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追加の報酬
フォルティナート [ 2003/05/21 0:50:28 ]
  もう一度右手中指のどす黒い指輪を見る。これが魔法の発動体で、しかもミスリル銀で出来ているとは。
 ミスリルは加工する事によって様々な色彩を奏でる。だが、加工時に魔法を付与しなければどす黒いままなのだ。
 この指輪は偶然見つけられたミスリルを指輪の形にしただけで、それに“発動体作成”の呪文をかけただけのものだ。

この指輪を渡してくれながら酒場“竜牙兵の巣”の店主であるベルバトフさんは言った。

「これがあれば、今度は“仕事の時”に苦労しないだろ」

ラスさんの話しでは彼は元盗賊であり、元魔術師だったと言う。いや、だったと言うのはおかしいかも知れない。今でも古代語魔法を操れるはずだし、盗賊としても現役の若者には負けないと言っていた。

 確かに、今回の仕事(雑記帳:タトゥス老の依頼)では杖を持っていたせいで村人には警戒された。
しかし………彼の言う“仕事の時”と言うのはその話の事だけなのだろうか。彼は僕が盗賊でもあるという事を知っているのかもしれない。

 だが、それでも良いかも知れない。今度飲みに行くとも約束した。彼には色々と教えてもらえそうだ。

 それにしても………確かにこれなら誰も盗もうとはしないだろうな………