| 哀犬物語 |
|---|
|
| アルファーンズ [ 2004/09/04 16:48:14 ] |
|---|
| | (PL注:このスレッドはちょっと特殊な日記スレッドです。 馬鹿っぽくて笑って楽しめるような、ちょっとノリの軽い事件の日記です。形式としては「霞通り」や「ヒヨッコ詐欺」に近いもの(ネタとしては「ラス(小)」に近いかな?)で、乱入者大歓迎の方向になります。 関わってみたい方は、この事件の受難者アルファーンズを好きに扱ってくださって構いませんので、どんどん絡んでください。彼の行動制限はかけませんので、いつどこででも使ってやってください。無論、チャットで扱っていただいても構いませんし、声かけてくださればフリチャに参上します(滅) コンセプトとしては、前述したとおりの「軽く笑える」ですので、どなた様も行き当たりばったりにお気楽に絡んでいただければ幸いです。長文失礼) |
| |
| プロロゴス |
|---|
|
| アルファーンズ [ 2004/09/04 16:49:53 ] |
|---|
| | 「良い事の後は悪い事もある」 いつか、ワーレンが言ったセリフは、果たして正しかった。
● ××生活 はじまりの日
「こ、こひつは・・・・・・」 一日にして巨額の富を得たロンデルさん(この辺りの事情は、ログ参照→http://www4.ocn.ne.jp/~nekomi/log.htm)から鑑定を依頼された品物のひとつを見て、俺は思わず息を呑んだ。 銀の耳飾り。それだけならありふれているが、それに嵌め込まれた、なんとも形容しがたい色彩を放つひとつの宝石。 これが目の前にある文献に書かれたものと同一なら、俺の鑑定史上最大の価値を持つ品物になるだろう。
プーカの耳飾り。 耳に付けて念じるだけで、妖精プーカのように瞬時にして小動物に変身できるとか。ちなみに、お値段なんと約17万ガメル相当。 魔法の品もいくつか鑑定してきたが、これほど高価なものを手にしたことはない。いいものだったからといって鑑定料が追加されたり、自分のものになるわけではないが、やっぱり手が震えてしまう。 ちょっと宝石の色がどくどくしかったり、形がいびつかなと思ってしまうところはあれど、紛れもなくそれは文献に記されたプーカの耳飾りと同じものだった。 そしてもたげてくる、好奇心。依頼人に効果を確かめるために使ってもいいかと冗談交じりで聞いたら、「壊れたり使用したことで価値が下がらないものなら、構わない」と言われている。 必要以上にドキドキしながら、耳に付ける。こんなにドキドキしたのは、ガキの頃初めてスカートめくりしたとき以来かも・・・・・・ゲフンゲフン。 「・・・・・・とりあえずネコにでもなってみるか。いや、飛んでみたいから鳥がいいかな」 変身するものを頭で強く念じてみる。
にょもにょもにょもにょも。
「・・・・・・・・・あれー?」 変身しなかった。俺ってそんなイメージが貧困かな? そう思って、次はよく知っている部屋にたまに餌をせびりにくるネコを頭の中で想像して念じてみる。 それでもダメだった。次にプーカの文献に載っていた変身する代表例を次々にイメージしてみる。狐、小鹿、兎、リス・・・・・・結果、どれもだめだった。 「・・・・・・違うのかな?」 耳から外して、よーく観察してみても、こんな奇天烈な宝石が付いているのはそれ以外、この文献では該当しなかった。 ふと、耳飾りの裏側を見てそれに気付いた。下位古代語が彫ってある。 「何だ、合言葉がいるのか・・・・・・なになに、動物の名前を付けて、《獣化》か。なかなかいいセンスだ」 頷いて、耳に付け直す。今思えば、ここで合言葉の存在を疑わなかったことが原因だったんだろーな。本来、念じればいいだけのモノに付けられた合言葉。それの意味とは? 「とう! 次は犬だ。犬になーれ、《獣化》!」 下位古代語で高らかに叫んでやる。
にょもにょもにょもにょも。
視界が暗くなり、次に晴れたときには目の高さが随分と下がっていた。 首が回る範囲で、自分の身体を確かめてみる。さらさらした金色の、素敵すぎるくらい毛並みのいい身体。ぷにぷにした、超ぷりちーな肉球。顔は見えないが、とてつもなく愛くるしいだろう。 「わんわん! わわんわん!(訳:やった! 変身できた!)」 目の高さから、想像以上の小型犬だってゆーあたりがなんか気に入らないが、これはホンモノに間違いなさそうだ。さっそくロンデルさんに知らせてやろう。もしかしてもしかしたら、鑑定料を追加してくれるかもしれない。 えーと、戻るときは念じればいいんだよな。 ・・・・・・・・・。今、気のせいかものすごく嫌な予感がした。それを払拭しようと、あせあせと念じてみる。 (もどれもどれもどれもどれもどれ) ・・・・・・・・・。戻らない。 落ち着け落ち着け。コマンドワード! 「もとに戻れ、《獣化》!」 と、いったつもりだった。が、実際に出たのは「わわん! わん!」というぷりちーな鳴き声。 「わぉぉぉぉぉん!?(訳:なああああああ!?)」 俺様、一生の不覚! そう。変身するのに、本来いらないはずの合言葉がいる意味。ホンモノに比べて、ずっと質の悪いもの。模造品。或いは、失敗作。その単語が頭をぐるぐる回る。 どうするー、アルファーンズー。目をうるうるさせながら途方にくれる。いや、むしろアルワーンズか? とくだらないことまで考えてしまうほどに。 はっ。そうだ。プーカの耳飾りでも、ディスペル・マジックで解除できるって書いてあったぞ! ディーナだ、ディーナ! 駆け出して、部屋をどうにか出ようと扉と格闘すること数分。何とか扉を開けたところで、重大なことに気付いた。 「あおおおおおん!(訳:しまったぁぁぁぁ!)」 俺、言葉喋れないじゃん!
