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旅商人売録(1)
オン・フー [ 2003/06/16 17:26:33 ]
 近頃やけに物の売れ行きがいい。
商人として喜ばしく思うさね。
これも交流神チャ・ザのなせる業であろうか。

あまり何が売れたかとか買ったとかは記録しないが…
たまには、ちょいとまとめてみるか…
さて、思い出せるのは…

船乗りのお守り…
三本の剣のお守り…
煙草…
ムディール産の絹織物…
ムディールの短剣…
紅…
東方の香…
針のように細く鋭い短剣…
蛍石…

ああ…その他は…酒のせいで忘れちまったナ。
いけねぇ、いけねぇ…俺としたことか忘れるなんてよ。

明日もまた商売しなきゃナ。
とりあえず、珍しいものをまた購入しにいってくるかね?



ま、もっとも、売上よりも…
知り合った多くのお得意様のほうは忘れちゃいないがね。

(1)終わり
 
旅商人売録(2)
オン・フー [ 2003/06/26 3:08:53 ]
 今日は同じチャ・ザ神を信仰する神官戦士のスピカと言うお嬢さんに再会した。

確か前のときは“虹色鳥の羽根飾り”を購入してもらった。

虹色鳥はザーン諸島に生息する虹の七色を羽根にそのまま写したような珍しい鳥だ。
ある島の住民はそれぞれ羽根の色には様々な精霊が宿っていると信じているらしい。
それを身にまとう鳥は島の守り主が遣わした存在だという。
もっとも、それが本当かどうかは分からないが。

で、何でも、相棒の女性に送るとのことだ。
俺はお嬢さんに薦めてみたが、自分には派手過ぎると言っていた。
ま、それは個人の考え方もあるだろうから仕方ない。
そのかわり、お嬢さんは淡い色のリボンが欲しいと言っていた。

数日前から市場を巡って、品物を購入がてらリボンも探す。
幸運にも西方からの隊商から、かの染物産業で有名な西方ノミオル湖畔のザグニート物が手に入った。
今後のことも考えて余分に購入する。

で、一番のお勧めの、白地に薄紅色の一本線が入ったリボンを本日銀貨十枚で買っていただいた。
毎度毎度感謝さね。次は割り引きも考えておくかね?

さて、次は誰が何を買ってくれるか楽しみだ。
 
旅商人売録(3)
オン・フー [ 2003/07/13 21:27:23 ]
 「寒いな…おっさんのダジャレ」

…やれやれ。

リディアスの相手も楽しいが疲れるさね。
会うたびにからかわれるからなぁ。

しかし、頼れる奴には違いない。

以前、貧乏貴族からの依頼で探し物を頼まれたときだったな。
家を継いだばかりのお嬢さんからで、態度と言葉使いが尊大で気に入らないとリディアスは言っていたな。
盗難にあったものは、家系図を記した羊皮紙が入った鉄の箱。
家を継いだばかりのお嬢さんの正式な後継ぎを示す重要なものだ。

詳しいことは大雑把に省くが…色々な伝手を使って犯人一味を追い詰めたときだ。
相手に手強い剣士がいたんだ、その一味に。

俺だけだったら三回斬られてチャ・ザの御許へ一直線だったね、あれは。
だが、リディアスの剣さばきはそれに劣らぬ強さだった。

手強い剣士はリディアスに任せ、俺は犯人の盗賊とごろつきどもに専念できた。
で、事が終わるのに三分はかからんかったな、あれは。

実際に手強いのは剣士だけで、盗賊もごろつきも見た目だけだったさね。
幸い、家系図はまだ奴らが持っていて取り返すことが出来た。
もう少し遅かったら、犯人に依頼した人物に渡っていたところだ。

