| MENU | HOME |

裏通りにて
セシーリカ [ 2002/01/11 1:38:03 ]
  時は夕刻、そろそろ暗くなりはじめた頃。
 遅刻しそうだったので、近道をしようと思って裏道へと足を向けた。
 いつも通る近道だったから、少し油断していたのかも知れない。

 三つ目の角を曲がったと同時に、誰かが組み付いてきた。
 しかも、ご丁寧に口元に布を押しつけられた。これは薬だな、と直感する。人さらいの常道だし。
 …なんて考えてる暇はなかったけど。
 大声を上げようとしてた矢先だったから、うっかり、もろに吸って目がかすんだ。
 だめだ。つかまる。

 と思ったんだけど。
 そいつはすぐに、わたしをぽいっと離して逃げ出した。
 逃がすか、と立ち上がろうとしたけど、もろに吸った薬のせいで、声を上げるのもろくに出来ない。
 出来ることと言えば……げほげほむせながら、逃げる相手の風体を確認することだけ。
 茶黒いローブ。フードで、髪や顔は見えない。口元にはマスク……そこまで。


 神殿に戻り、泥だらけになった信者服を力任せに洗いながら考える。
 結構、個人的に恨みは買ってる方だと思うけど…あんな風体の奴に恨みを買った覚えはないし。
 第一、わたしに恨みがあるならあそこで逃げないでどうとでも出来たはずだし……
 ……つかまれた感じからして……あれは多分男だ。だけど、それほど逞しくはなかった。
 …ってそうじゃないだろ自分! …わたしは、誰かと間違われたのか。それとも…うーん。
 暗くなりかけてる刻、背格好を別にして、目立つ物と言えば信者服と…髪の色程度だし。
 似たような背格好の子に、それとなーく聞いてみようかなぁ……。

 ……あー。自分で仕事増やしてる気がしてきた。



(PL注:この宿帳は現在イベント掲示板で進行中の「失われた力」に少々関連しています)