剣士奇談〜マ剣 取りックス〜( 2003/11/13)
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作者
あつし
登場キャラクター
バシリナ、リック、ロビン



顔合わせ

騎士の栄光亭の一室。
ロビンは揃った面子の顔を見回したあと、こう切り出した。
「ソムスカの魔剣を狙う。舞台はレックス中心部近くの貴族の館跡だ。警備のゴーレムがまだ生きてる可能性も高い。トラップも多いだろう。だが皆安心しろ。 この遺跡攻略のため、腕利きの『鍵』を用意した!パンパカパーン!今年のオラン・ダーツ・マスターズ優勝者、リックさんでーす!・・・・おい。・・・・オ イ!早く入ってこいよ!」
「お前の紹介は長い上に恥ずかしいんだよ!」

「えーと、じゃあもう一人紹介するから。バシリナ」
ロビンの声に応えてブロンドの女性が室内に入ってくる。
「バシリナと申します。アノスより参りました」
一礼して自己紹介を紹介終えるバシリナ。
「お前ら!バシリナの胸が大きいからってソコばかり見るなよ!失礼だからな」
「・・・ッ!失礼な!」
平手打ち
「あが・・・!奥歯がぁッ・・・!」
「何がしたいんだ。お前は」



道中


パダへの街道の途中

名誉挽回しようとバシリナに話し掛けるロビン。
律儀に受け答えするバシリナ。
欠伸しながら前を歩くリック。

「バシリナの金髪は綺麗だなあ」
「そうですか?ありがとうございます」
「やっぱり髪以外も金色なわけ?」
「ええっと・・・・・・ぁ」
「そうだよなあ、金色だよなあ」
「・・・・・・」
「アノスじゃみんな金色なわけ?」
「・・・ッ!失礼な!」
平手打ち
「あが・・・!なんで・・・。今度こそ奥歯がぁッ・・・!」
リックがまた大きな欠伸をした。



遺跡に入って


「よし、ここからはリック、バシリナが先行してチームを守ってくれ。俺は後方を守る」
「わかりました」
「ああ」

遺跡内部・回廊
チームからやや離れて先行する二人
「バシリナ」
「はい?」
「遺跡に潜るのは初めてか?」
「そうですが、それが何か?」
「いや別に」
そう言い残して歩を早めるリック。それに合わせてバシリナも歩を早める。
「バシリナ」
「はい?」
「もっと下がったほうがいい」
「でも、こうして先行してチームを守るのが私の役目です。私は自分の役目を――」
「さっきのロビンの言葉か?それはいいからもっと下がれ」
「承服しかねます!」
そう言ってバシリナはリックより歩を進めた。
次の瞬間、リックがバシリナを後方に突き飛ばしていた。
予想していなかった方向からの力に倒れるバシリナ。当のリックはバシリナを無視して床を調べている。
「何もなかったか」
「な、なにを・・・ッ!」
「悪く思うなよ。これが俺の役目だからな」
「バシリナ。ここでは、遺跡では俺が触ったものだけを触れ。俺が歩いたところだけを歩け。戦いがお前の役目でも俺が良しと言ったところだけで戦え。真面目 なのは結構だが、これだけは肝に命じておけ」
「・・・・・」
「バシリナー!大丈夫か!?リック!お前ーッ!」
慌ててかけてきたロビンがリック掴みかかる。
「違うんです!私が軽率だったから――」
「さっき、押したついでにバシリナの胸触っただろ!俺だってまだ触ったことないのに!バシリナ!コイツにも奥歯がグラつくビンタを!」
「――――」
「しかもお前!助けた後になんか格好よさげなセリフ言いやがって!それでバシリナの好感度を上げたつもりか!?」
「あーーッ!うるせえ!!」



催しちゃって


遺跡の最深部
扉と鍵穴を調べるリック。
リックを補助するロビン。
バシリナはその間に残りのメンバーと共に後方の様子を確認しに行っていた。


「シリンダーは・・・・。ち、暗いな。ロビン」
「あいよ」
ロビンが扉に灯りを近づける。
「・・・5本ピンか。ロビン、4号のピック。・・・・・・・おい4号!」
「あ、わりぃ。ちょい小便」
ランタンを口に咥えてズボンを降ろし始めるロビン
「っておい、ここでやるきか・・・・?」
「え?なに?(じょぼぼぼ)」
「身体をこっちに向けるんじゃねえ!」
「なんだよー。俺が離れたら灯りがなくなるだろうが。・・・…あ」
「・・・・・・ぁ」
いつの間にか戻っていたバシリナと眼が合うロビン
「あ、いや、これは違うんだよ!俺はこんなとこでショ・・・!」
慌ててバシリナを追いかけようとするロビン
「衣服を整えてください!」
そう言い残して、バシリナは足早に去っていった
「み、見られた・・・・。よりにもよって尿をしてるところをぉぉぉッ・・・!」
「いいからパンツ履け」