ま…この一件だけではないが…何はともかくリディアスは良き相棒さね。

この依頼を成功させておかげで、希少な名産ワインを直接仕入れることが出来た。
リディアスもその希少な名産ワインを手に入れ上機嫌だし…。

そうそう、今月の中旬にお嬢さんが正式に後継ぎであることを証明するパーティが開催される。
それに関して嫌な噂があり、そこで護衛を申し出たところ、向こうさんも懸念はしていた様だ。
申し出を受け、後日改めてリディアスがいる条件で依頼してきた。
で、パーティ中にリディアスはお嬢さんの護衛をする騎士役。
俺は道化師に化けて会場内と外を警戒する。

相手の刺客をいかにして防げるかは俺と相棒にかかっていると。
危険な依頼だが、これを成功させれば…商売繁盛さね。

来月分の予約もすでに取れているし…うん、これは…利益は凄いさね、うん。
後は…パーティ中にリディアスが騎士役を上手く出来る様、協力するだけさね。

さて、今日も変装して情報集めさね。
敵対する貴族とやら、その鼻をへし折るのも一興さね。
 
旅商人売録(4)
オン・フー [ 2003/08/12 17:06:23 ]
 八の月の十の夜・・・或いは十一の日の始まり

俺は一人カウンターで飲んでいたところに、一人の剣士が訪れた。
俺の記憶には無い剣士だが、見た目ですぐに”歴戦の剣士”と感じたさね。
ある一定の力量を超えた者にだけ持ちうる、静かで力強い・・・
”気”とでもいうのか、まぁ、そういうものを感じた訳さね。
彼の剣士は「スカイアー」・・・名を直接聞いた訳ではないが、後で店員に聞いたさね。
大勢の冒険者が訪れる中で店員が覚えているほど、かなり有名な人物だとのこと・・・流石さね。
酒を飲みつつ、酒の話しに花を咲かせ、スカイアーの出身を聞くとロマールだというさね。
ロマールは俺にとって第三の故郷とも言うべき(第一はムディール、第二はオラン)場所さね。
そこで彼は”禿鷹”と呼ばれる傭兵隊に所属していたとの事・・・俺は其の名称に聞き覚えがあったさね。
直接出会った訳ではなく、噂やロマールの武具商人から話を聞いていたさね。
まぁ、なんだかんだで話しているうちに、俺が売るものに興味が出たらしいので早速商売さね。
とっておきの”三本の剣の守り”(実は以前に他の冒険者にも売った物)を背中のリュックから取り出す。
最初は”チャ・ザに聖別された霊験あらたかなものか”と言われたさね。
まぁ、俺自身チャ・ザの神官だが・・・”はぐれ”で”腐れ”の俺は神殿には属してはいないさね。
ムディールの刀剣鍛冶師が剣士の為に作ったお守りと話すと、快く買ってくれたさね。
ついでにその刀剣鍛冶師に会いたいと。
気軽に「里帰りに同行するかさね?」と言ったら一言で応じてくれたさね。
いやはや、驚いたさね・・・しかし、これで今度の里帰りは安心できる旅になるさね。
もう一人、ミラルゴまで同行する陽気な草妖精がいることを告げておいたさね。
とりあえず、秋の十月の半ばをめどに出立の予定・・・さね。

もう一人、スカイアーとの会話中に訪れた一人のお嬢さんがいる。
イリアーネ・・・大地母神の神官さね。以前一度会った事があるさね。
俺は商売がうまくいった話しをすると、其れは良かったと笑むと同時に、鏡貝は売りきれたと思って残念そうな顔するさね。
ところがどっこい、実は粒が小さくて売れ残った貝で良ければあると言うと顔に笑みが戻る。
で、幾つか残ったものの中でイリアーネが選んだのは一番小粒・・・しかし、鏡の光沢が一番綺麗なものさね。
いや、流石さね。

さて、良い商売が出来た・・・さね、うん。
 
旅商人売録(5)
オン・フー [ 2003/08/12 18:02:23 ]
 八の月十二の日、昼間。

「オン、予定じゃもうオランを出てるはずじゃなかったのかい?」

商売仲間から言われた一言さね。

オランに滞在して二ヶ月ほど・・・今回は予定以上に滞在しているさね。
まぁ、こちらとら、自由気ままな旅商人・・・年の終わりまでに故郷ムディールまでに戻れればいいさね。

