記憶の中で 前 編
( 2004/01/30)
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作者
うゆま
登場キャラクター
ホッパー・ビー
(詳しい事はEP「恋文の中で」を参照してください)
かつて、一人の女性がいた。
百年前ほど前のオランに。
その女性は”灰色の塔の娘”と呼ばれていた。
その女性は恋をしていた。
一人の神官に儚い想いを抱いていたから。
そして想いを伝えるために手紙を記した。
生涯を終えるまでに百通の恋文にして。
若き頃、夢や希望、幸福に溢れた手紙。
やがて、己を取り巻く現実に打ちのめされ、絶望に侵食されていった。
それでも、一つの希望が彼女を深淵より救った。
叶わぬと知っても、恋をした神官がいたから。
病に冒され病床に上でも、想いは女性の全てだった。
だから、最後まで書き上げた、下位古代語でしたためた恋文。
様々な謎を含めて、其れは暫く闇に眠った。
新王国暦515年、5月。
其の手紙と僕は出会った。
雑貨商リストールさんが、屋根裏部屋から見つけたという手紙。
下位古代語で書かれているので解読して欲しいとの依頼だった。
彼は手紙の内容を知りたいとの事だった。
手紙百通を。
この時の依頼料は銀貨百枚。
手紙が百通と知っていれば・・・いえ、何も聞かなかった僕が悪かった。
でも、僕は受ける事が出来て良かったと思う。
謎を解き明かすという賢者の使命・・・大袈裟かな。
解読して、内容そのままを告げた。
依頼主のリストールさんは落胆した。
儲けに繋がる内容ではないと判断して、手紙は僕に渡された。
そして、其れから。
半年以上が経った。
今、僕は其の手紙を前にしている。
解き明かされない謎が目の前にある。
同時に、半年の間、様々な人の協力を得た資料がある。
解決する為の鍵。
全てが解き明かせるわけではない。
解き明かして何が得られるか分からない。
でも僕は。
解き明かしたい。
薄暗い部屋の中で、過去への探索が始まる。
今は亡き、灰色の塔の娘の”記憶”の中へ、僕は挑む。
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