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不機嫌の理由
ラス [ 2002/06/02 4:31:28 ]
 不機嫌だと。会うヤツみんなにそう言われる。宿の店員にまでも。
<>そりゃそうだ。自分がいちばんよく分かっている。俺が不機嫌なことは。
<>
<>今までの2人部屋から1人部屋に引っ越そうとした。(EP参照
<>そうしたら、宿の店員曰く、来月にならなきゃ空きがないという。
<>めんどくせぇから宿ごと引っ越すかとも思ったが、考えてみればそのほうがよほどめんどくせぇ。
<>
<>なのに、2人部屋で1人で寝ていると空いてる寝台が気にかかる。
<>それを眠って起きるたびに確認するのもうんざりだ。
<>仕事で馴染みの娼婦のとこにでも転がり込むかと、花宿にいけば、甘ったるい声と匂い。それもまたうんざり。
<>
<>「いること」に慣れるのは時間はさほどかからなかった。
<>「いないこと」に慣れるのは、どのくらい時間がかかるんだろう。
<>
<>今までだって、特定の女と過ごしたことはあったし、一緒に暮らしたこともあった。
<>自然消滅だったり、どっちかがどっちかに最後の言葉を切り出したり。
<>どっちにしろ、今の状況とそう変わりがあるわけじゃない。
<>なのになんで…と思ったら、今夜の寝台の提供主が教えてくれた。
<>
<>「あんたは、女と寝たことしかなかったんだね」
 
メンタルケアの一例
A.カレン [ 2002/06/06 3:35:04 ]
 「あんた、相棒でしょう? もうちょっと親身になってやったらどう?」
じゅうぶん親身になってるつもりだけどな。
「それにしちゃぁ、ずいぶんと突き放してるようにみえるけど」
余計な事はしたくない。
「神官さんでしょう? 元気付けてあげたらいいのに」
それはあいつの気持ち次第。
「助言とかさぁ……」
今はいらないよ。
「なんでよぉ」
蹴躓いて転んだ時に、一緒に笑い飛ばして欲しい時と、かまわないで欲しい時ってあるだろ? 今回はかまわないほうがいいんだ。
「そういうものかしら。あたしだったら相談にのって欲しいな〜」
そりゃ、あんたはそうだろけど、相手はラスだ。(内心:あんたより数段プライドが高いんだよ)
「じゃぁ、何にもしないつもりなの?」
変に気を回さない。いつもと変わらない。そういう態度を取りつづけることは、何もしないとは言わない。
「相棒のために何かしてるってこと?」
ちゃんとしてるだろ?
「そうかなぁ……」(首を捻りながら厨房に消えて行くウエイトレス)


ちゃんとしてるよ。
ラスがじっくり考える時間を奪わないようにさ……。
 
二日酔いの効用
ラス [ 2002/06/06 23:49:08 ]
 スラムの酒場でシタールと会って、結局は愚痴を聞かせた。
俺が不機嫌なのは、自分自身に対してなんだろうなと気づいてはいたから、
せめてそれを納得しないうちは、八つ当たり防止の意味も含めて顔見せないでおこうと思ったのに。

普段、酔い潰れるまで飲むなんてことは滅多にしない。
っていうか、普通に飲んでたら、潰れることなんかないからだ。潰れることってのは無防備になることでもあるし。

スラムから、多少はマシな酒場に場所を移動して、酒瓶を並べていく。
チャ・ザの朝餐の鐘が鳴ったところまでは覚えてる。その後は記憶にない。
どれだけ飲んだかなんてのも覚えてない。途中で数えるのをやめていた。


そして、気が付けば宿の寝台の上。時間はすでに夕方近いんだろう。
シタールが運んでくれたのかと思って、体を起こす。
……と、頭の中でオーガーが踊り狂ってるかのような頭痛。
……………なるほど、これが噂に聞く二日酔いというやつか。
俺自身はあまり出会ったことのない、“酒飲みのライバル”。ん〜…なかなかに………手強い(汗)
滅多にしたい経験でもないが…それでも夢も見ずに眠り込んだことは確かだ。

タイミングをはかったように、控えめなノックの音。
返事の前に扉を開けて入ってきたのは、小さな桶を抱えた相棒。
何も言わずに横に来て、桶の中の水で濡らした布を絞る。それを俺の顔に放り投げてきた。
どうやら、頭冷やして寝てろということらしい。俺が素直にそれに従ったのを確認して部屋を出ていく。

しばらくして戻ってきたカレンの手には、湯気を立てたカップ。香りはどうやらミントティー。
それを受け取りつつ、カレンの無言の問いに答える。
「酔い潰れるってのも…たまには悪くねえな」
相棒がかすかに笑った。
「シタールに感謝だな」
おまえにもな…と思ったけど、口には出さずにおいた。

カップの中の紅茶は、猫舌の俺がすぐに飲める温度だった。