「でもよく考えれば生理現象だし・・・・。うん、バシリナも全然気にしてないよな」
「いやそれはないだろ」
「ウゥ・・・エゥーーッ・・・!」
「落ち着けって。・・・不本意だがお前のお陰で良いことも分かった」
「え・・・?」
「床をよく見ろ」
「あ、ああっ!」
「何も無いと思っていた床に隠し蓋があった。お前の小便が隠し蓋の小さな溝に流れ込んで浮かび上がりやがった」
「そ、そうか・・・!じゃあこれを見つけるために仕方なく小便してたとバシリナに言えば!」
「まあ無理だろうな」
「ウゥ・・・エゥーーッ・・・!」



魔剣を見つけて


遺跡の最深部・隠し部屋
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・ゴメン」
渋い顔をしたリックとバシリナに謝るロビン。その手には刃が鮮やかな青の剣が握られている。
そして退路に立ちはだかるこの魔剣の守り手、スケルトン・ウォリアー。
「このバカ、魔剣を見るやいなや、調べもせずに飛びつきやがって・・・・」
「だってよぉー・・・・部屋に入ったらグラマー美女が裸でベッドに寝そべってたら誰だってダイビングだろ?・・・・いや、俺は自制するけどさ」
「(全然説得力ありませんわ・・・・)」
「兎に角、こいつと鍔迫り合っても得はない。ここは逃げの一手だ。殿はロビン、お前の役目だったよな。やれるか?」
「お、おう!任せろ!お前らの背中、この俺が預かった!」
一歩一歩、距離を縮めてくる竜牙兵。リック、バシリナ達は気を伺い、ロビンは剣を構える。
「ロビンさん、どうかご無事で」
「ああ、バシリナも」
「魔剣はお前が持ってるんだ。死んでも戻ってこいよ」
「おう。リック。ありがとな」

ロビンが竜牙兵に斬りかかる。それを合図にリック達は出口に駆け出していった。



魔剣?


遺跡内部・回廊
回廊を走り、出口に向かうリック達。
「まあ、アイツは大丈夫だろう。無理に倒すわけじゃないし、今のアイツには魔剣がある」
「心配していません。ロビンさんは自分の役目を必ず果たしてくれます。そう信じています。だから私達もロビンさんの信頼に応えてロビンさんの退路を確保し ます。それが私達の今の役目です」
「そうだな。アイツは逃げ足だけは速いから、早いとこ退路を確――」
「お、おぉーーーーいッ!ちょっと待ってくれよーーッ!」
「なっ、早過ぎるぞ!しかもお前、竜牙兵連れてきちまってるじゃねえかっ!」
「あの、ロビンさん・・・・役目は・・・・」
「だってよぉー!折れちゃったんだよ!魔剣がさぁ!」
「なんで魔剣を折るんだよ!」



そしてオチ


パダ・円卓の誓い亭二階
「レプリカだなこりゃ」
見事に折れた魔剣の刃を見ながらリックは言った。
「外装は魔剣のようにしてあるが、とても実戦に耐えれるようなもんじゃねえ。装飾品みたいなもんだな」
「マジかよ・・・。価値のほうは?」
「・・・・こっちの鞘のほうが価値があるんじゃねえか?」
「ぐああああぁっ!!」
テーブルを蹴飛ばし暴れるロビン。
「でも、どうして装飾品であるレプリカが隠し部屋に、しかも竜牙兵に守られていたんでしょうか」
「もしかしたら館の主も本物と思って大事に保管していたのかもな。一度も使うことなく」
「そんなことはどうでもいい!!」
倒したテーブルを起こしてバンとテーブルを叩くロビン。
「今、重要なのは!どうやってオランにいる連中を誤魔化すかだ!」
「はぁ」
よく解らないという顔のバシリナ。
「おい、リック。その折れた剣を鞘に収めてみてくれ」
「お前、まさか・・・」
「ホラみろ!鞘に収めれば折れてるなんて全然わからん!これで行くしかねえ・・・・」
「あの、それは人を騙す――」
「違うぞバシリナ!俺だってこんな真似はしたくない。なにも収穫が無くたって生きて帰って来たことを喜び誇りにする!それくらいの気持ちはある。しかし な、俺の知ってる某半妖精はその潔い心意気を台無しにするような言葉を吐くんだ!解ってくれバシリナ!」
「はぁ」
やっぱりよく解らないという顔のバシリナ。
「リックも!これより箝口令をしく!」
「安心しろ。情けなさ過ぎて話す気にもならねえ」
「・・・・・案外、館の主はこの魔剣が偽物ということを知っていたのかもしれませんね」
「え?」
「なるほど・・・・。それを知られたくなくてあんなに厳重に守っていたってわけか。いつの時代も人の虚栄心は変わらねえからな」
「なになに?」
「ロビンさんにはソムスカの魔剣より、彼の黒い冠の逸話のほうが必要ですわね」
「何なんだよいったい!」

そして、この魔剣は今もロビンの腰にぶら下がっていたりする。




  


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