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交遊録
リネッツァ [ 2003/04/05 1:07:11 ]
 人の社会は街社会
街社会は情報社会

魔法の時代が終わり
剣の時代が訪れ
次に来るのは情報の時代

情報を知るには人を知れ

そんなおいらが出会った人たちをここに記したいと思いヤンス。
てへっ。
 
鎚矛と弟子
リネッツァ [ 2003/04/05 1:08:50 ]
 穴熊のザッシュさんと初めて会ったのはパダの街でのことだったッス。
ギルドの使いでおいらがパダに行ったとき、裏路地でチョー危険な奴等に絡まれてたのを助けてくれたのが他ならぬザッシュさんで、それ以来、何かとお世話になってヤス。具体的に言うと、腕力に関する厄介事の面で。てへっ。
そんなザッシュさんは最近、鎚矛の訓練に余念がないんでヤンス。で、予てよりそれを実戦で試すチャンスを探してたもんでヤスから、懸賞が懸けられてそうな山賊かも知れない連中が隠れていると思われるアジトの場所の噂をお教えしたんでヤンスが、生憎と乗り気じゃない模様で・・・やっぱり、穴熊だけに仕事は遺跡絡みじゃないと駄目なんッスかねぇ〜?

もう一人、最近お会いしたケヴィンさんって方は細剣を使わせたら王都でも屈指と評判の、あのカイゼルさんのお弟子さん。なのに、ケヴィンさんが得意にしている得物は三叉槍。なんだか不思議な感じッス。細剣と三叉槍の共通点ってーと・・・突き? むはっ。おいらにゃよくわかんねーッス。なんにせよ、あのカイゼルさんのお弟子さんともなれば、ケヴィンさんの今後も要チェックッスね!
 
酔客
リネッツァ [ 2003/04/05 1:11:21 ]
 酒場でやけにご機嫌な方にお会いしやしたッス。
チャ・ザに仕える神官さんで、お名前の方は後に調べて判明したノースクリフって方。・・・余程、深酔いされていたのか、ちょっと話が噛み合わなかったでヤンス。神殿で聞き込んだ限り、評判の方は決して悪くなかったんでゲスが・・・同僚の方々も口を揃えて「お酒を飲むと陽気になりすぎる」って言ってやした。ま、楽しいお酒なら酔い痴れるのも良いもんッス。
・・・でも、その弾みでハザードに飛び込んじゃうのはどうかと思いヤスが。
 
狩人たち
リネッツァ [ 2003/04/05 1:15:05 ]
 いつも利用させて貰ってる雑貨店の旦さん(店主)の頼みとあっちゃ無碍に出来ないッス。おいらにお任せあれ。
そんな感じで軽く引き受けた配達先のラーダ神殿で出会ったのが、神官にして学者のグレアムさん。自他共に認める建築の数奇者。でも、その屈託のない笑顔に騙されちゃ駄目、一度、手を握られちまえば、その外見からは想像できない握力で束縛され、興味の有無に関わらず延々と蘊蓄を語られヤス。まるで、長年捜し求めていた同好の士に、幾星霜の歳月を越えて巡り合えたかのように! まさに、ンギャーものッス。
そんなグレアムさんと再会したとき、同じ陥穽に陥ったのはおいらがアホだったからでゲスか? 断じて否ッス。獲物を油断させる笑顔、罠に追込む狡猾なる話術、一寸の隙をも見逃さない観察眼、必要に応じて発揮される俊敏性、食らいついたら決して放さないパワー、あの方こそ天然のハンターッス。狙われたが最後、誰も無事じゃ済まないんでヤンスよ〜。


ユーニスさんは最近、何かと噂にあがるバウマーさんのお仲間の方で、見た目はキュート、中身はパワフリャ〜って聞いてたんでヤスが、おいらが言うのもなんなんでゲスけど・・・噂って当たってる事もあるもんなんッスね。あの、照れながらも無意識のうちに繰り出された拳が空を切った鋭い音は、今もおいらの耳の奥を震わせてるッス。我ながらよくぞ躱せやしたよ。直撃してれば鼻の形が変ってた事は疑いないでゲスから。・・・トホホ。
でも、ユーニスさんの本当の恐ろしさは天然ボケな事ッス。グレアムさんとは別の意味で真のハンターッスよ! 真っ直ぐ飛ばない矢を射ても、隠れている獲物に何故か命中するような、そんな天稟を感じやした。・・・トホホ。
 
華と花
リネッツァ [ 2003/04/11 23:30:50 ]
 ラスのアニキに比べれば全然ッスが、おいらにも人並みに美人さんとお近付きになりたい願望はありヤンス。そんな健全な男児ならば一度は憧れるのが、両手に花状態のウハウハ。
酒場でそんな状態になったんでヤスが・・・世の中ってのは上手くいかないものなんでヤンスね〜。


ソラリスさんはカゾフ出身の冒険者で元船乗り。どうも商船の護衛をやってたらしく、陽に灼けた健康的な肌が眩しい魅力的な方ッス。それでいて酸いも甘いも噛み分けた大人の女って感じで、声を掛けてくる男との駆け引きを楽しんでいる余裕が見え隠れしやした。ま、その日、声をかけた男ってのがおいらなわけで。最初はけんもほろろって感じでやしたが、何とか別の店に誘うって話のところまでこぎつけたんでヤンスが・・・


