フォーセリア昔 (でもない)話し  【キャナルも人の子】( 2003/11/20)
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作者
カムイ・鈴
登場キャラクター
キャナル、ヘイズ



むかぁ〜し、むかし、でもなく最近の事。

オランと言う大きな街に、二人の冒険者がおったそうな。

その内の一人、ヘイズと言う名の若者は、駆け出しの冒険者じゃった。

身の丈は他の冒険者と大して違いは無かったが、顔が子供っぽ過ぎて、
いっつも同業者からかわれておった。

しかしそれは別にヘイズが他の皆から除け者にされているという訳では
無く、親しみを込めてやってくれている事じゃった。
ヘイズもそれを理解して、毎日つらくも、楽しい日々を過ごしておった。

ちなみにヘイズは女子が大の苦手で、色沙汰事にはめっぽう弱いという
変わった性格をしておったそうな。
そのヘイズが最も苦手な内の一人と思われるのが、もう一人の冒険者、
キャナルと言う女神官じゃった。

キャナルはヘイズの女が苦手と言う性格を知ってか知らずか、
と言うか100%知っておきながら、

「ヘ〜イッズさんっ♪」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

顔をいきなり急接近させてヘイズの反応を面白がり、

「ヘイズさんて、恋人とか居たりする?」

「ななななななな何!? 急に何さ!! 何なの!?」

と、逆セクハラみたいな真似をしては、大変ヘイズを困らせておったそうな。

毎度毎度やられてばっかりのヘイズは、どうにかしてキャナルを
こらしめてやろうと考えた。
じゃが、キャナルの邪神を纏わせた笑顔に睨まれると、どうして良いか
全く分からなくなってしまい、結局はキャナルに良い様にからかわれて
終わってしまうのだった。

「そうだ! キャナルの弱点を見つければ良いんだ!」

正面から行っても無理ならば、と。ヘイズはある意味極論に達した。
しかしキャナルの弱点を自分は知らない。
そこでヘイズはキャナルと同年代の女性の弱点を調べる事にした。

「・・・・・・・・だから、僕は女性が苦手なんだって・・・・」

そしてそれも無理と言う結論に至りおった。

仕方なくヘイズは郊外の草原でノラの子犬とたわむれる(現実逃避)
と言う結論を出した。

しかしそんな平和な時間を過ごす彼の背後から、ひっそりと
邪悪な笑顔を浮かべたキャナルが近付いて来よる。

「今日は後ろからいきなり抱き付いてみようかしら?
きっと驚愕の余りに失神する事請け合いねぇ。うふふ♪」

ファリス神官である、あくまでもファリスに仕える、ファリスを崇める
キャナルは、クスクスと笑いながらそっとヘイズに近寄る。
と、その時彼女の目に、一匹の子犬が飛び込んだ。
ヘイズとたわむれていた子犬である。

「・・・・・・・・・い、」

「え? あ、キャナル・・・・・」

「・・・・・・・・・・・い、」

「・・・・・胃?」

「・・・・・・・・・・い、ぬ・・・・・」

「・・・・・・胃、縫う?」

「いぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

キャナルはその生物の名を連呼した後、ヘイズから百m程離れた場所で、
小さく縮こまってガタガタと震えおった。
ヘイズはそんなキャナルと子犬を見比べ、ようやっと理解したんじゃ。

「キャナル。大丈夫だよ。子犬はもうどっか行っちゃったから」

「・・・・・・・ほんと?」

「うそ」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

さらに距離を置くキャナルを見て、ヘイズは思わず噴出してしまいおった。

「あはは、犬が苦手なんて可愛い弱点だなぁ」

キャナルもやっぱり人の子、という事であった。

ちなみに、犬と別れた後のヘイズの身がどうなったかは、
誰も知らなんだそうな・・・・・・・。






  


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