今までオランに来たのは四度さね。
初めて来たのは今から八年前・・・ようやく二十歳になるかどうかの頃だったさね。
旅の商人として、まだまだ未熟な俺が訪れたのは丁度今の時期、八月の初め頃だったさね。
そう、夏祭りの真っ最中だったさね。
今とは違って背が低いだけで無く、腹も出ていない、スマートな青年さね。
同時に”鍵”の修行をはじめて間も無い純朴なさね。

故郷ムディールの祭りも凄いが、流石はアレクラスト大陸最大の都市という名は伊達じゃない。
人が、そしてそれに訪れる国外の人々が、半端じゃなく多かったさね。

慣れない人込みに俺は四苦八苦し、ようやく一休みできそうな路地で足を止めた時の事さね。
一人の、同い年であろう娘が二人のごろつきにからまれていたさね。
娘は手に魔術師の証たる杖を構えたが、ごろつきに取り上げられていたさね。
嫌な言葉でからかう、にやけ笑いするごろつきを見て、俺が後ろから咄嗟に棒で・・・
流石に頭は届かないので、一人に膝に横から一発叩き込んださね。

其の後は・・・圧倒的に不利な俺はボコボコにやられるわけだったさね。
途中その騒ぎに気付いた衛視に追っかけられてごろつきは逃げていったがね。

娘はミネ・ジェーン・リーダムと名乗った・・・穀物を主に取引するリーダム商会の一人娘だとのことさね。
お礼に俺は館に招待されて、滅多にお目にかかれないご馳走に目を輝かせていたさね。
当時、主であったミネの親父さん、ルジゴ氏とは立場は違えど同じ商人と言う事で気が合ったさね。
それからミネと仲良くなり夏祭りの間は、充分楽しく過ごせたさね。
それに、旅の商人として経験した旅の話をしたり、吟遊詩人としての腕を持つ俺は色々と下手なりに歌を聞かせたさね。
其のたびに、面白い、凄い、下手だと明るい笑顔で俺の話と歌を聞いていたさね。

実に楽しかった・・・しかし、それもある日の些細な行き違いで・・・

夕方になっても学院からまだ帰らないミネに、待ち合わせ場所を館の老人に伝言したもらったのだが、
どうやら場所を誤って伝言したらしく、結局其の日は会えなかった。
そのことで、次の日にちょっと口論して・・・喧嘩別れしちまった。

たった一週間の出逢いだったさね。

結局、其の後は商人としての仕事もあったし、”鍵”の訓練もあったので忙しくなって、以来ミネの姿を見かけても声をかけなかったさね。
一ヶ月後、俺がオランを旅立つ時、一応別れを告げに館まで行ったが・・・
会う勇気も無く、羊皮紙に別れの言葉を書いて窓の隙間に刺し込んだだけさね。

それから三年後・・・久しぶりに帰ってきたオランで知った事・・・
俺が旅立って一週間後、リーダム商会が穀物の取引に失敗、同時にルジゴ氏が馬車の事故で死亡してしまったことだったさね。
大きな商会として名を馳せ始めていたリーダム商会は、多くの支店を解体され、本店からは多くの財産が借金に消えたとのことさね。
そんな商会の跡を継がざるを得なかったミネ・・・三年後に会った時には、もう前の面影は無かった。
荒波に揉まれ、凄まじい地獄の中を生き抜いたかのごとく、柔らかな笑顔は無く、冷たい微笑に鋭い目つきになっていたさね。

「今更何の用?」

尋ねた俺を見て、会うなり一言・・・嘲笑うような辛辣な言葉だったさね。
彼女の深い絶望と苦労の果てに、リーダム商会は小さいながらも立ち直っていたさね。
ただ、同時に其の為に裏の世界に深い根を張り、それに関係を持っていたさね。