もう一人のディーナさんは田舎から出てきたばかりの、見るからに純朴そうな可憐な方でやした。ソラリスさんとは対照的に反応が初々しくて、男心を擽るッス。ウヒョヒョ。そんなディーナさんはオランにまだ慣れてないらしく、ソラリスさんの口添えもあっておいらが街を案内する事になったんでゲスが・・・やっぱ、口説きの同時進行は不味いッスねぇ。終いの方は取り繕うのに必死でゲシた。結果、お二人ともに警戒されちゃって、とほほッス。ま、案内の約束自体はなんとか取り付けたんで汚名挽回するッス・・・あ、名誉でやんした。てへっ。


・・・それにしても、我ながら、烏賊が美味しい店って言い訳は苦しかったでゲスなぁ。
 
無音
リネッツァ [ 2003/04/22 1:55:43 ]
 マリエさんに贈り物をするべく、銀木犀(花宿)を訪れたおいらがそこで出会ったのはラスのアニキ。巣穴では重要な地位にないものの"音無し"の異名で知られ、凄腕の冒険者でもありヤンス。
そんなラスのアニキといえばプレイボーイとしても有名でして。花街界隈じゃ、ラスの名を知らない"兎"はいないってぐらいに、風に揺れるタンポポ状態なんッス。くぅ、うらやまちぃー。
ところがぎっちょん、最近というよりは少し前、一軒家を借りて一人暮らしをするようになった頃から、その遊び人っぷりがナリを潜めちまったんでヤス。相棒のカレンさんにそれとなく尋ねても何も教えてくれないんでゲスが、やっぱり、別れた女の事が関係あるんッスかねぇ。流石のアニキも一人の男、本当に愛する女はただ一人だけッスか。漢ッス。渋いでヤンスー。

なんて、甘い顔をしてやしたら、自分の仕事の後始末をおいらに押し付けて、さっさと銀木犀の二階へと消えていきやした・・・ちっきしょー、全然、"おとなし"くなってねぇッスよー。
 
番外編
リネッツァ [ 2003/04/22 2:02:41 ]
 や、これはリックの親分、こんちでゲス。てへっ。
しょ、しょんな、つれないでヤンスよー。おやびんの一番の舎弟じゃないでゲスかぁ〜。
なななななな、何を根拠に、そんな、断じてないッス。おいらが慕っているのはおやびんだけッスよぉ。

そ、それはそうと、ほら、この間、おやびんから頼まれてた邸宅への潜入、行ってきやしたでゲス。え〜と、確か・・・あった、ホイ、これが報告書でヤンスー。

++++++++++

むひょー。随分と整理整頓されてるッスねぇ。こういう几帳面な性格なら物証の一つや二つ、隠し持ってる可能性が高いってもんでゲス。では、早速っと。

ゴソゴソ、ガサガサ

とほほ、何にも出てこないッスなぁ。既に隠滅された後なんでゲショか。や、諦めのるはまだ早いッス。折角、おやびんが任せてくれた仕事、完遂せずして何が第一の舎弟・・・ほへっ、あれはクローゼット? にしちゃあ、何となく不自然な感じが・・・ハハ〜ン、読めたでヤンスよぉ。
むひひひ、この程度の細工で"鍵"の目を欺けると思ったら大間違いでゲス。ホイッ、やっぱり二重底ッスか。ってことは、これを捲っちまえば・・・


おっ! うひょ! この色、この形状、この手触り、間違いねぇッス。
こ、これは・・・・女性ものの下帯? しかも、絹製の高級品でヤンスよぉ〜。

嗚呼、麗しきかな。男にとってこれぞ最高のお宝ってもんでゲス。
くはぁ〜。匂いを嗅いでみたい衝動が・・・・・・はれっ?


・・・なして、一人暮らしの野郎の部屋に、女性ものの下帯が、それも、隠されてあるんでゲショ?


のわっ! こっちに近づいてくる足音が!
大慌てで退散するッス〜。すたこらさっさー。

++++++++++

てな具合で、残念ながら奴はシロでゲスよ、おやびん。
ちょ、ちょっと、無言で置き去らないで下さいッスー。

もう、汗出ちゃったじゃないッスかぁ・・・ゴシゴシっと・・・あっ!
や、こ、これは違うんッス。あのとき、慌ててたもんだから、つい、そのまま、別に、おいら、そんな趣味はないッスよぉ〜!

・・・あ、ひょっとして、ギルドに一割、収めた方が良いでゲスか?
 
