雨音の余韻 |
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コンフターティス [ 2003/03/11 16:31:56 ] |
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| 粗暴なボクには珍しく、日々の出来事を書き記してみようと思った。 あとは三日坊主にならないことを祈る…いや、ならないように頑張るだけだ。 |
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懐 |
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コンフターティス [ 2003/03/11 17:05:39 ] |
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| 夜、ここオランでは珍しい木造の建物に入った。中は酒場のような雰囲気であり、ボクにとってあまり馴染みのあるところではない。その日、その酒場が、何か昔のことを思い出させてくれた。 ボクが店内に入った時、客足はまばらであった。先ほど入ってきたばかりなのか、一人の女性が店内を見回している。ボクは空いているカウンターに腰を掛け、その場の雰囲気に合わせて慣れないお酒を頼んだ。カウンターにはボクの他に、先ほどの女性と先からいた剣士風の男性。 何気なく話が始まる。ボクにしてみれば、二人の会話を横で聞き耳を立てている。というのが正直なものではある。そんなことを思い、あまり積極的でない自分の性格に、思わず苦笑を漏らしただろう。 夜も更けた頃、だんだんと会話の内容が色を変えていく。光が遠のいたというのも良いかもしれない。 その会話の内容、男性に対して必死に言葉を返す女性。そんな光景を、ボクは以前も見たことがあった。オランに来る以前、冒険者となる以前、その時の風景を、ボクは酒場で話をする二人に重ね合わせていた。
彼に会い、彼女に出会う。 彼を慰める彼女を見つめていた。 彼らのやりとりの中に第三者的に紛れ込んでしまったボク。 そして彼らは去り、ボクも家を出た。
そんなことを、ずっと頭の中に浮かべていたのだろう。会話の内容はほとんど覚えていない。雰囲気だけを思い出せる。そんな日だった。
最後に、これを書いている時に思った疑問を一つ。 酒場にいた男性は…男性のはずだ。 女性の名前はソラリス。男性の名前は…リ…リ…リス? リグ?
よく覚えていない。 |
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紛 |
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コンフターティス [ 2003/03/11 17:14:39 ] |
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| その日、店員とボクのあだ名について話しをしていたところ、一人の女性が入ってくる。そして彼女がボクに掛けた第一声が… 「貴方、もしかして約束をしていた賢者さんかしら?」 であった。 賢者に間違われたのは、実のところ二度目であった。ボクの顔というよりも、ボクの身なりのせいなのかもしれない。そこは後で考える事にしようと、そこは苦笑で返した。 後で、二階から降りてきた男が実際に彼女と待ち合わせていた冒険者らしい。懐具合が寒いボクは、彼らの話に便乗できないものかと試みる。が、見事に失敗に終わった。ボクがやる気を出すとたいがいが失敗に終わるのはどんな理由からだろう?
そのお陰、とは非常に失礼だと思いつつも…そのお陰で、懐は寒いまま。道ばたに出て小銭を稼ぐしかなかったことを覚えている。
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空 |
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コンフターティス [ 2003/03/11 17:27:04 ] |
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| 空腹が頭の代わりに足を進ませる。酒場で何度ミルクを頼めば「いつものやつ」と云って通じるのかを試してみたいとも思いつつ。店のドアを開けた。と、同時にお腹が鳴る。 カウンターに付くと、老人と元気の良い女の子が話しをしていた。
そうそう、この時、やっと以前に出会った男性…うん、男の人の名前を思い出した。リグベイルさんというらしい。…らしいとはおかしいかもしれないが、ボクは他の言い方を知らない。
空腹のためか、老人とはドワーフの胃壁の強さが手先の器用さに関連している…という話しをしていたようにも思えなくもない。 女の子が元気よく店を出て行った時…なんとなく家を思い出した。それはまた別の話。 |
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失 |
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コンフターティス [ 2003/03/11 17:34:43 ] |
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| と、久しぶりというのも失礼な話しではあるにしても、女性らしい女性に会った。よって、会話の内容は覚えていない。最近こんなことを書いていることが多いような気もするけど…その場合、出来事を記したものとして役に立つのか…悩みどころである。
