| ものぐさオライオン |
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| オライオン [ 2002/12/27 13:32:13 ] |
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| | 年の末で行き交う人が多いということで、市場の護衛をやった。 事も無し、首尾良く手に入れた金で、さままに亭にやってきたんだ。
酒場じゃ、ベイターという男が、遺跡で手に入れたお宝の検分をしてた。 話しぶりからも、豪快で、練達の穴熊だとわかった。俺は穴熊としては駆け出しだが、そんなことはお互い気にせず、酒をくみかわした。 お宝には流石に目を惹かれた。首飾りに、エクルスという双子の魔術師の指輪、その方割れという代物だ。 謂われのあるお宝ってのはほんと、心躍るなあ。俺も手に入れてェ。
その夜の乾杯の相手は、もう一人いた。フェネッタって女だ。 男と宝の両方に逃げられたって、管巻きながらやってきた。 「明日があるさ」「あたしは明日しか見ない」 「神の差配を待て」「誰かの救いを待つなんてまっぴらだ」 一応慰めるつもりが、そんな不毛なやり取りになっちまう! とくに落ち込んじゃいなかったみたいだ。察しが悪かったな。 大仰に投げやりになるのはガス抜き。そういう奴ほど絶望とは縁遠いもんじゃないか。 自分を引っ掛けた詐欺師を身付けるや飛び出していったよ!
ベイターが、仕事を紹介できるかもしれないと言う。 これって美味しいなぁ、穴熊、久しぶりにやってみたいぜ。この男に酒を奢り返すためにもさ。 まあ、そのためにまた、仕事の世話にもなるんだけどな。 冒険者ギルドの、仕事募集の張り紙には、調子の良いこと書いておこう。 なに、その通り頑張ればいいっての! ベイターにも得をさせてやれる。 いつになくやる気になってるからね。 |
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| ザ・ブルーハーツ |
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| オライオン [ 2003/01/19 15:16:02 ] |
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| | 今日の仕事は、迷い馬を探すもの。農村の牧場から逃げ出した20匹、森や 街道や川のほとりを探し回ってくたくたさ。 その代わりに、一週間はしのげるだけの稼ぎを得ることができたよ。
憩いを求めてきままに亭に行くと、俺と同じで、まだ駆け出し冒険者と見える戦士のザッシュと、珍しく表に出張ってたマスターがいて、話し相手になって貰った。
ザッシュは、はにかみながらの話しぶりだったが、冒険への意気込みをまっすぐ持ってる男に見えた。パダから来たってこともあるんだろうな。 名誉、宝、魔剣…。まるで目の前にあって取り逃したもののように、いつか必ず手に入れられると思っているらしい。 そういう風に考える男のことが、幸運の女神はお気に召すんだろうな? 俺もうかうかしてられんぜ。
俺と同じくらいの歳のくせ、マスターは若けぇよなあ。 あそこまで精力溢れたマッチョだと、娘さんは時代錯誤だと思うんじゃねぇのかな? まあ子供が男なら憧れになるかもしれんがなぁ。パダで穴熊をやってた頃もあったらしい。 長年やってんだもんな…。ためになる話をよく知ってんだから、また今度聞かせてもらおう。
ヘヘ、そんな話をしていて、明日にかける意気込みを貰っちまったぜ。 けど一晩寝たら、まぁた面倒臭さを司る精霊が、周りにふわふわ漂ってやがるっての。 こうやって昨日を思い出すことで、やる気をつなぎ止めるとする。 |
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