番外編 其の二
リネッツァ [ 2003/04/24 0:36:44 ]
 註:この話は#{194}の12「香」とリンクしています


ラスのアニキィ、巣穴の話とは殆ど関係ないんでゲスけど、聞いてくださいッス〜。
ちょ、ちょっと、そんな嫌そうな表情しなくても。全く関係ないってわけでもないんでゲスから。

昨日、あれからマリエさんの所に行ったんでヤンス、巣穴直轄の花宿、銀木犀へ。
実はおいら、新人ながら人気抜群のマリエさんにはまだ一度もお相手いただいたことがなかったんもんでゲスから、それはもう楽しみにしてたんでヤンスよー。しかも、マリエさんがおいらの名前で予約を入れてくれてたお陰で、誰に邪魔される事もなく、夢のような時間を過ごせる気、満々だったんでゲス。まさに天にも昇る心地ッス。

仄かな灯火が揺蕩う、薄暗がりの部屋で酒杯を傾け・・・や、おいらは酒精が駄目なもんでゲスから、果実水で気分だけでやんしたが。

自慢の軽妙な話術で雑談に花を咲かせ・・・や、実はうっかり、例のヒモの野郎の話題を出しちゃった途端、やけに気まずくなっちゃって。

雰囲気が最高潮に達したところで遂にふたりは・・・や、なんかもう、フォローに必死で、一人で空回りしてたんでゲスけども、とまれ、何とか同衾までこぎつけたんでヤンス。


ところがぎっちょん。


・・・その、おいら、あまりの壮絶さに堪えられなかったんッスよぉ〜。
おまけに、思わず感じたままに叫んじゃったもんでゲスから・・・マリエさんってば怒り心頭でして、とほほ。


アニキィ、女の人って見かけによらないもの・・・はれっ?
あれ? あれ? アニキ? ラスのアニキは何処ッスかぁ〜?
 
舎兄
リネッツァ [ 2003/08/20 0:04:06 ]
 えーと、今更、ラスのアニキについて語ることはないッス。以上。





『え? え?
嫌でゲスなぁ。手なんて抜いてないッスよ〜』



ラスのアニキといえば顔が広いッス。
女性限定で。特に花宿関係者には尋常じゃないまでに。

ラスのアニキといえば庭が広いッス。
借家でヤンスけど。シタールさんが不在だと密林化ッス。

ラスのアニキといえば心が広いッス。
機嫌の良い日だけ。悪いと誰かが原因不明の失踪を遂げヤス。

そんなラスのアニキの第一の舎弟になれて、オイラは果報者ッス。一生、着いていきヤスよー。



『アイタァ! 何も殴らなくても…
…って、なして、オイラの秘密の録の内容を知ってるんッスかぁ〜?』
 
出藍と出愛
リネッツァ [ 2003/10/08 23:30:21 ]
 ねぇ、アニキ〜。
大地母神はマーファでヤンスよね。
死の女神っていったらカーディスでゲスよね。
マイナーどころでは山の豊穣を司るパルメラもいるッスよね。

じゃあ。
じゃあでゲスよ?

美の女神って誰なんでゲスかねぇ。
オイラ、思うんッスけど……


クレフェ姉さんがそうなんじゃないかって。


待って、待って! そんな、臭いものを見るような目で拳を震わせて近づいて来ないで!
ちゃんと、そう思う正当な理由なり根拠なりもあるんでゲスよ?

だって。
だって。


あんなに美人なんでヤンスよ?


アイタァッ!


し、しどい。しどすぎるッス。
至極、客観的な事実を述べただけって言うのに。


は? アニキの分もさっさと書けって?

…………。

や、キリキリと書かせて戴きヤスでゲス。はい。


ラスのアニキは今日も呪われてやした。


ほへ? これで終わりッスよ?
だって、アニキのことを書くだけ羊皮紙の無駄……


ギャーッス!!




……ううっ、ひどい目にあったッス。
これは? アニキの書き置き?


『青は藍より生まれし、されど、藍より青し』

って言うけど、おまえの場合は

『アホは愛より生まれし、されど、愛よりアホくさし』

だな。



……ぎゃふん☆
 
色香と鉢巻と種馬
リネッツァ [ 2003/10/18 20:53:50 ]
 酒場で出会ったフランセスカさんはもう、いろっぺーことこの上ねぇ女性でした。
清楚な色気って言うんでゲショか、菫色のドレスから覗く白い背中の色気に悩殺寸前だったッス。

こんな垂涎もののお姉さんと酒だけ飲んで、はいサヨウナラじゃ勿体なさ過ぎるんで、交渉中だった依頼のお手伝いを頼んで、もっと親密になったところでウッシッシッを企んでたんでヤンスけど……途中でバンダマンことウィント先輩と、オランの種馬ことラスアニキが来ちまって、もう大変のなんのって。とほほッス。次、お会いしたときはめげずに再アタックするッスよぉ!



カジミール。その業界では知らぬ者なきと言われる御方。
筋骨隆々の逞しい外見とは裏腹に、内面は花も恥じらう乙女……早い話がそっち系の方でヤンス。

そんなカジミールさんが前々からオイラの事に目をつけてたって噂は聞いてやした。
あんま、聞きたくなかったッスけど(汗)

一度、ハザードの対岸から熱い視線を感じると思ったら、案の定、カジミールさんがオイラの尻のあたりをまじまじと観察していらして、「ベリィグッド! 是非とも一度お手合わせ願いたいわ」と言ったとか言わないとか……や、言ったらしいんでゲス(涙)

でも、でも、オイラにそんな趣味はないッス! いたって健全な青年ッスから!

