星屑の楽園 |
---|
|
あらすじ [ 2003/03/31 23:08:28 ] |
---|
| 遥か昔、一人の魔術師がいた。 星を目指し、挑み、流れ、そして星屑と成り果てた男。名をアーヴィン。 彼の残したあまたの遺跡ひとつ。レックスの北東部に佇む、2階建ての住居跡。 今そこに一組の冒険者が挑もうとしていた。
戦う知識人を名乗るアルファーンズを筆頭に、グレアム、キア、コーデリア、ユーニス、ヴェルツォの6人。 様々な思いを胸中に冒険は始まる。果てして此度の冒険、成功するのか失敗するのか。 それは星のみが知っているといったところだろう。 |
|
うららかな道程 |
---|
|
グレアム・コール [ 2003/04/01 22:45:17 ] |
---|
| <4の月 1の日>
ああ〜〜いい御日和ですねぇ。お天気も春らしくなってきて。まだ、風が少しばかり冷たいですかぁ? いえ、でもこうやって、日向を歩くと、なんともはや……いい気分ではありませんかぁ〜〜(ほにゃ)
「………………あんたと歩くと眠くなるわ」
おや。お疲れですか、コーデリアさん。これはいけません。どこぞで休憩でもいたしましょうかぁ。 そうそう、休憩と言えば。妻が、「1日目くらいは、保存食ではないものを」と言って持たせてくれた軽食があるんですよぉ。 林檎とクルミを使った焼き菓子なんですけれど。
「にゃっ! 休憩するん! 今すぐ休むんっ!! おっちゃんおっちゃん、早くそのお菓子ぃっ!」
あははぁ〜〜。キアさん、そのように走っては転んでしまいますぅ。
−そして休憩−
「ところで、グレアムさん。これから向かう遺跡のことなんですけど。確か事前に聞いた話では……」
そう。そうですねぇ。ヴェルツォさん。 せっかく休憩しているのですから、有意義な時間の過ごし方をするのも良いですねぇ。うふ。
──えー。アルファーンズさんとご一緒に調べまして。 “星屑”アーヴィンの遺跡。あ、アーヴィンに関してはアルファーンズさんがお詳しいですぅ。 わたくしは、建物のほうを調べましてですね。 最初に、アルファーンズさんに、館のデザイン画をお借りしまして。その後、調査するにつれ、他の文献も幾つか見付かったのですよ。 ええ、それがもう素晴らしい建物で(うっとり)
まず。独特のフォルムをもつ、この柱ですねぇ。柱頭飾りも、多少は成金趣味なところがありますが、洗練された美しさですぅ。 そしてその柱に囲まれた光庭。光庭と申しますのは、今の言葉ではドライエリアなどとも申しましてですね。ええ、建物の内側に作られる、外の光を取り入れる場所ですぅ。中庭とは少々違いまして、とくにこの館における光庭の独特さは他に類を見ず……(延々)
「…………おい。ユーニス。グレアムおっちゃんの喋りを止めろ」 「え。どうやってですか?」 「何でもいい。何か話しかけて、とか。違う方向へ質問して、とか。いろいろあんだろ」 「はい。わかりましたー」
あ。ユーニスさん。挙手なさるだなんて、神殿の寺子屋にいる子供たちのようではありませんかぁ(笑) …………他に何か独特のものは、ですか?
