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技量以前に
アスリーフ [ 2003/06/14 4:06:12 ]
 冒険に向けての仲間探し・・・戦士がもう一人必要・・・も兼ねて久しぶりに傭兵ギルドの訓練場へ。
あいにくと仲間に出来そうな奴は見つからなかったけど、おれにとってものすごい収穫にはなった。

そろそろ帰ろうか、とも思っていたときに現れた戦士、スカイアー。
ラスと一緒に冒険に出るメンバーについて、腕利きの”剣”がいると言うので噂を聞き込んだり、自分なりに情報を集めたが、ここで本人に会うとは思わなかった。
初めて会ったときは知らなかったが、この界隈では有名らしい。

で、暇・・・だったのかは知らないけど、壁に凭れてたので声をかけてみた。
声をかけてからどうしようか迷ったが、練習に付き合ってくれないか聞いてみることにした。
彼は余計なことは言わず、ただ「おぬしがよいのなら、構わぬとも」とだけ言った。

一本勝負の結果は、散々なものだった。

彼は、構えを取っていない時でさえも静かで、揺るがず、流れるように動いた。
おれはと言えば、相手が構える前から圧倒されていた。
自分だって、15のときから冒険者として生きてきたのだから、多少の自信ならある。
この次にはこう動けばいい、これならどうだ、と考えながら戦いを進め、自分に有利な方へと展開を持って行き、生き残ることが出来た。
ただ無謀に戦っていただけだったら、貧弱ではないにしろ戦士としてはそう素質があるとも思えないおれは死んでいただろう。
しかし、スカイアーと対峙した時、すでにおれには何も見えなかった。自分が負ける姿以外は。

無意味な突きと、無駄な斬撃。これがおれの繰り出せた攻撃の全てだった。
しかも焦ったあげくに突きをくらい、姿勢を崩してしまうという体たらく!
彼は、決着の斬撃も放たなかった。

さらに、普段はこんなではない、などと言い訳を言ってしまったおれに、彼はこう言った。

「己より上手と立ち合えば、誰もが焦燥に駆られ、拙速に逸るものだ。普段がどうであろうとな。
そのような時こそ気力が試される。気で挫かれれば心が乱れ、乱れが身体に現れるのだよ」

おれの戦い方は、主に冒険の中で身に付いたものであって一対一の勝負には向いてない、とか何とか言い訳ならいくらでも思いつく。
そんなものは、ポイだ。
結局、おれの心、気力ですでに負けていたのだ。単純で、納得のいく結論。技量以前の問題。

その後は、さっきの感覚を思い出しながら真剣に練習に励んだ。
これから先、おれが冒険で生き残り、強くなるためにも「押されぬ」強さは必要だろう。

踵を返し、「愉しみにしているぞ」とだけ言って去ったとき、彼はどんな顔をしていたのだろう?
彼にとっても利益となる練習を次はしたいものだ、と思った。
 
29
アスリーフ [ 2003/06/30 1:03:18 ]
 
 
29の日 午前中
アスリーフ [ 2003/06/30 1:51:16 ]
 (宿で装備の手入れをしている)
 ・・・ふぅ、こんなものかな。
もう冒険者を四年ほどやってるけど、遺跡に行くのは楽しみで仕方が無い。
しかも今度はあのレックスに行くのだもの。行くの自体は初めてというわけじゃないけど、仲間を集めてここからでかけるのは初めてだし。

 ルクスとディーナから聞いた話では、幻覚の魔法のかかった塔らしい。二人とも随分と一生懸命に調べてくれているが、本当に詳しいことはわからないらしい。以前会ったとき、の話だけど。
途中での偶然の敵との遭遇はともかく、遺跡本体の仕掛けについてはおれは役に立たないかな?・・・まぁ、これは考えても仕方が無いかなぁ。

 ソラリスとの練習は毎回楽しい。
メインは”鍵”だそうだけど、十分に戦士としても通用するはず。多分、”鍵”になった後も、戦士としての仕事も多少ならずやっていたのだろう。
それに、盗賊流の技の応用も混じっていてそれが面白い。
本職の戦士であるおれもぜんぜん油断が出来ない・・・負けるわけにはいかないけどね(にやり)

 キャナルは、あの後あまり会う機会が無い。そろそろ、連絡を取らなくちゃ・・・仲間の誰かが、もうやってくれているのだろうか?

 以前に聞き込んだ情報からすると、ラスたちはもうそろそろ帰ってくるはず。ミノタウロスが倒されたこともすぐに広まって、その遺跡の辺りもより多くの冒険者達が来はじめるだろう。焦る必要は無いけど、急いだ方がいいな。

 さて、今日は雨も降ってない・・・晴れ間さえ見える。
オランの気候には詳しくないけど、多分午後も持つだろう。
ソラリスはもう行っているだろうか?おれも急いで行くとするかなぁ。
(剣とライトフレイルを見ながら、楽しそうに笑う)