なのに、なのに、うううっ。
ウィント先輩への借金と、ラスのアニキのお怒りによって、オイラはそのカジミールさんのところへ連行されてしやいやした。逃げ出せないよう簀巻きにされた上で(嗚呼)

歓びを爆発させるカジミールさんから謝礼を受け取ったウィント先輩は嬉しそうに
「毎度、また博打で勝負したくなったらいつでも来な。カードでもダーツでも受けてたってやるぜ」
と言って、夜の賭場へと消えていきやした。

身動きのとれないオイラの尻を撫で回すカジミールさんを見て、ラスのアニキは
「おまえ、初めてなんだろ。大丈夫、慣れると病みつきらしいぜ。ま、しっかりやれよ」
と囁いて、夜の花宿へと消えていきやした。

そして一人残されたオイラは屈強なカジミールさんの腕で無理矢理、全裸にされた後……


ギャーッス!!


……でも、噂には聞いてやしたがカジミールさんのテクって凄くて、案外、気持ち良かったッス。オイラ、目覚めちゃうかも(ポッ)


けど、尻のレリーフなんか作って需要あるんッスかねぇ?
芸術家の考えることはわかんねーでゲス。ほんとに。


んでもって、その後はウォルフさんのところにも行きやした。
ウォルフさんは前々からオイラの健康的な胃腸に目をつけてたらしくて……新薬の臨床実験を(嗚呼)


ともあれ、これで借金も無くなってキレイな身体になりやした。明日からまたバリバリ稼ぐッス!
 
親分と賢人
リネッツァ [ 2003/10/18 21:02:24 ]
 リックおやびんと言えば、オイラが新米だった頃、巣穴直営の店で右も左も分からずに右往左往してたとき以来の親分子分関係ッス。つまり、アニキ、兄さん、旦那、先輩、先生、師匠、隊長よりも付き合いが長いってことでゲス。
言っちまえば、ツーカーの仲っつーかー。……なんちて。

そんなおやびんとの出会いも最初は最悪でやんした。怒号あり、鉄拳あり、簀巻きありで……あれっ、なんででヤンスかね、涙が。おかしいッスよね、オイラ、てへっ。
でも、今じゃあ、オイラもすっかり信頼されてる随一の子分になりやして、面倒な書類の後始末を任せられたり、義理で断れなかった安い仕事を回してくれたり、必死で収集してきた情報を聞いて「おまえの情報は案外、役に立つよな。殆ど大体、間違ってるから消しの材料になる」なんて言ってくれたり……あ、あれ、なんででヤンスかね、また涙が。おかしいッスよね、オイラ、てへっ。


オイラが知る限り、賢者の街として知られるこのオランで次代を担う若手として期待されている方が二人いヤンス。
そのうちのお一人が、アルファーンズさん。背丈はちっこいでヤンスけど、妄想、じゃなくて、野望だけは人一倍デカイ方ッス。あっ、あと胃袋も。ついでに態度も。

そんなアルファーンズさんは常に遺跡探検に並々ならぬ闘志を燃やしておられ、最近もとある遺跡を狙って調査中らしいッス。詳細は教えてくれなかったでヤンスけど、あの調子なら頃合いを見計らって訊ねれば色々と語ってくれそうだったッスねぇ。将来は立派な穴熊を志すオイラにとっちゃあ貴重な経験談を聞き逃す手はないッスよ。

……ほへっ? 次代を担うとされているもう一人の賢者でヤンスか?
ほら、あの大賢者のミゲルさんッスよ。どういう期待をされているかは内緒でゲスけどね。ぷくす。
 
相棒と類友
リネッツァ [ 2003/11/13 0:19:58 ]
 偶にはラスのアニキの事も真面目に書こうと思いヤンス。
えーと、アニキとは確か、おやびんの次に出会ったはず。場所は花宿、立場は兎のボディガードとストーカー。
や、や、や、アニキの名誉の為に言っときヤンスが、オイラがストーカーっすよ?
……じゃあ、オイラの名誉は?(がくり)

っても、本当はストーカーなんかじゃなくて、当時、オイラが惚れてた兎に執拗に執拗に、もいっちょ執拗にアタックしてたら花街担当兼雑用長官のアニキが一肌脱いで、怒号、鉄拳、簀巻で……なんか、おやびんの時のパターンと一緒ッスね。とほほ。
そんな過去も乗り越えて、今じゃあ街中で声をかければ五回に二回は振り返ってくれる間柄ッスよ〜。……残りの三回中二回は無視で、もう一回は問答無用の鉄拳制裁ッスけどね。もいっちょ、とほほ。


自分で言うのも何でゲスけど、巣穴関係者に対するオイラの顔の広さはちょっとしたもんでヤンス。
そんな数多い知り合いの中でも、特にオイラを評価して下さってるのが、コロムさんの元彼氏のカレン兄さん。略して元カレ(ン)。てへっ。

そんな兄さんが実は相棒たるラスのアニキより手が早いってことが発覚しやした。これは衝撃のスクープっす!
っても、女性関係じゃなくて喧嘩の方。普段は物腰柔らかく温厚を絵に描いたような方なんすけど、ぶち切れた時のそれはアニキの三倍! いや、マジですってば。だって、オイラ、身をもって実体験したんでヤンスから。とほほ。
ひょっとして、みんなが日頃から兄さんに慇懃に接するのは、「怒らせるとマジやべぇ。超やべぇ。ていうか、洒落にならねぇから絶対、逆鱗には触れるな」って事なんでゲショか? ……やっぱり、アニキの相棒なんッスね。がくぶる。
 