……………………。 ……素晴らしいっ! そうです! それこそが、今回の遺跡において最も重要でして!(喜色満面) その光庭から続く、天文台というものがありましてですね。 ええ、さすがに、星にこだわり、星に生き続けた魔術師の館です。ええ、星を見るための施設があったんですねぇ。 細かい図面などは残っておりませんが、外観のデザイン画だけならありましてですね。 これがまた、素晴らしいデザインで。使われた石材は、当時の最高級品とも言われる、白大理石。いや、これが普通の「白」じゃありません。光の加減で銀にも見えるという石で、今では採掘される場所が……(延々)
「ユーニスっ! てめぇ、なんてことしやがるっ!」 「え。だって、アルが言った通りに他のこと質問して……」 「俺は止めろと言ったんだ。油を注げと誰が言ったっ!?」 |
|
ダブル薀蓄 |
---|
|
アルファーンズ [ 2003/04/02 16:05:34 ] |
---|
| <4の月 1の日 夜〜>
野営中。 ひょんなことからグレアムおっちゃんの建蓄(建築薀蓄の略)がまたはじまった。 放っておくと朝まで付き合わされちまうぜ。 てゆーか、ぶっ続けじゃ無いとはいえ、ずっとしゃべっていられるその建築知識に軽く驚きを隠せない。 ともかく、古代の知識があまり無い他の面々はもとより、さすがにそろそろ俺も理解に苦しんできた。 さっきは失敗したユーニスが「次こそやるぞ」みたいな決意に満ちたガッツポーズをしながら挙手しようとする。 ・・・また無理っぽいな。 ――ユーニス、次は俺が止めに入る。 「お、お願いねアル」 おーよ。任せとけ。お前の二の舞にはならねーよ(笑いながらグレアムの方へ)
「ですからこの場合の柱頭飾りの持つ意味はですね・・・」 ――おーい、グレアムおっちゃん。確か天文台ってのがあるって言ってたよな? 「ええ、そうですよ。高い高い塔でしてね。天を仰ぐための塔なんですぅ」 ということはだ。俺の推測だと、そこにはかなり魔力の高い《遠見の水晶球》もしくはそれに順ずる魔法の品があると思うんだが。 さすがに高い塔があるだけじゃ、《遠見》の魔法を使ったとしても星を詳しく観察できねーだろ? となると、方法としては星界まで見ることのできる強大な魔力を保持した水晶球あたりがあったとは考えられねーか? 《遠見の水晶球》で見ることの出来るのは通常、自分の行ったことのある場所や水晶球の魔力が及ぶ範囲だけだ。 だが、魔法王国の力は偉大だ。中には魔力の結界を破って通常見ることの出来ない場所や、物によっては異世界を見せてくれるものまであるってゆーんだな。 異世界を見れるのははまぁ伝説級の水晶球だとしても、“遥かなる”アレックスはロードス、イーストエンド、さらにはいくつかの未開の島まで見渡すことのできる水晶球を作ることに成功したらしい。 だから、それ以降の時代―古代王国繁栄期あたりだな―にはもっと性能の高い、それこそ星界を見渡す水晶球があるかもしれないってことだ(云々)
「・・・・・・変わんないじゃん!!」 「私も興味ないこともないけれど・・・ここまで来るとちょっとした病気ね」 コーデリアとヴェルツォの呟きも耳に入らない。 「き、キアちゃん。こうなったらアルを止めるために少し早めの食事を・・・」 「ばっちりおいらに任せるんよ、ねーちゃん」
(まだ続いているグレとアルの微妙に話が食い違う議論) それで、もしそのレベルの水晶球が見つかったら50万・・・いやひょっとすると100万くらいの価値になるかもな、想像だけど(快活に笑う)
『ひゃ、100万!?』 その果てないと思われた薀蓄&議論は、耳にした値段に目の色を変えた4人によって強制終了させられたのであった。 |
|
ヨソクのギモン |
---|
|
キア [ 2003/04/03 0:46:20 ] |
---|
| <4の月 2の日 朝〜>
(野営の朝)
起きろー、起きるんよ、朝ご飯できたん(食事当番続行中)
「………うるせぇ」
にーっ!アル兄ちゃん、ほっぺひっぁるんは止めるん!(べしべし!) 大体夕ご飯食った後、後片付けも手伝わんとグレアムのおっちゃんと、第3次ウンチク談議ボッパツさせたんが悪いんよ、おかげでおいらの見張りの番が朝方に回って来たんから、早めに朝ご飯作成に入れてよかったんけどね(にま) それに、寝てるんはアル兄ちゃんとグレアムのおっちゃんだけだよぉ、皆はもー起きたん。
「…あ、まじで?」
うみゅ、ほーら(そういって寝ているグレアムを示す)
「………ですから……の構造が…(むにゃむにゃ)」
「幸せそうだな…」
幸せそうなんねぇ…
〜朝食タイム〜
んで、ちっと気になったんけど、やっぱ、遺跡だから魔法生物とかいそうだよねぇ?
「そうだな、これだけの施設だから、やっぱ護衛にガーゴイルやゴーレムぐらいは置いていそうだな」
うみ、その辺は、ヨソク可能範囲なんで、いいんけどね。
「なーに?キアちゃん気になる事でもあるの」
あんね、アーヴィンってしょーかん魔術師だったんよね?昔は、今じゃないような魔術もあったんでしょ?だったら、なんかしょーかんしてゴエイをさせてたって可能性も、ありだよね? んで、その可能性があるとして話進めるんけど、それが今もゴエイしてたり、しょーかん主がおらんくなったから、帰れなくなって遺跡内うろついてるんて事も、ありそーじゃないん?
「まぁ、あるとしての話しだ、取り越し苦労かもしんねぇだろ?」
むー、それは、そーなんけど…そだ、所で、グレアムのおっちゃん。 「はい?どうしましたかぁ?」 昨日話してた奴なんけどね、光庭と中庭って、どー違うん?
