| はじめての家出 |
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| ミリィ [ 2002/05/15 3:20:03 ] |
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| | …冒険者になるんだ。
そう決めて、家を飛び出した。後ろなんて見なかった。パパとママがなんか言っていたけれど、聞く耳持たなかった。 思い返せば、ひとりで家を出たことなんてほとんどなかった。典型的な箱入り娘。でももうそれも終わり。 行く当てもないので、手近にあった店に飛び込んだ。 それが、きままに亭だった。
最初にオーダーした紅茶を飲み終えたら出て行くつもりだったのだけれど、急に人が入ってきたので出そびれてしまった。仕方なしにあたしは二度目の紅茶をオーダーした。 深夜にあたしみたいな子供が(認めたくないけど、16じゃまだ子供と言われても仕方ない)うろついてるのが珍しいのか、入ってきた人達が次々話し掛けてきた。「冒険者になりたい」あたしがそういうとみんながこぞって反対した。
だけど。 だけど、あたしは冒険に出なくちゃいけない。神殿の孤児院にいる子供たちを助ける為に。お兄ちゃんの夢を継ぐ為に。
「別に諦めろって言ってるんじゃねえよ。行き当たりばったりしてねえで基本的なとこも考えとけってだけだ 遠出するなら弁当忘れるな。野宿するなら毛布忘れるな。それと一緒だ」
…うん、そうだね。そうかもしれない。 あたしは少し急ぎすぎてたのかな。 もう一度家に帰ろう。ちゃんと両親と向き合って話をしよう。
でも、絶対に冒険者になってみせるから。 |
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