渡鳥と母性
リネッツァ [ 2004/03/14 1:04:43 ]
 「名字なしでヘイズ」のヘイズさんは春の到来と共にオランへ戻って来られた渡鳥のような方ッス。
渡鳥っても森で道に迷って途方に暮れたり、一変した空気(雰囲気)の異変に鈍感だったり、どっちかっつーと、知らない間に群れから置き去りにされて一羽だけになっちまったけど泰然自若のまま冬を越しかねない特異な大物感タップリなところを気に入った狩人に保護されて暖かい屋内で冬を越せると思ったら実はそれが鳥鍋への布石だった事を知って慌てて逃げ出す、なんて気配がプンプンな方でもあるように感じられやした。渡る鳥には鬼狩人ばかりって感じッスか?

……どうせなら、オイラが割り勘を半ば踏み倒した事も三歩の内に忘れてくれる鳥頭なら有り難いでゲス。


そのヘイズさんとお知り合いなジャニスさんがオイラの嗜好ど真ん中的な大人の女性でやんした。
おやびんやアニキに連日連夜、罵詈と鉄拳を奮われているオイラの身の上を相談したら温かく懇切に励まして下さって、もう感謝感激涙雨って感じッス。やっぱ、女性は包容力ある大人に限りヤンスね〜。でへでへ。
そんなジャニスさんだから思わず、「将来生まれてくるオイラの子供の母になってもらいたいなぁ」なんて口説いちまったんでゲスけど……結果は玉砕で嗚呼。でも後悔はしてないッスよ。だって、失敗は成功の母ッスから! ナンパは性こ……アイタァッ!

だーかーら、書き物してる時に……や、別に口答えなんてしてないッスよ? あれ? なして、今日はそんなに機嫌が悪いんッスか? 上の連中に騙されて無駄に働いたからムシャクシャしてる? そ、それとオイラに何の関係が……わ、わわわ、イーヤーダー!

ギャッース!!
 
番外編 其の参
リネッツァ [ 2004/09/14 0:09:00 ]
 ふぃー。
カレン兄さんはラスのアニキと違って温厚な人でヤンスけど、やっぱ相棒っつーか、似た者同士っつーか、サラッと人使いが荒いっつーか、いくらなんでも朝までに人相書きを仕上げろなんて無茶ッスよね。(←自分の過失は棚上げ)

それでもキッチリ仕上げたオイラってば、ひょっとして凄くないッスか?
あながち、そっち方面の才能もあるんじゃないッスか?
いやぁ、困っちゃうでヤンスねぇ、オイラ、一人前の穴熊になるのが目標なんッスけど画家ってのも悪くないッスねぇ。ひょっとして、末は王宮画家ってやつッスか? でへでへ。

てな感じで、早速、兄さんのもとへ届けに行ったんッスよ。
したら、兄さんは人相書きを見るなり、

「……色が足りない」

と、呟いたっきり無言なんッス。
だから、オイラ、

「ほぇ? ああ、分かりやんした。ちょいとばかし待ってて下さいッス」

って、朝イチで画材屋に押しかけて絵の具を調達してきたンス。
んでもって、チャッチャッのパッパッと彩色してから改めて提出したんでゲスけど、

「……色が足りない」

としか言わないんッスよ。
したら、不意にラスのアニキが現れてその絵を見るなり、

「……色が足りないな」

って、兄さんと同じ事を呟くもんでやすから不思議に思って窺いをたてたところ、

「反省の色が足りないって言ってんだよ!」

あべしっ。

「なんだ、この絵は。ていうか、これは本当に人相書きなのかよ。お前が頼まれたのはユジィだろ、なのに、ここに描いてあるのはユジィじゃなくて柚だ!」

たわばっ。

いやいやいや、待って待って待って、違うんッス、本当に違うんッス。
一見、柚のように見えるかも知れないッスけどそれが正真正銘のユジィなんッスよ!

「ユジィってこんな顔貌だっけ?」
「……いや、かなり違う」

ひでぶっ。

「カレン、残念だったな。今から描き直してたんじゃ間に合わない」
「……仕方ないか」
「……待てよ、そういえば鼠の中に、こいつ(リネッツァ)と違って本当に趣味で人相書きをしてる奴がいたよな?」
「そういえば、いたな……アルフォンスだっけ」
「あいつならユジィを描いたことがあるかもな。当たってみる価値はあるだろ」
「わかった、行ってみるよ」

……うひょ。これは災い転じて福となすってやつッスか?(全然違う)

「あぁ、幸運を祈る。で、こっちは任せとけ」

……ほぇ? こっち?

「さーて、昨日言ってた沈下の実験でもするかな」

……あれ? あれ? なんで、オイラが捕まえられてるんッスか?
って、なんで、オイラが実験台なんデスカー!
無理、無理ッスから。死んじゃうッスから。1時間なんて絶対に無理!
誰か助けて下さいッス、兄さん、助けてー!

