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鳩の出る唇
ランブレッタ [ 2003/01/19 14:03:28 ]
 詐欺は金額の大小に関わらず、人間世界の相互不信と混迷を招きます。
人を騙す者には厳罰を、とファリスの法は謡います。
だが、その実、世はそれなしではあり得ないかのように、仕組みをねじ曲げ、悪徳を受け入れている。
誠実に生きるものが損くじを引く。騙されるのは愚か者、騙す方は悪人、そう言って悪びれない香具師らがいる。
ええ、えぇ。私はそれを思い知らされたからこそ、こっちの世界に足を踏み入れたのです。

自衛、そして復讐は、普遍的な道徳ではないですかね? 
いや、お墨付きを頂けるなどと、今さら、思っておりません。
その代わりに自分で、少々の美学を追い求めて生きてみたいのです。
泥臭いやり方は好みません。私はコン・マン。そしてartistを目指す者です。
 
1/16日、未明
ランブレッタ [ 2003/01/19 14:35:39 ]
 きままに亭という酒場でシャリオル、という男に出会う。彼は、冒険者の身ながら、チャ・ザの信徒であるという。商いのあり方に関する話題で、彼は自分の信仰に拠って、その心得を語ったが、清濁を合わせ飲んだその表現は、並の神官の語る言葉よりも、よほど腑に落ちた。
彼のように実際的な話のできる人物が、神殿に居場所をおかず冒険者のような職に身を落としている。くっくっく、可笑しな話だな。

今一人は、アイオリラロスという商人。かの男は、含みのある言葉でこちらを揺さぶる。その尻尾を捕まえようとすれば、のらくらと交わされる。印象は砂のように変幻し、人なつこい笑みの中で何を考えているのか…。こうまで、腹の底が見えかねた男は久しぶりだった。つい、相当のわるだと踏んで、現在計画中のヤマを明かして食いつきを疑ったが、どうやら外れと出たらしい。

しかし…実に心配だ、目の動きは慎重に伺っていたものの、アイオリラロスが本当の老練であったら。うかつに得物をちらつかせて尻尾を掴まれたのはこちらではないのか。その場合、誤魔化し通すしかないが…。心当たりとして以後、気をつける必要がありそうだ。