オランより船で南に2日、直系2キロにも満たない小さな島。クリーヴ島。
遥かな昔ブレインブフランと呼ばれる街が存在していた。 が、今はその土台だけを残し遺跡として草に埋もれている。 長らく無人島だったこの島に、新王国時代になって鉱脈が発見され、それと同時に収容所も造られた。 罪人達を収容し鉱山で働かせている。 そんな鉱山で事件は起った。
トンテンカントン。 坑道にツルハシをふるう音が響き渡る。 終わる事無く繰り返される、穴掘りの作業。 昼飯の直前に遺跡にぶち当たった。 ツルハシで外壁をぶち壊し、開けた空間が囚人達の前に広がる。 その囚人の中の一人にバリオネスがいた。 遺跡に中は10メートルほどの四角形で左右に扉があり、天井からは5本の紐が垂れていた。 バリオネスが注意を促すが、囚人達はそれを無視して中に入っていく。 「アンディー!アンディーちょっと来てくれ、遺跡を掘り当てちまったよ。」 アンディーは囚人のリーダー的存在で、問題があると良く呼ばれる。 「アンタからも言ってやってくれ、不用意に入ると危険だと・・・」 そう言っている間に右側の扉が開き、何人かの囚人が次の部屋に飛び込んでいく。 「てめぇら!!死にたくなかったら不用意にその辺のものを触るんじゃねえ!」 アンディーがそう叫ぶと部屋の中は静かになった。 そして隣の部屋から歓喜の声と断末魔の叫びが連続して起きる事になる。 「すげぇよ、銀だ、銀の首飾りだ。オレのモノだ!そっちにも二つあるだろが・・・・ん?なんだ?わぁぁぁぁぁ!!」 それが悪夢の始まりだった。 隣の部屋から黒曜石で出来た犬のようなものがゆっくりと出てきた、その数3匹。 呆気に取られる囚人達に犬のようなものは襲い掛かっていく。 このモンスターがオブシディアンドックだと言う事にバリオネスは気がつかなかった。 だが、危険を察知していち早く行動していた。 ツルハシを取りに走り、振り向いて構える。 すでにアンディーを始め2、3人の囚人が地面に倒れている。 「囲まれた・・・」 発動体さえあれば何とかなったであろうが、ツルハシ一本では3匹の攻撃をしのぐ事は出来なかった。 一匹にはダメージをあたえられたが、他の2匹に噛み付かれ絶命した。
数日後、オランのとある酒場。 「クリーヴ島の収容所から定期連絡が途絶えたってよ。」 「反乱でも起きたんじゃねえのか」
「分かんねえから調査隊がでるって話しだぜ。ほらそこに募集の張り紙があるだろ。」
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