知 者と愚者(6)〜衛視よ、永遠に〜
(2004/07/21)
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作者
U-1
登場キャラクター
ワーレン、アル
「謎かけだよなぁ」
「そうですねぇ……って、えっ?」
のっけから意外な展開である。いつもなら、寝そべるワーレンの隣にアルが腰を降ろし、四半時ほど、取り留めもない会話をしてから謎かけなのだ。それが今 日に限っては「即時に」である。そもそもワーレンは寝そべってさえいなかった。アルが近寄って来るなり、座る暇さえ与えずに言う。
「くだらん会話は省こうと思ったのさ。結局、お前さんも謎かけに挑みたくて来てるんだろうからな」
「ええ、まあ、それも理由ですけど……」
アルは、何時にないワーレンの言動に些か戸惑いを覚えつつ答えた。
「なら、躊躇するこたぁ、何もない。やるんだろ?」
「そうですね。よろしくお願いします」
かくしてワーレンは、これまでにない真剣な表情で語り出す。
・・・
最初に言っておこう。お前さんとの問答もとりあえず今回で最後だ。
いや、別にお前さんの言動に気に入らない点が、あったわけじゃないさ。
ただな、アル。例え冒険者でも民間人には変わりない。そんなお前さん相手に、いくら過去の話だからって衛視の扱った事件を話題にするのは、まずいだろうと 思ったのさ。ああ、今さらだがな。
特に俺の場合は「冒険者として」ってのと「衛視として」ってのの差が曖昧だしな。
そんな訳で、俺が関わった事件に関する問題以外となるとネタがねぇんだ、これが。
(……まあ、後輩冒険者のアルに話せるネタがって意味だが……)
ん? あ、いや、なんでもない。
んな訳で、今回を最後にしようと思ったのさ。
その埋め合わせって訳じゃねぇが、今回は俺が考えた問題を出そう。今までのようなナゾナゾに毛が生えたような問題と違って、今回はリドルと言って差支え ねぇと自負してる問題だ。もっとも賢者のお前さんにも、そう思ってもらえるかは、出題してみねぇと解らんがな。
とりあえず、前提だ。
『竜の開かれた口より大きく、赤子の手のひらより小さき者。恵みと破壊を齎し短命にして不滅の存在。それは何者か?』
ああ。有名なリドルだな。そう、答えは『太陽』さ。
この問題を踏まえた上で、俺から出す問題に答えてくれ。
問題:先の問答を証明した奴……それは誰か?
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回答
ふむ、そいつがお前さんの答えってわけだ。
さあ〜な。残念ながら俺も正解を知ってるわけじゃねえからな。だからお前さんが、それを正解だと思うんなら俺にそれを証明して見せれば良いのさ。
それが賢者の仕事だろ?(にっ)
な〜に、世の中そんなに簡単に答のでる問題ばかりじゃないって助言だよ。
・・・
「はあ……あ、でもそうですね」
「だろ?」
「ええ。証明できるくらいの賢者になって見せますよ。絶対にね」
「おっ言ったな? まあ、とりあえずは今度の旅を無事に済ますことだな」
「はい」
こうして詩人は旅立ち、衛視は今日も街を守っている。
彼が居るからオランは今日も平和なのだ。
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