もはや・・・いや・・・言うまい・・・

以後、俺と彼女は良きにしろ悪きにしろ・・・商売敵になったさね。
それは今にも至っているさね。

今日もまた俺の仕事に、横槍を入れたり、妙な協力がある・・・
 
旅商人売録(6)
オン・フー [ 2003/09/30 19:32:45 ]
 【銀の小鳥】

「はて・・・さね?」

あらかた商売も終えて、今日の疲れをエールで癒そう。
そう思った矢先に、”気ままに”亭の店先で妙な落し物を見つけた。

「髪飾り・・・さね」

銀で小鳥を象り、所々に赤い小粒の宝石が埋め込まれた髪飾り。
見たところ新品に見えるが、良く見れば骨董品級の古さが見える。
拾い上げて、周囲を見るが誰も落とした素振りはしていない。

「ここの客の落し物か・・・さね?」

店に入り、常連か客の物かと、店員に尋ねてみるも見覚えが無いと言う。
そこに”杖”、魔術師のお嬢さんのディーナが来た。

「いえ・・・・・・見覚えではないんですが・・・」

おや、残念・・・

「・・・あ、いえ、もしかしたら、見覚えがあるかもしれません」

ほぅ?

つまりは誰の物かは見覚えは無いが、何か見覚えがあるという言う事か。
聞くと昔、古代王国時代末期に好まれた模様に似ているとの事。
どの文献かは忘れたとはいったが。

「ふぅむ・・・なるほどさね」

もしかしたら、魔法の品物かもしれない。
そうでなくとも高価な品物、念の為、衛視に届け出ることにする。
ついでに妙な魔法がかかっていないか、学院にも鑑定してもらうことも。

寝床への帰り道。

「まさか、これが呪いの品物・・・わけないさね」

軽く笑って呑気に鼻歌。
其れを知るのはまた後の話し。
 
旅商人売録(7)
オン・フー [ 2003/11/03 14:49:44 ]
 オランを出て、しばし別れ。

また訪れる事を誓い、ムディールへ。

訪れる四の月、春告花の咲く頃まで、しばし別れさね。

”世に生きるものは 天よりの雫

 雫と雫が出会いて 小川になる

 小川と小川出会い 大河となる

 やがて大河辿るは 大いなる海

 大いなる海 即ち出会いの記憶

 我は忘れぬ 例え別れようとも

 我は忘れぬ ここでの出会いを

 我は忘れぬ また会えると信じ”

旅商人オン・フー 新王国歴 515年 10の月 30の日 オラン出立の朝に記す
 
旅商人 売録(8)
オン・フー [ 2004/08/16 2:39:20 ]
 さて、久方ぶりにオランでの話を書き留めておくとするかね。
長い間ほったらかしだったからナ。

チャ・ザ大祭もとっくに終わって、久しぶりに涼しいある晩。
気ままに亭に寄って、一日の疲れを癒そうとエールを注文した。
そこには、キャナルというファリス神官のお嬢さんがいた。

前の日、太っちょの或る男の護衛をしていたのを目撃していたのを思い出す。
なにか愚痴を酒場の店員に言っていたのも、その護衛についてらしい。

挨拶を済ませ会話を交す。
護衛していた男は、我侭無愛想なとても困った性格の持ち主。
俺も以前、其の男の護衛をしたが、実に自尊心が高くて困った相手。
俺がチャ・ザ神の神官でも、今後の交流は避けたいと思ったほどの人物だ。

しかし、実は其の男、異常なほどの臆病だったのだ。
それに、疲れても自分からは休むとは言えない奴。
だからそれを隠そうと我侭で無愛想になっているのだと。
また、護衛を完遂した暁には必ず報酬を払ってくれる評判が或る。

一種の我慢の修業と思えば、案外受けてみるのも良いかと・・・
流石に俺は二度と受ける気はしないがね。

そんな話をしていると彼女は可愛いと思えてきたという。
まぁ、嫌な人間も弱みを見てみれば、そういうもんだと思う。

そうそう、彼女には大祭で売れ残った鏡貝のネックレスを売った。
護衛中におでこに傷も出来ていたので、軟膏をサービスにつけた。
で、特別価格で銀貨二十枚で売ることにした。

彼女は驚いていたものの、今後も宜しくと言う事で納得してもらった。
だって、将来のお得意様かもしれんだろうしな。
客は多いほうが良いというし。

さぁて、今年はオランでじっくり商売に冒険に頑張ろうかね?
 