こうして、俺の犬生活が始まった。 どうにかして俺の状況を伝えたいけど・・・・・・・・・果たして、伝わるんだろうか。幸先、超不安。 |
| |
| 犬嫌いと傭兵 |
|---|
|
| アルファーンズ [ 2004/09/05 4:00:12 ] |
|---|
| | ● 哀犬生活 1日目
相変わらずガラガラの流星亭を出て、町をさまよい歩く。目指すはディーナだ。とにかくディスペルしてもらわんことにはどうしようもない。 だが、あいにくディーナは不在らしく、待てども待てども帰ってこない。 ・・・・・・あ。そういえば俺と約束してたんじゃん! それを思い出し、ダッシュで流星亭に帰るも、どうやらここでもすれ違い。どうしたもんかと途方にくれつつ、また街を探索。
うー。がるるる! 日が沈んで夜が更けてくるまで探し回ったあげく、まに亭の近くまできたところで、犬に喧嘩売られてしまう始末だ。 縄張りを荒らされたと思ったのか、やたらつっかかってくる犬。爪やらで引っかかれ、噛み付かれ。慣れない体と体格の差でどうにもならない。が、いいものが目に飛び込んだ。 ひょいっと身軽なのを利用して、わき道に積んであった酒樽の上に退避。それでも問答無用で突っ込んでくる犬が―― ぎゃん! 腐ったドブ板を踏み抜いて、頭からドブに突っ込んだ。わはははは、頭を使えばこんなもんよ! よく効く鼻のせいで、ドブの悪臭に参ってやがる。この隙に店ん中に逃げ込もう。
「みぎゃああああ!」 俺を出迎えたのは、キャナルの絶叫。そこまでか、そんな悲鳴をあげるほど嫌いなのか!? 「ひょっとしてさっきの喧嘩はお前がやったのか?」 もう一人。傭兵のサイカがいた。こいつは見かけによらずいい奴だった。店員の白い目も気にせず、応急手当の道具を取り出して、手当てしてくれようとしたのだ。 「応急手当は私の方が慣れてるわ」 随分迷っている様子だったが、結局キャナルも手当てしてくれた。なんだ、ぎゃーぎゃー騒いでたくせに、なかなか根性あるじゃないか。神官らしいところもあるみたいで、見直したぞ。 本当に慣れた鮮やかともいえる手つきで、傷を見て汚れを拭いて、水を含ませたガーゼで拭いて、最後にサイカが包帯を巻く。 「とりあえず私に出来る事はしたわ。んじゃっ!」 手当てが終わるや否や、ソッコーで隠れてるし。・・・・・・やっぱ根性なしだわ、こいつ。 それに引き換え、サイカはうん、やっぱりいい奴・・・・・・・・・この調子なら、俺が誰だか気付いてくれそうだ。必死に俺がアルファーンズであることをアピールする。 「なにがしたいんだろう? ・・・・・・お手」 ・・・・・・・。やっぱ、こいつもダメだ。これでどうだとばかりに、皿とフォークを使った俺の戦闘スタイルさえも。 「傭兵の真似? サーカスから逃げた犬なのかしら?」 「ちょこんと座って、酒を待ってるんだろう? なかなか礼儀をわきまえた犬だ」
・・・・・・・・・もうダメだ。キリがない。
こうして、ディーナ探しと意思疎通に失敗した1日目。 とりあえず流星亭に戻ろう。部屋に戻れなくても、店の横の路地なら雨風くらいは防げるだろう。 ・・・・・・なんか、逃亡生活以上に貧しい生活だな、俺。 |
| |
| 一難去って |
|---|
|
| アルファーンズ [ 2004/09/14 1:49:23 ] |
|---|
| | ● 哀犬生活 何日目だったっけ
あれからいろいろあった。 もう涙なしには語れない、苦労と悲哀に満ちた日々だった。 なんか思い出すだけで悲しくなるので、詳しくは割愛。
そして今日。ようやく人間に戻れた。戻れたのだが・・・・・・
「きゃ、きゃーーーー! アルさんのバカっ!」 戻った瞬間、ディーナにどつかれた。 なぜに・・・・・・と思って自分の体を確かめると。 「・・・・・・っきゃー!」 思わず俺まで甲高い悲鳴をあげたじゃないか。どんな格好かって、そんなこと口にしたくない・・・・・・。
どっちにしろ・・・・・・言いようの無い脱力感が俺を支配した。 「お、おい?」 下にいたサイカも、なんとなく犬になっていた事情は察しているのだろう。 「・・・・・・何も聞くな。これは犬になってた間、世話んなった礼だ。飯でも食ってってくれ・・・・・・」 「・・・・・・あ、ああ」
・・・・・・めそめそ。俺、とことんついてないのかもしれない。
もうひとつ不安。解除の魔法で壊れた、プーカの耳飾り(失敗作)。 弁償しろっていわれたらどうしようか・・・・・・。
・・・・・・厄年かも知れん。 |
| |
|
|---|