時、私は黄金色の夢を見た。満ち足りた気分になった。何故なのか……分からなかった。だけど…だけどね。彼女が死んでしまってから、小さなイエメンを見ているうちに気づいたんだよ。
 トーマス。本当の幸せも本当の愛も、決して麻薬では手に入らないよ。
 ………愛していた。私はアデンを…そしてイエメンを愛していた。もちろん、君たちもだ。君もジェイコブも。“壁のない家”にいる患者たちも。だけど、本当の意味で私を愛してくれたのは、アデンとイエメンだけだったよ。……あの日の黄金は、きっとそういうことだったんじゃないのかい? 君にはまだわからないのかい? 恐怖心を溶かすのは麻薬なんかじゃない。警戒の棘を丸くしてくれるのはブラウンケーキなんかじゃない。怯懦に痺れる心を慰めてくれるのはモールドレなんかじゃないんだ。
 ………………モールドレ。君が開発している薬だね。いい名前だと思うよ。私たちは闇の中から金色を目指した。黒から茶へ。茶から黄土へ。そして黄土から黄金へ。
 だけどね…モールドレ…それは、腐った黄金だ。死んだ黄金だ。……それは黄金にはなれないんだよ。
 気づいてくれ、トーマス。全てが腐り落ちる前に。何もかもが爛れていく前に。



  


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