穴熊の貴公子(自称)が語る華麗なる冒険譚
( 2002/06/08 )
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作者
穴熊の貴公子(自称)のPL
登場キャラクター
穴熊の貴公子(自称)
いいか、テメェら、耳かっぽじってよーく聞きやがれ!
これは昔、俺様が今の下僕達(仲間の意)と知り合う前に別の三人組──そう、仮にエルフのヒョロ、ドワーフのヒゲ、グラスランナーのチビとでもしておくか──と組んで活躍していた頃の話なのさ。
あるとき、俺様たちは長雨による崖崩れで新たに発見された古代遺跡への一番乗りを果たしたんだ。それが偏に俺様の徳からくる積善の余慶なのは説明するまでもナッシングだとは思うが一応、念を押しておく! 万事、俺様のお陰だぜ! ヤホゥ!
意気揚々と乗り込んでいった俺様たち。
だが、そこは未探窟の遺跡。その先には何があるのか、どんな危険が待ち構えているのか、それが判る奴は誰もいネェ。しっかーし、明敏たる俺様は直ぐにその遺跡の奥にはお宝がタンマリであろう事に気がついちまったのさ。ビコーズ、何故ならば、古代王国墳墓マニアたるチビが幾つかの証拠を挙げて、自信満々に、キッパリと、スッパリと、その遺跡が墳墓である可能性が高いと断言しやがったからな。
おーっと、無学なテメェらには詳細な説明は省くが、俺様はそれを聞いてピーンときたね。ピュキーンと閃いちゃいましたね。そう、ここは古代王国人の墓に違いネェと!
すなわち! 副葬品ガッポガッポで俺様ウハウハの図式成立! イィヤホゥ!
話を戻すぜ。墓だ、墳墓だ、墓標なのさ。
何者をも恐れぬ勇敢なる俺様と、卑しく哀れな下僕達はヅカヅカと内部へ入り込んで行った………………冢(「づか」/墓の意)だからヅカヅカって効果音のジョークは高尚すぎてテメェらにはチョイと難しかったようだな? こいつァ失敬! 俺様はグレイトだからパンピーの三歩先を行って影すら踏ませネェのは仕方ナッシング、許せや、許せよ、なんなら、師と呼ばせてやってもいいんだぜ? ゥォィェ!
俺様の予測通り遺跡の中には厄介な罠や敵が幾つも待ち受けていやがった。
バーット! だがしかし! 何人たりとも、凄腕の冒険者たる俺様を阻む事を出来やしネェ。俺様たちはチビの器用さと、ヒョロの魔術と、ヒゲのパワーを結集して次々と難局を突破していったのさ。そう! 俺様たちは穴熊! 中でも俺様は穴熊の貴公子と呼ばれる遺跡探窟のスペシャリスト! 世に存在する全ての遺跡は俺様に踏破される為にある! 無論、その中のお宝も全て俺様のものだぜ! イィヤホゥ!
そして、遂に辿り着いたぜ最深部。そこは肌が粟立つような冷気の立ち込める石室で、部屋の中央には豪奢な石棺がありやがりましたよ! そして、おそらくはあの棺の中に愛しの副葬品ちゃんが!
すなわち! お宝ザクザクで俺様ガッポリの図式成立。イィヤァハッ!
昂ぶる感情を抑えるように慎重に、且つ、歓喜の雄叫びをあげながら猛烈ダッシュで一番乗りした俺様は棺の蓋を開けるぜ。開けたぜ。開けましておめでとう!
…………ところが、だ。棺の中は裳抜けの穀のカラッポっぽ。
ガッデェーム! スカを掴まされちまった! 悲嘆に明け暮れる俺様は哀しみのあまり、石棺に遺跡最深部到達一番乗り記念のサインを刻み込まずにはいられなかったのさ。
【穴熊の貴公子の惨状!】
ってな。
…………すると、だ。何処からともなく、唸るような低い声が聞こえてきやがった! 不気味な声が石室に谺しやがったんですよ! アンビリーバブォ!
『我はカストゥールの呪術師アンスバッハ。我が眠りを妨げる汝は何者か、不遜にして傲慢、倣岸たる汝に呪詛を与…………って、オイ、貴様、何処へ行く、オイ、待てってば、こら! 待たぬかー!!』
逃げたさ。ああ、逃げたのさ。俺様たちは猛烈に激烈に逃げたんですよ。
奴の言葉が終わるのなんて待ってやるもんかよ! 呪われてたまるか。お宝が貰えないのに呪いなんて貰いたかねーぜ。必死だったさ、死にもの狂いだったさ。
あの瞬間、俺様は間違いなく神の領域を垣間見たに違いネェ。おお、神よ。
結果、俺様が当然の一着、永遠の僅差でチビが二着、少し遅れてヒョロが三着で遺跡からの脱出に成功。
色々と確認してみたんだが呪詛の影響を受けた形跡はなかった。流石は俺様……ほら、なんつったっけ、カ……カモ……カモシ……そう! カモノハシのような足が自慢の快速を発揮すれば、呪詛から借金取りまで、ありとあらゆる追手からパーフェクトに逃げ切れる事が目出度くも証明されたわけだが、そんなオメデタムードに水を差す奴がひとり…………ヒゲの野郎だ!
待てど暮らせどヒゲの野郎が出て来やしネェ!
心配気に出入り口を覗き込むチビ、虚空を見つめて何言か呟いてるヒョロ、そして、決めポーズの研鑚に余念のない俺様! 三者三様、誰もが奴の身を案じていたところ、漸く、顔面蒼白になったヒゲがふらついた足取りで出てきやがった……と思った途端! 突然! 突如! ぶっ倒れちまいやがった!
くわっ! これがあの呪術師の呪詛なのか! 俺様はそう直感したね! 確信したね!
いいですか? テメェら、なんてったって!
「のろいのドワーフ」ですよ?
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