飴玉と決意 |
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ルルゥ [ 2002/05/25 2:47:51 ] |
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| 「ナメたマネしてくれるじゃないッ!覚えてなよ、"月影"の3代目のおにーサン!!」 思わず、僕は拳を握りしめて叫んでた。手には、紙袋に入った荷物…今日の収穫。 …僕がこんな商業地区で、叫んだのには理由がある。説明しようと思ったら、昨日の夜に遡らなきゃネ…。
僕はあるネタを追ってる。詳しくは言えないけどサ、"螺旋の珠"ってのを探してて。ソコへの鍵を探してるんだ。 形?知らないよ。物かもしれないし、謎解きかもしれない。…笑う事ないでしょ、不思議な事じゃない。そもそもネタなんて初めはそんなもんサ。 繋がる糸を探る内、僕はある人に目をつけた。それが、"月影"の3代目。"月影"って言えば、その突飛な服装と伝説とも言える盗賊の腕を持った人。2代目もそうだった。だったら、同じ格好してるおにーサン…エピゴールって言ってたっけ…も相当な腕と踏んで。 交換のネタ?もちろん用意したよ。おにーサンが欲しそうな情報を調べ上げて。
おにーサンと接触したのが昨日の夜。向こうは、僕の情報を聞かないで、結局教えてくれた。 …そこで、おかしいって思うべきだった。おにーサンは、僕の事ガキ扱いしてただけだったんだ。だって、たどり着いた先は、正真正銘ただの菓子屋だったんだから。…そう、螺旋の名前を臭わせた僕に、店のおじさんは飾り模様のついた飴玉を出してくれたヨ。子どもがよく食べる、甘い菓子をね!
――覚えてなよ。この僕、ルーシィルゥドが"舞"の名に賭けて。おにーサンの探ってるでっかいヤマとやら、邪魔…もとい、先に解いてやろうじゃないのサ!!!きっちり、僕をナメてくれたツケは払ってもらうんだからね! |
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危機一髪のその後 |
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エピゴーヌ [ 2002/05/27 19:02:06 ] |
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| んもォ〜、嘘じゃないって言ってるでしょうォ〜、オーギュストのおじさんさぁ。ホントにホント。「月影」の格好してたら、ギルドの関係者に話しかけてこられて、大変だったんだってばサァ。そう、完璧に「月影」の後継ぎだと思われたこともホントだよ、ウッフッフー。
ボクことエピゴーヌは、現在オランの町中にあるカフェテラスで、同じ趣味をもつ友人との語り合いを楽しんでいた。オーギュストって言うんだけど、歳は離れていても、彼とボクは、冒険者に対して憧れる気持ちを共有してるんだ。 おじさんは、先日の夜ボクが体験したことを、全部をまだ信じられない様子だ。昼間から酒の入った顔で、兜の下の薄い頭を掻きながら話を聴いていた。
あぁ〜、背筋が寒かったよォ。権力背負うキャラなんてもう懲り懲り。ウフフ、今度は、プリシス生まれのバード、「代弁者」ヘリオンでもやろうかな? ボク楽器、彼が使ってたのと同じのもってるんだ。格好つくよ〜。モチ、演目は反戦の歌。話しかけて来るのは暴力きらいな人。いいと思わない? ッツーか、楽器弾けないや、ボク。
え、何が? ああ、うん。まあ、素顔も名前も、判らないようにはしたし、大丈夫じゃないのかナ? 気にしないで、まわりに話しちゃってよ。 ん〜、ところであの髪の短いコ、名前は何だったかなぁ…。確か、ルーシィルウド…。ホント、人は見かけによらないもんだよね。
その時、カップを傾けたボクの目に、肩を怒らせて通りを歩いている彼女の姿が見えたわけで。 吹きこぼれて膝にかかった紅茶にも構わず、咄嗟に、流れる髪の毛で顔を覆い隠しました。
あ、熱ぅい! はあはあ…。ねえ、おっちゃん、忘れてよ、今の話。……うん、やっぱそう、嘘なんだ。思いつき。だから、誰にも話さないでよネ! |
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