| 石積みの記 |
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| ダウリガンガ [ 2002/12/31 12:54:18 ] |
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| | オラン北部の、リンド領の間道計画の調査書がようやく上がりました。遺跡を避けたい、山を削るのはイヤだ、資金は限られている、と難題ばかりで。一つを取ろうとするとひとつは諦めなければならないですのに、限りなく要求は大きく。予算を大分多く算出してしまいましたので…まぁ、ボツになるでしょうねぇ…
気がつくと、世間はいつのまにか、過ぎ越しの祭りの準備。家族連れの忙しそうな笑顔が、男やもめには羨ましいですねぇ…
と、ここにも、過ぎ越しに関係のなさそうなお顔の方がおりました。ラーダの神官、ラザラスさん。
ウィストーク領の痩せた地帯で、土壌改良に勤しんでおり、上流のランドラ川の治水まで手を出しておられるとのこと。これは大変です。領主と農民の視点の違いの狭間に立って、ずいぶんと考えこんでおられるようでした。
結局、民が望む事、民が自分たちのためになるものだということを納得して、自分たちで資金を出し合うぐらいのことでないと、物事うまく進まないんですよねぇ。で、下からたちあげても、上ではねられちゃったりして…。
ラザラスさんは、一人で背負って頑張ってしまう方ですから、とてもしっかりされてる方ゆえにいっそう、いつか、押しつぶされるんじゃないか、などと思ってしまいます。
正しいことを言うがが故に、触れられたくない所に触れて、人の恨みを買っちゃうんじゃないか、と、心配してしまうところがあるんですよねぇ。
なんて、神官の方にこんな事をいっちゃぁいけないんですけれども。信仰のある方は強いですが、おこがましいなりに、ああいう方には、できるだけ、お力になりたいんですよねぇ…。
そのラザラスさんに、神殿の縄張り争いが、計画を阻害し、地方の発展の妨げになることがある、なんてことをこぼしてしまいました。 あの方だと、問題から目をそらさず、まっすぐに受けとめ、野放しにして先送りになんてことはなさらない、と、ついつい、普通なら憚られる事にも、口さがなく言ってしまいます。
あぁ、言っている傍から、ラザラスさんの苦労を増やしてしまったかもしれません。
にしても、ラザラスさんの歴史関係の知識は流石ですねぇ…。わたくしは技術畑で現状しか見なくてよく失敗してしまうのですが、地域の歴史をきっちりと把握しておくと、後に起こる文化的な問題が予測できるので、ああいった方は本当に貴重です。 ラザラスさんといっしょにお仕事ができたら、楽しいでしょうねぇ…。
あ、水利の資料がそろいましたか、ありがとうございます。 へぇ、瓦礫を籠にいれて、あとからモルタルを固める蛇籠工法ですかぁ。これだと、土手や堰を作るのに、期間もコストも、都合よさそうですねぇ。乾季のうちに集中してやれば、村単位だと、3ヶ月ほどでできますか。村人の勤労奉仕で大分節約できますし。
ぜひ、ラザラスさんに持っていきましょう。問題は土砂をどこから持ってくるか…砕石できるような岩場が近くにあればよいのですけれども。
え、許可がないと貸し出しダメ?…そんな世知辛いことを仰らないで下さいよぉ〜…
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