「流石に今回は庇いきれないから……頑張って耐えろ」

って、耐え切れるわけねーッスよォォォォォ。




どっぽーん。




(PL註:ハリートとハマーは会話不足のため今回は割愛させていただきます。両PLに陳謝、次の機会は是非!)
 
餓狼と唯我
リネッツァ [ 2004/11/11 0:46:26 ]
 「一匹の狼が率いる百頭の羊の群れは一頭の羊に従う百匹の狼の群れを征服する」

ってのはエイク期に名を馳せた高名な軍略家の言でヤンスけども、これから解かるのは、生物は狼と羊の二種に大別されるって事でゲス。
言うまでもなく狼は危険、羊は安全って事でして、年頃の娘さんを持つ親御さんなら一度は「男の子は狼よ、気を付けなさい」なんて口にした事があると思うんッスけど、それでも男=狼なんて単純なモンじゃないのが世の中ってモンでヤンス。
つまり、羊の擬態(フリ)をした狼もいれば、狼っぽく見せかけてる照れ屋な羊もいたりするわけッスね。そこを見抜いて分析するのが肝要ッス。

例えば、カレン兄さんは羊の皮をかぶった羊ながら狼並みに鋭い爪牙を隠し持ってヤス。
例えば、リックおやびんは怠け羊ながら獲物を追いつめるのだけは上手な狩猟動物でヤス。
例えば、ウィント先輩は飄然たる羊ながら空腹時には狼さえも食べ尽くしちゃう暴れ羊でヤス。
例えば、ラスのアニキは狼を装いながら実は……と思わせておいてやっぱり正真正銘の狼でヤス。

……なんか、オイラの周囲ってば兇悪な獣揃いッスね。
そして、これらの面々とも交流のあるシタール隊長はといえば、

紛れもなく、凶暴性の欠片もない羊でヤス。
……ただし、狼の群れを操って自らは決して手を汚すことなく利益を得る知能犯な羊ッスけどね。

お、お願いでゲスから、先日の件は兄さんやおやびんや先輩やアニキにはひとつ、御内密に(へこへこ)


「一匹の狼が率いる百頭の羊の群れは一頭の羊に従う百匹の狼の群れを征服する」

ただし、

「一頭の羊に従う百匹の狼の群れは一頭の哀れな子羊の毛を毟り取って分け合う」

チクショオォォォォ、いつだって泣くのは無力な子羊ッスかよォ!
羊だって、羊だって、山に棲めば山羊になるんッスよォォォォ!



自称正当な魔術師のマッドスペロバさんは目つきと物分かりが悪……ヤ、賢者らしく一般とは異なる思考経路を辿る方ッス。
それでいて何というか、その……悪気はないのに他人を見下して威圧をかける術を先天的に備えた方っつーか、本人は交渉してるつもりなのに最後はいつも寄り切り勝ちみたいな。
マイペースといえば聞こえはいいッスけど、他人に進路を譲らないのが当たり前っつーか、むしろ天下の往来を吾輩の道であると断言しちゃいそうな感じで。

しかも、悪意がないッポイから余計に性質(たち)が悪いッス。
おまけに、それで他人も喜ぶなんて勘違いしちゃってそうな勢いで善行を気取ってたり。

あれッスね、他人の迷惑も顧みずに親切心で押し売りするタイプ。
いや、売りつける商品は悪い質のモンじゃないんッスよ。
でも、それ、もう持ってるから!みたいな。っていうか、前に買った相手もアンタッスよ!とか。

……要するに変人ッスね。とほほ。
 
狐狸
リネッツァ [ 2004/12/14 2:12:54 ]
 グラハム・ヘルマンの旦那は一般的に“逆回し”の異称で知られてヤス。
けれど、極一部の間では狐狸(こり)の旦那とも呼ばれてる方ッス。オイラが旦那と呼んでるのはその関連からッスね。

その由来はっつーと、もう、見たまんまんの、やってるまんま。
狐狸を自在に使役してるんじゃないかってぐらいに、抜け目なく儲け話を嗅ぎ付けては現れ、話術巧みに一枚噛み加わり、何時の間にか稼ぎの何割かを自分の懐に収める技に長けた、ある意味ではオイラが手本にすべき、盗賊の風上におきたいような人ッスよ。


でも、人間の風下にも置けないような人でヤンスけどね!
だって、結局、ロブロイの地図絡みで偽情報を見抜いて被害を最小限に押さえてやった謝礼とかっつー理不尽なものを請求されたッスから! 飲み代のツケだって支払わせたくせに! おまけに、オイラときたら“紫の華”の問い詰めるつもりが逆に問い詰められて銀貨一枚も回収できずで。アンギャー!

……つか、オイラが目標にしてる盗賊って一体。(がくり)
 
嗜好
リネッツァ [ 2005/08/03 0:36:57 ]
 人の好みは色々でそれぞれッス。
決して他人にとやかく言われる筋合いのものじゃねーです。

だから

ラスのアニキが無類の女好きだろうと。
シタール隊長が姉さん女房に目がなかろうと。
ウィント先輩が幸運の女神なんて尻軽に惚れてようと。

オイラとしては全然おっけー。全力で応援するッスよ。

だから

リックおやびんがツルペタ女じゃないと反応しない体だろうと。

決して後ろ指さしたりしないッス。
神に誓って!