〜朝食後〜
「今までの話も踏まえまして、キアさんにも分かりやすくいいますと、光庭と中庭の違いですが…」 ???(すでにちんぷんかんぷん)
「まだやってんの?グレアムおっちゃんとキアの奴。しゃぁねぇなぁ、またオレが止めに…」 「あんたが言ったらまた長くなるから、やめて」 「任せろって、おっちゃんとまんないならキアとめりゃいいんだ、おーい、キア、そろそろ出発だぞ、ちんたらしてたら今日の夕飯抜ぬくぞ!」
(ぴく)はい、出発します!ほら、グレアムのおっちゃんも、そろそろ出発するんよ!ステキな建物がおっちゃんのとーちゃくをまっているん!(手を引いて出発) |
|
生まれたばかりの月 |
---|
|
ユーニス [ 2003/04/03 21:05:57 ] |
---|
| <4の月 3の日 朝〜>
健やかな目覚め。今日はいよいよパダの街に着く。昨日、夕食用にコーデリアさんと二人で狩った兎のシチューが残るかと思ったけれど、アルとキアちゃんの食欲の前には一滴も残らず。 兎のおかげで干し肉を一食分浮かせられたから、少し食料に余裕が出来て良かった。 とりあえず元気でご飯が美味しいのは今後の旅程を考えるといいことだ。野営地を早くに出立する。
《街道沿いの広場にて休憩中》 「ねーねー、きのうヴェルツォねーちゃんと何話してたん?」 「ん? ああ、一直目のときかな? あのね、星を見ながら遺跡の中の事について話してたの。……そうだ、ねえアル、昨日ヴェルツォさんと話してたんだけれど、星にまつわる装飾があるのなら、遺跡の入り口とか内部にはやっぱり星に関わる仕掛けがあるのかな? 昨日キアちゃんが心配してたけれど、伝承にちなんだ魔法生物がいたりとか?」 「謎かけくらいはあるかもな。魔法生物の方は……まあ、無いとはいえないってとこか。どれくらい機能してるか気になるけど。取り越し苦労ですんで欲しいよな」 「そうだと良いよね。あ、あと、星の観測する建物だと、今の時期に行くのは丁度良かったねって。ほら、月齢が若いうちだと空が暗いから星見に適してるし。満月の頃だと光で作用する装置が働くかも知れないけれど、この時期なら観測用の魔法装置が動くかも知れないって。 アルが言ってた水晶とかがあったら、一番よく動くのはこの時期じゃないかって。ヴェルツォさん、そうでしたよね?」 「ええ、推測の域を出ないけれど、この時期を選んだのは正解だと思うわ」 「は、はは、まぁな」
うーむ。とりあえず入り口発見は野伏の腕の見せ所よね。遺跡内部じゃ実質役に立たないもん。 今回はコーデリアさんとキアちゃんと私が居るから、手分けして遺構を探すことも比較的楽かもしれない。 二人は”鍵”だから、屋内でも大活躍だろうけれど、私は屋内ではもっぱら”剣”担当かな。まあ、新しいフレイルちゃんが活躍するような場があんまり無いことを祈るわ。 「だいじょーぶ。ユーニスは力仕事担当だし、仕事は山とあるから」 「……そーなの? まぁいいけれど。とりあえず入り口をばっちり見つけないとね。」
「ええ、ええそうです。玄関はやはり重要ですよ。デザイン画によりますと玄関ポーチに採光上の工夫がありまして〜。デザイン的に”黒窓”の作品とまた異なった意匠が有るようなので、出来れば一部でも外部からの光があると嬉しいですねぇ。 基本的に夜間の観測を目的として作られた遺跡となりますとやはり(以下略)」 「天文台、月光……星の明かりを増幅するような魔法装置が考えられていれば、夜間でも生活しやすいような光源が工夫されているかもな。あ、逆に観測に邪魔な光を抑える装置を開発しているかも知れねぇのか。するってーと埋没してると(以下略)」 ……ごめんなさい、皆、またやってしまったみたい(苦笑)
「ふふっ、わくわくするよね。全くの未盗掘だったら凄いお宝が残ってるんだろうな〜」 「凄いお宝なん? 宝石とか、まほーの道具とか?」 「星見の上でも参考になる資料が出ればよいのだけれど」
ふと気付くと、二人を除いたメンバーは既に遺跡に思いを馳せていた様子で あまり気にはならなかったみたい。うーん、みんな順応性が高いなぁ(何に?)。
私は……できれば魔晶石とか、そういう実用的なのが欲しいなぁ。 「何言ってんのよ、高いお宝が出て売れれば、いいもの買えるわよ。銀の鎧だって買えるかもよ?」 ぎ、銀のチェインメイル!? ……すてき。 「さー、ばりばり探そうっと!」 「お、ユーニス妙に気合入ってるな」 |
