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元凶
狂える刃 [ 2003/03/02 15:30:46 ]
 オランより数日離れた遺跡、私しか知らない遺跡。
そこで私は見つけた。この魔剣を。
まだ良く鑑定してないから一体どのような効力をもつか不明だが、
剣の収まっていた棺には「神の鍛えし刃」と書いてある。

本当か?

もし、本当ならば途轍もない物を見つけたことになる。
震える手で剣をそっと持ち上げ、鞘からゆっくりと抜き放つ。
片刃で微かに反りかえった両手持ちの剣(注)で、剃刀の様な刃は濡れたように光り、微かに青白い光を放ってるかに見える。
私はニヤニヤとした笑いを浮かべているのに気付いた。
その笑いを収め、剣を鞘にしまう。
さぁ、オランに戻ろう。

注:見た目はいわゆるカタナです。鞘は意匠を凝らした程度の珍しくも無い感じ。
 
兆候
狂える刃 [ 2003/03/02 15:43:16 ]
 オランに戻り、剣を調べる。
私の見つけた遺跡の文献によれば
「名も無き狂気の神を降臨させたドワーフの鍛冶師が鍛えた物」らしい。
最高の剣を鍛える事を何よりも追い求め、最後には自分の身に神を降ろし、命と引き換えに鍛えた、と書いてある。
名も無き狂気の神か。私の知らない神だ。
明日辺り、調べるとしよう。

それにしても、遺跡に行ってから何だか頭が痛い。
何か悪い病で無ければいいのだが・・・まぁ、今までにもこの程度の頭痛は幾らでもあったか。
気休めに診療所も明日寄っておこうかな。
 
(無題)
狂える刃 [ 2003/03/03 0:04:32 ]
 今朝は起きてからずっと頭痛に悩まされる。
剣を調べねばと思うのだが、ベットから這い出す気になれない。

「ククク、あの女め!何が神だ使いだ?ただの淫乱な娼婦では無いか!」
「澄ましやがって!私は信じていた・・・なのに!」

私は何を言ってるんだろう?

ぼんやりとする頭の中で、危険を知らせるサインがチカチカと光っていたが、それは直ぐに弱くなり、消えた。
そして、白い服の女に対する怒りだけが頭の中で渦巻いていた。
 
叫び
狂える刃 [ 2003/03/03 22:07:38 ]
 身体が動いている。
他人の身体の中に私は居るようだ。
いや、これは私の身体・・・・見覚えのある手とその傷、そしてあの剣。
夜の闇に潜め、じっと息を殺す。
そこへ、一人の若い女性が通りかかる。白いケープを纏った、女。
女へ静かに近づき、剣を振り上げる。

やめろ、やめろーーーーーーーーーー。

声にならない、絶叫を私は上げた。
そして、思いとは反対に体は動いた。

「クク・・・ククククク」

後に残ったのは、白いケープが赤黒い液体に汚されるのを満足そうに見つめる私だけだった。

・・・・誰か、私を・・私を止めてくれ。