町はずれの小さな宿屋に預けられたボクは、あまり異性と話しをしたことがない。普段はともかく、少しでも意識をしてしまえば、その時のことは覚えていない。
そしてその時のことで覚えていることと云えば…、女性は苦手である。とぼやいたところ鷲鼻の男性に、世の中の半分は女だ。というようなことを云われたことだけである。その後色々と失礼なことを云ったことも記憶しているが…これは記録として残すとボクとしても自己嫌悪に駆られる可能性があるので書かないことにする。 |
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輪 |
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コンフターティス [ 2003/03/11 23:10:28 ] |
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| 酒場で、神官らしい女性と話しをした。 内容は得に、これといて目立ったところもないものである。マーファを信仰しているらしい彼女は、ある程度マーファに親しみを置いているボクにとって少し親しみの湧くような気がした。
それと少し、自分を表現する。ということについても話したかもしれない。ボクにとっての自分を表現するということは、物を造るということだった。ドワーフとして生まれたわけでもなく、才覚があるわけでもないのだが、どうにも物を造るという楽しい作業は止めようがない。例え気を病んでも、手は止まらないだろう。 そんなことを、ボクにしてみれば熱を持って語ってしまった。相手にしてみれば、のろけ話しを聞かされているのと同じような心境だろうと、今更ながらに思う。
そしてボクは感謝の言葉を言いたくなる。ただ誰に云えば良いのか、漠然とした中からはい出してきた思いは迷っていた。そこで、神官に尋ねてみる。 「ボクは誰にお礼をすれば良いのか」 返された言葉は。 「なによりも先に感謝すべきものがいる。それが誰だか…」 と。これはほぼ意訳に等しく、本人がどういう思いで云ったのかはボクにはわからない。 その問い掛けに対してのボクの答えは… 「ボクを産み落としてくれた両親、そしてボクを育て養い、教えてくれた老師」 そう云った。 云うと、窓の外の暗闇が、否応なしに帰りの時間を知らせてくれた。 お陰で、その答えは聞いていない。 ボクの目の前にいる人よりも、そして神よりも先に感謝を捧げる相手。それが誰なのかは、あの神官に再び出会うことがあっても答えは求めないつもりだ。 |
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表 |
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コンフターティス [ 2003/03/11 23:21:50 ] |
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| 「ボクは、自分では愛想の良いつもりなんですよ」 この台詞は、あっさりと返された。 黒髪が赤みがかった女性の口ぶりが、ボクにはなんとなく大人の印象を与えてくれた。
結論…会話は、詳しく覚えていない。どうにもボクは、女性のいる場では物覚えが非常に悪いらしい。その場の雰囲気しか覚えていない。顔と名前を一致させるのも苦手だ。自己アピールも、どうにも独りよがりになってしまう。改善しなければいけない。 身なりを見直すことにしてみる。なけなしの金をはたいて、新しい装いを買ってみよう。 |
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装 |
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コンフターティス [ 2003/03/12 0:01:41 ] |
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| 雨に降られた。雑木林の葉で空から降る雫をなんとか避ける。前に書いた通り、装いを新たにしてすぐだ。 身なりは、相変わらず黒と白で固めている。大きく変わったのは、その上に羽織っていた白いコートとも思えるローブと、視力の補助をはずしたことだ。 ローブは白い物を買った。羽のように対になっている白いローブで、あまり効率的ではないと思ったが、ボク個人としては気に入っている。
その日、雨宿りをしていると雑木林の奥から、一人の剣士風の男が現れた。二人で、雨脚が弱まるまでの時間を過ごすことにした。 ボクは言葉数が多いわりには、内容が軽い。それでも彼の重い声にのせられて、遠く及ばない物で、自分の言葉を取り繕ってみたりもした。 っと、その前に出会った頭に、いきなり喧嘩をふっかけるようなことをしてしまった。正直自分でも驚いているほどだ。敵意を感じたわけではなく、冗談のような気持ちだったのだが…少し、怖かった…。
剣士様、彼が去っていく光景は、絵になると思った。剣を携えた者が雨上がり、前だけを見つめて歩いていく。ボクの視点からは、空にかかる橋も見えていたが、彼には見えていただろうか。 |
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観 |
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コンフターティス [ 2003/03/31 19:03:46 ] |
