知 者と愚者(5)〜わらべ歌達人事件〜
(2004/07/19)
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作者
U-1
登場キャラクター
ワーレン、アル
「平和だよなぁ」
「そうですねぇ」
いい加減、聞き飽きた会話である。
勿論、言ってる本人たちだって同様だろう。
いつものようにいつもの場所で、いつもの二人が呟いていた。
つまり、暇な午後、橋の下で、ワーレンとアルの二人が、である。
「いつものように謎かけですか?」
と、これは今までに無い展開だった。いつもならば、ワーレンの方から口火を切るのだが、今日は、それより先にアルが話題にする。
「謎かけな〜。それも何かマンネリって気がするよなぁ」
最近、昼寝の時間が削られて些か寝不足気味のワーレンが答えた。それでもワーレンが橋の下にいるうちの、3回に1回くらいしかアルは同席していないのだ が……。
「要するにネタ切れなんですね?」
「ば、馬鹿な事を言うな!」
ワーレンは狼狽と憮然の間の子のような表情で語り始めた。
・・・
えっとだ。そうそう、あれは、この前の窃盗事件より前の事だ。
俺は、ある殺人事件の調査をしていてな。参考に童歌を調べる必要があったんだ。見立て殺人っていうのか。そう、ある題材に準えての連続殺人さ。その調査で な。
いくらオランが大都市でも、そうそうある類の事件じゃない。それだけに発生したら躍起になって解決しないと衛視の面子ってもんもあるしな。それで、題材と された童歌を調べたのさ。
いや、まあ、犯人は検挙したし、事件の推理をさせても長くなるだけで、面白くもなんともないしな。問題は事件と別のことさ。ああ。だから童歌なんか知らな くても解ける奴は解けるだろうし、駄目な奴は駄目だろうな。
童歌ってのは、口伝が基本だ。だから、それを調べるにも書物に頼るわけには、いかなくてな。んで、俺は童歌に詳しい老人を頼ったのさ。その老人がついで にって話してくれた話題からの出題だ。そう、参考人が参考までにってな。
……話戻すぞ。
これは童話と呼んだ方が良いかもしれんが、とあるエルフと猟師の息子の話だ。
「やあ。最近お母さんの鼻歌をシルフが届けてくれないけど、元気かい?」とエルフ。
「ママは去年、知らないおじさんと出て行っちゃったよ」と猟師の息子。
「それは、知らなかった。お気の毒様。そう言えば、お父さんも森へ来ないけど……」
「パパは先週、井戸に落っこちたんだ」
「それは、大変だ。で、もういいのかい?」
「大丈夫だと思うよ」
問題:何故子供は大丈夫だと思ったか?
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回答
正解:「大丈夫だと思うよ。助けてくれって叫び声が昨日から聞こえなくなったから」
・・・
「……ワーレンさん」
「ああ?」
「いま創ったでしょ、その話?」
「うぐっ……」
オランは今日も平和である。
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