旅商人 売録(9)
オン・フー [ 2005/04/29 4:17:21 ]
  久々にエレミアへ行商しつつ、再びオランへ戻る。

 早くも初夏のような日差しのエレミアから帰って見りゃ。
 オランはまだまだ春の陽気。

 俺の故郷は東の最果ての王国”ムディール”。
 今頃は綺麗な桃色の花を沢山咲かせるアラカスの樹が真っ盛りのはず。

 故郷を思い出すそんな日だったさね。

 久々に”気ままに”亭を訪れる。
 最近は(あくまで副職の)冒険者らしい事はしていないなぁと思いつつ。
 何気なく見た依頼表のボードに俺の眠った冒険心が目覚めた。

「お、こりゃ珍しい。遺跡探索さね!」

 本業は行商だが、たまにはこういう事もしなきゃ勘が錆びるってもんさね。
 交流神にして幸運神のチャ・ザの神官、まぁ腐れ神官でもあり。
 同時に盗賊でもある俺さぁね。
 揺り動かされる事だってそりゃあるさぁね。

 そういう事で・・・

「旅商人オン・フー、暫く休業、そして冒険商人オン・フー復帰さぁね!」

 早速、同行する事に申し込んださね。

(交流神チャ・ザよ、この仕事の出会いに感謝致します)

 さぁて、どんな交流が待っているか、楽しみさぁね。
 
旅商人 売録(10)
オン・フー [ 2005/11/27 19:52:44 ]
  今年もムディールに帰る時期が近付いたさね。
 とはいえ・・・。

 一昨年は帰った。
 去年は帰らなかった。
 今年は・・・。

 どうする?

 どうしたものか・・・

 ・・・

 (何か大事な事を思い出し、忘れていた事に気付く)あ。

 ・・・

 よし。
 今年も、オランで年越しだぁな。
 
旅商人 売録(11)
オン・フー [ 2006/05/08 23:46:32 ]
  本業の商売であれこれと精を出して働けば早五月。

 新たな歳の始まりを新たな交流と絆の期待に祝った一月。
 冬の寒さ真っ只中にあえてオラン国内の村々へ行商した二月。
 時折の暖かさに春物を仕入れるか迷って損した三月。
 花咲く街に溢れる人々相手に商売商売と兎角声を張る四月。

 たまにはと「きままに」亭へ久しぶりに顔を出してみる。

 百戦錬磨の剣士、スカイアーと再会。
 なにやら馴染みの魔術師から厄介なものを預けられたとか。
 素人にゃ分からないが本業にすると危険なモノとか。
 故に、馴染みのスカイアーに預け賃まで払って持たせるとは。

 魔術師ギルドか故買屋紹介するかと言えば。

「契約を尊ぶチャ・ザの男が、反故を薦めるとは世も末だな」

 いやはや、ちょいと耳に痛い言葉が。
 まるで剣の如しの一撃に似たり。
 まぁ、馴染みに厄介を押し付けるのも契約とは言えないからなぁ。
 そんな言い訳もするが、あれは実際そうしたほうが懸命かもしれん。
 そう思ってついつい出た商人根性とは別の言葉だったり。

 危険な匂いってのは突然感じるもんだからなぁ・・・
 機を見て突き返すとか言っていたから大丈夫か。
 後日談を聞かせてくれと冗談半分で聞けば。

「お前が銘酒の一杯も用意する心積もりがあれば、その気になるかもしれぬ」

 はは、また思わぬ一閃の太刀の如し。
 ま、近く、こういう時のために銘酒の予約もしておこうかねぇ。

 チャ・ザ神よ、今日も良い交流に恵まれたことを感謝す。