剣を選りて往く |
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エクス [ 2003/06/25 22:48:25 ] |
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| 過去は鎖となりて同化し。
抗えぬ衝動のままに現在(いま)を生き。
その瞳だけは、憧憬を込めて未来を探す。
剣よ。剣よ。
ヒトが誰かを殺して生きるモノであるならば。 俺はお前を放すまい。 そして、俺はユメを掴む。 |
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回想録乃序 |
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エクス [ 2003/10/07 20:06:33 ] |
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| 旅の末、オランに辿り付いて幾月。 少なくとも、俺は生きている。自分の意志(こころ)で、道を選びながら。
日記を付ける習慣は無かったが、暇を見て回想するのもいいかもしれない。 見てきた街並みを。 過ごしてきた日々を。 触れ合った人々を。 己と、他者に刻んだ傷を。
……だが、まずは当面の問題を片付けなくてはなるまい。 つるぎがゆめみる時間は、鞘に収まってから……そう、決まっている。 |
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遊戯盤乃章・壱 |
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エクス [ 2003/10/07 20:07:44 ] |
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| チェス盤に憑い付いた幽霊の爺さん、ランドルフ 彼をを昇天させるのが、今のラスの仕事だという。 だが、爺さんが現世に拘っている理由はチェスを打ちたいだけじゃない、とラスは言う。 最初はあいつのカンだったが、それを手伝い、調べている内に、 そのカンは俺の中でもおぼろげな確信へと変わっていった。
ハイウェイ・スターと名乗る博徒をラスの家に案内し、 彼と共に爺さんに取り付かれたラスと二面打ちのブリッツで揃って敗退し。 居合わせたクレフェと与太話をしてから、 爺さんがご執心だったという娼婦の居た店へ向かう。 本当に高級店だな、こいつは。 報酬に流行りの香油を貰ったとはいえ、自腹で入えるには痛すぎる。 ラスの相棒、カレンも探りを入れに来ているようだし、 主人や娼婦たちは彼に任せて、俺は下働きの子や周辺を当たってみるとしよう。
そして、爺さんがご執心だったという娼婦、シノア。 彼女と親しかったという店の見習いの子から聞けた話が二つ程。 一つは、爺さんはシノアとチェスを打つだけで、手を出そうとはしていなかった事。 これはラスから聞いた話の裏付けに過ぎない。 ただ、見習いの子が言うには、あの二人は恋人というよりは…… そう、まるで親子のような交わり方をしている様に見えたらしい。
もう一つは、シノアに会いに来ていたという、西方訛りの男の存在。 男はシノアの遠縁だと名乗り、彼女にこっそり合わせて欲しいと見習いの子に頼んだそうだ。 小金を渡され、情にもほだされた見習いの子の手引きで、 その男はシノアと幾度か話をしていったそうだ。
そこまで聞き出せた所で、情報提供者の少女に礼を言う。 ありがとう。こいつがお礼だ……って、え? 礼は要らないからお願いがある?
……ゑ? もうすぐ私も店に上がって客を取らなくちゃいけないから、俺に最初のお客さんになって欲しい? ……いや、まあ、その……な。 ……善処しよう。
割に合わないかもしれないな、この仕事。などと思いつつ、 翌朝ラスの元へ向かい、情報交換。 爺さんのライバルだったらしい皇帝髭の話を聞いていると、カレンから連絡。 シノアの死んだ場所の近く、上流階級の立ち並ぶ辺りで聞き込みか。 了解。乗りかかった船だしな。
……そして、この仕事が「割に合わない」と、さらに痛感する羽目になる。 |
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