ファリス様、どうかおやびんを弾劾しないでやって下さいッス。
マイリー様、どうかおやびんを折檻しないでやって下さいッス。
チャ・ザ様、どうかおやびんを放置しないでやって下さいッス。
ラーダ様、 どうかおやびんを訊問しないでやって下さいッス。
マーファ様、どうかおやびんを修正しないでやって下さいッス。

……でも、ブラキ様にだけはぜってーお願いしねーッス。

だって

オイラは人間の女性じゃないと駄目ッスから!
岩妖精と恋仲になるなんてありえねーでヤンスってば!

グレアムさんとこは旦那さんだけじゃなく奥さんも天然な狩人ッスよ。とほほ。



……あ、でもエルフやハーフエルフの女性ならいいかも。でへでへ。
 
番外編 其の4
リネッツァ [ 2005/08/03 0:53:15 ]
 「おんや。これはこれは、誰かと思えばセシーリカさんじゃないでヤンスか。おひさしぷりッス」
「リネッツァさん。うん、久し振り……あ、でも、今日神殿に来てなかった?」
「ほへ? なしてセシーリカさんがその事を知ってるんッスか?」
「なんでって言われても……あたし、母神様に仕える身だよ?」
「あ、そうでやんしたね。すっかり忘……や、や、や、今日もてっきり不在だとばかり」
「……“も”?」
「……“は”って言いやしたよ?」

「ふーん、ま、いいけど。で、何してたの?」
「いやだなぁ、母神様の信者なオイラが神殿に足を運ぶ用事ったら礼拝しかないじゃないッスか。あ、オイラもセシーリカさんと同じブランデーを下さいッス」
「礼拝ねぇ。じゃあ、『オイラにとっては女神様も同然ッスよ!』って叫んでたのもその一環?」
「ぶーっ。ゲホゲホゴホッ。……なんで、そんな事まで知ってるんッスか!?」
「いや、あの時、あの場にいた人はみんな聞いてるんじゃない?」
「しょ、しょんな広範囲にまで?」
「多分」
「……実はその……語るも涙、聞くも涙の話なんッスけども──」
「信者の誰かにフラれたとか?」
「──な、なして分かるんッスか!?」
「……いや、なんとなくね。で、誰にフラれたのか聞いてもいいかな。答えるのが嫌なら構わないけど」
「……平信者のマヤさんってご存知ッスか?」
「あ……うん、多分知ってると思う。今秋に結婚する人でしょ?」
「そうッス、そのマヤさんッス。彼女ったらオイラともあろう者がいるのにどこの馬の骨とも分らない野郎と結婚するだなんて、あんまりだと思いやせんか。オーイオイ、ぐびびっ」
「……一応、確認させてもらうけどね。彼女と知り合ったのはいつ?」
「ほへ? 三日前ッスよ?」
「……あたしが聞いた話だと婚約者の彼とは2年前からの付合いらしいけど?」
「……愛に時間は関係ねーッスよ?」
「少しはあると思うけどなぁ。でも、知り合って三日なら逆に諦めもつくでしょ?」
「チッチッチッ。恋する男心は逆ッスよ。ちょうど燃え盛ってるところでヤンスから! あー! もう! ぐびびっ」
「そんなこと力説されても……。でもさ、女の人は彼女だけじゃないんだし、リネッツァさんなら他に佳い人が見つかる……かも、よ?」
「……“かも”?」
「……“よ”って言ったよ?」

「で、でも。オイラ、最近気がついたんッス。恋人にするなら母神様の信者の女性に限るって」
「どうして?」
「母神様は慈愛の神様ッスから信者の方も当然、慈愛に溢れてるッスよね」
「そう……かもね。そういう人が多いのは事実かも」
「でゲショ。やっぱり女性は優しいのが一番ッスよ。でもって、母神様の信者は料理が上手ッス。だって、大地の恵みに感謝して生きてるんだから料理上手なのは当然っていうか信者の努めッス」
「それは……そうとも限らないんじゃない? ほら、料理の腕は個人差っていうか、個性であって、信仰心とはあんまり関係ないっていうか──」
「何か焦ってやせんか?」
「──そんなこと、全然ないよ?」
「兎に角、女性は料理が上手なのが二番ッス。でもって……」
「でも、それぐらいなら兼備してる人は他にもいるんじゃ……って、まだあるの?」
「勿論ッス。ある意味、男が女性に求める最たる要因がまだッスよ! ぐびびっ」
「……ふーん。で、何?」
「母神様は豊かな母性の象徴なわけで、母性の象徴といえば誰が何と言おうと胸ッス、つまりは母神様の信者は胸が豊かッス。……敢えて言うッス、セシーリカさんには母性分が足りないッス──」
「……さいてー」
「──何、言ってるんでヤンスか。男はみんな豊かな方が好きなんッスよ? ぐびびっ」
「ちょ、ちょっと。リネッツァさん? 飲むペース早すぎない?」
「な〜に言ってるんッスか、この程度の酒量でオイラが酔うわけが。もういっちょ、ぐびびっ」
「あ、それ、あたしの杯なんだけど……」
「おっと、こりゃ失敬、失敬ッス。だーいじょーぶ、ちゃんと返しヤンスから。店員しゃーん、ブランデーおかわり〜」
「別にいいよ。それより、もう飲むの止めときなよ」
「やー。それじゃオイラの面子が立たないッス。是非、お返しさせて下さいッス!」
「そこまで言うなら構わないけど……」
「えへっ。オイラにお任せッス。ぐびびっ」
「ちょ、それってあたしに返す為に注文した分なんじゃ?」
「んーんーん、んんんんんれんんんんんんっんん(訳:だーかーら、口移しでお返しするッスよ)」
「え? ちょ、ちょっ、きゃー!」