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| 装いを新たにした頃、新しい布独特の着心地を楽しみながらカウンターに座った。いつもの通りミルクを頼み、一息つく。 そこへ二人の男性が来店した。カウンターで話していたのは仕事の話だろう。ボクとしては、間近での仕事話には興味が湧いた。なによりも歩く時に小銭の音がしない頃は。 二人の会話、仕事になんとか入り込めないものかと思ってはいても、口から出る言葉はあまり良いものではない。自分の腕前を話すということは、極力しないつもりであるにしろ、いざとなると自己主張はした方が良いかもしれない。 背の小さい方に、ボクも参加できそうな仕事が、そのうちこちらの店にも回ってくるだろうということを云われた。お礼はどうすれば良いかと尋ねれば、懐が暖かくなった時に、彼のお腹も満たしてくれというものだった。 ここオランにきて奢られることはあっても、奢ることはほとんどなかった。少々とまどったものの、義理には勝てずに約束をしてしまったようだ。と、彼が食べる量をメニューで示してくれたのだが、一瞬毒を盛って差し上げようかと思うくらいであった。しかし行きつけにしようと思っているお店に迷惑をかけるのは、気が引けるので薬師を捜すのは止めにした。 こんど顔を見かけた時は、迷わず逃げようとここに記しておく。 |
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扉 |
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コンフターティス [ 2003/03/31 19:26:27 ] |
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| ボクは、自分から人に話しかけることはないのだろうかと、ミルクから昇る湯気を見ながら考えていた。このごろは店に入って、ミルクが冷めるまで虚空を見つめているのが習慣になっている。そうすると、なぜホットで頼むのかと疑問が湧いてくるが、それは置いておこう。 虚空を見つめていると、突然黄色い声をかけられた。自分へのものではないのだろうと思うが、どうにも声の出所が近い。近くに女性がいることに驚き、椅子から腰が落ちそうになったが、なんとか持ちこたえてみせる。この時に幸いしたのが、装いを新たにした時に視力の補助をはずしたことだった。瞳をはっきりと見れないこともあって、すぐに顔を作る。 その女性とは、なんだったか…突然声をかけてきた女性と楽しくお話をする方法。だかを伝授してもらった。それにはお酒を奢るお金と、眠り薬が必要らしかったのだが、その時後者を持ち合わせていなかったので、あきらめることにした。仕方が無くお酒だけを奢る。 会話をしているうちに、女性が斧を獲物に持っている。ということを話してくれた。それならば何をやってもボクが負けることに安心して、色々と冗談めかしたことを云ってみたりもしたのだろう。気が付けば女性の部屋の前まで来ており、顔に出さないように焦った。顔は成功したのだろうが、階段を降りる時に躓いてしまった。 そんなことはどうでもよく、その女性の名前を聞いていなかったのだ。これが後にも先にも悔やまれる。覚えていない可能性は除いて。 |
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亀 |
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コンフターティス [ 2003/04/16 19:13:37 ] |
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| 夜、風達と戯れようと雑木林の中を散歩していた。そこへある男が現れる。
それから帰って、ベットに寝ころび天井を見上げた。ふと込み上げてくる思い。特に深刻なものでもなく、軽いものでもない。ただ言葉の羅列のようなものが、波紋のように広がっていっているような。だから、ボクは筆を執っている。 『力』というもの。誰しもが持ち、誰しもが持たなければならないもの。ただ不必要な力、それは財力でもあり、筋力でも、また魔術でもあり、知識でもある。知識は置いておくとしても、必要以上の力を得た時、人という生き物はそれをどう思うのだろうか? 不必要な力を持ってしまったことを悔いるんだろうか。そんなことは、多分ないと思う。 人が人よりも力を得た時、楽しくて仕方がないはずだ。ボクも、今の"霊"としての力を初めて感じた時、事実、嬉しかった。 力を持つことが不幸だと云われた。夜の林で。 たしかに、不幸かもしれない。ただそれは、力の使い方を誤った者へ向ける言葉だ。ボクに向けられても、何もしようがない。無鉄砲なことだが、それでも、今のボクはそう思っている。ボクは今のところ、他人と自分を、なんら変わりのないものだと思っているから。種族の違いにしても、生物として、生き方として違う者でも、ボクは、彼らがボクと何が違うのか、はっきりと云えない。わからないし、わかろうともしたくはない。わかってしまえば、それは差別や、あまり良くない方向にいってしまうから。 こんなことを書いていても、ボク自身が、一番人と区別をしているのかもしれない。「女性は苦手」「人付き合いは難しい」なんて、普段愚痴のようにこぼしているんだから。
(走り書きのように) 話の趣旨がずれまくってるなぁ。
悩んで、考えて、結局まとまらないと、わだかまりを残すだけだから、眠ろう。
第一声が「出歯亀」はないだろう。 |
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