「ブッハァァァァァァァァッ」


「ったく。このバカは店内で堂々と何をやってんだか。セシーリカ、大丈夫か?」
「ラスさん、どうしてここに?」
「いや、何の因果か。このバカを捜してたら丁度、痴漢の現場に遭遇しちまってな、ほんと、ちょっとでも目を離すとろくな事しねーな、こいつは」
「……そうかも。だけど、ピクリともしてないのは流石にやりすぎだったんじゃない? その、ほら、男の人ってそこを蹴られると……死ぬほど痛いんでしょ?」
「こいつのは一度潰した方がいいぐらいだ。それに、これに同情しても損するだけだぞ?」
「そうなの?」
「おい、リネッツァ起きろ。全裸のマリエがいる」


「………………ど、どこにッスか!?」


「な?」
「……さいてー」


「……って、ラスのアニキが、なしてここに!?」
「いちゃ悪いか?」
「や、や、や、そんな事は全然ねーッスけども。できれば理由が知りたいかなーなんて思っちゃったりして、てへっ」
「ほぉ。理由が聞きたいか? 本当に聞きたいんだな? 聞いても絶対に後悔しないって誓えるな?」
「……あの、しょの、やっぱり遠慮──」
「リネッツァさん、ほら、マーファ様が見てるよ」
「ちょうどいいな、ほら、セシーリカの聖印に誓えよ」
「──や、でもオイラ、別に──」
「母神様の信者なんでしょ?」
「正確には“でもある”だけどな」
「そうなの?」
「騙されるなよ、セシーリカ。こいつは万事そういう奴だからな」
「──誓うッス。誓わせていただくッス、とほほ」
「よし、じゃあ、教えてやろう。ヒント1、チャ・ザ大祭目前の混雑に乗じた犯罪」
「……ほへ?」
「ヒント2、ユーニスとリック」
「……はえ?」
「ヒント3、精霊関係の魔法物品」
「……んや?」
「ヒント4、騎士崩れのギュンター」
「……げっ?」
「ヒント5、逆回しのグラハム」
「……んが?」
「ヒント6、尻拭いに狩り出された俺とリック」
「……やば?」

「……ね、何の話?」
「元を質せば、このバカが一流の冒険者になる為の本だかをつかまされたところまで溯るんだけどな」
「あぁ、あの本……って、それでも話が見えないんだけど……」
「で、魔剣を買う金がないバカは金策に走り回ってあちこちで雑用を請け負って回ってたわけだ」
「魔剣を買うって、あの本に書かれてたのは魔剣を持ってれば一流の冒険……あ」
「で、その課程で身内以外の人間にネタバレしたり、処理しきれなくなった仕事を揉消そうとして失敗したわけだ」
「……ふーん、これ以上は聞かない方が良さそうね?」
「そういうことだ。悪ぃな、お詫びに今度飯でも奢るからさ予定あけといてくれよ、な」

「さて、そろそろヒントはいいだろ。どうだ、俺が何でここにいるか、そろそろ解ったろ?」
「もしかして、逆回しの旦那が言ってた助っ人の心当たりってのが、ひょっとして……?」
「御明答。正解の副賞はパンチとキックだ、どっちを選んでもいいぞ」
「……どっちも遠慮──」
「正賞は、真夏の納涼企画ハザード河下りで海までの旅0泊0日、だけどな」
「──がくり」


「これで、後は揉め事の本題を解決するだけか。ったく、いくら仕事とはいえバカの尻拭いってのは釈然としないな」
「……ね、ラスさん」
「ん、なんだ?」
「あのね、男の人ってやっぱり、その、大きな方がいいものなのかな」
「……はぁ?」
「酔っ払ったリネッツァさんが言ってたから……」
「……あぁ、そういう話か。そんなのは個々人の嗜好次第だろ。実際、俺はそんな事ないしな」
「でも、男の人はみんなそうだって言ってたよ?」
「そんなわけないって。思いだしてみろよ、生きた実例が身近にいるだろ。リックっていう実例がな」
「あっ、本当だ!」



「ックション!」
「おや、夏風邪ですか?」
「いや。大方、お決まりの連中が悪口でも言ってるに違いない」
「ロビンさんあたりですか?」
「ラスかもな」
「シタールさんは?」
「ブーレイって線も捨て切れない」
「カレンさんは……なさそうですね」
「ジッカなら有り得る話だ」
「……友達が多くて結構な事で」
「誰が! あんな奴ら友達でも何でもない!」

「毎度ぉ、失礼するッス。あ、いたいた。リックおやびーん、捜しやしたよー」
「……言っとくが、あいつは子分ですらないぞ!」
「い、いきなり何ッスかー!?」