|
陽気な人々 |
---|
|
ヴェルツォ [ 2003/04/05 2:50:57 ] |
---|
| <4の月 4の日>
昨日、パダに到着した私達は、アル君がパダに赴いた時によく使うと言う馴染みの宿を定宿とし、その夜は、いよいよ挑む事となる遺跡について最終的な打ち合わせをした。 遺跡の情報を再度確認し合い、それに対する決め事を2、3話し合った後は、この旅ではもうお決まりのアル君とグレアムさんの薀蓄合戦が始まってしまった。
…お互いの知識を分かち合い高め合うのは、とても有意義な事と考えますけど、明日の遺跡探査に影響を及ぼす事のなき様、心に止め置いて下さいね、御二方?(薄笑)
私は、顔の力だけで笑う芸当を披露した後、殿方二人をその場に残し自分達の部屋へ戻った。
〜そして今日〜
今私達は、レックス外周部の北東部に位置する”星屑”アーヴィンの遺跡に赴いている。 天候は相変わらずの快晴、ここしばらくは小春日和と言った天候が続いている。
私の隣を歩くグレアムさんは、何時もと同じ麗かな表情を湛え、その瞳をこれから赴く遺跡への期待に輝かせていた。 それは、吟遊詩人の語る英雄譚に、真剣に聞き入っている少年達のそれとよく似ていた。
私は、そんなグレアムさんに小さく微笑みながら他の面々に視線を向けた。
アル君は、キアちゃんとまるで兄弟の様にじゃれ合いながら先頭を行き、その直ぐ後を歩くユーニスさんは隣のコーデリアさんから、「どっちが先に遺跡の入口を見つけられるか?」と言う挑戦を受けた様であり、お互いに自分の意気込みを話しながら明るく笑い合っていた。
…まるで、これから「ピクニック」にでも赴く様な気軽さね?これでは…
私は苦笑を浮かべながらも、皆のおかげで久々に穏やかな気分を味わえた事を「心地良い」と感じつつ、再び気を引き締めて遺跡を目指し歩み出した。 |
|
扉 |
---|
|
コーデリア [ 2003/04/06 1:38:37 ] |
---|
| <4の月、5の日>
「ふふ、わたしの勝ね」 む。カチほこっちゃってるわ。のほほんとしてるワリにはぁ、意外とぉ、アツくなる性格なのね、ユーニス。 くやしいけどぉ、入り口はぁ、ユーニスが先に見つけちゃったわけ。 でもでもでも、タッチの差よ。今度はぁ、負けないんだから。 次はぁ、どっちが先にこの扉を開けるかでショウブよ! そう、アンノジョウ、開かないのよ、この扉。カンジンのノブも、とうぜん鍵も見当たらないってワケ。 これじゃぁ、鍵開けなんてできないじゃん。 あ、そうだ。ヒミツの合言葉とかがあるんじゃない? きっとそうよ。 ほら、そこのウンチクコンビ。あんだけチシキをヒロウしたんだからぁ、そういうコトもケントウつくんじゃないの? つーか、知ってんじゃないの? 「あ〜、わたしは建築様式について多少の知識があったというだけで、そういうことは皆目……あはは」 「俺だって具体的なことはわかんねーよ。だいだいな、こういう時のためにお前やキアがいるんじゃねーか」 じゃぁ、もう一人のチシキジン、ヴェルツォ。 「やめてよ。アル君やグレアムさん以上に知ってることなんてないわ。・・・そうね、魔力は感じられるわね。アンロックの魔法でも試してみる? 古代の魔術師のかけた魔法を破れるとは思えないけど」 ・・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・。 「だめね」 いやぁ〜〜〜。イセキを目の前にして、たちおうじょう〜〜〜? ちょっとぉ、みんな。シンケンにやってよ。いい? この中にはお宝があるのよ。こんなところで引き返せないのよ〜〜〜! 「お、おちつくんよ、コーデリア」 「でも、そうね・・・あるとおもうわ。アルとグレアムさんの知識の中にキーワードが」 しかたないわね。じゃぁ、話してよ。ウンチクコンビの持ってるチシキを、あらいざらいゼンブ。
<道中で話していた事を、再び聞く事になる一同>
長い。長いわ。日が暮れちゃったじゃないの。もう、これだけでヒロウコンパイよ。へとへとだわ。 「とにかくさぁ、そのアーヴィンって魔術師はぁ、星を見るためにこれを造ったんでしょぉ? じゃぁさぁ、星に関することがカノウセイ大ってことよね。・・・あ、やだもう・・・流れ星見ちゃった。あたしたちのヤボウも流れ」
がっこ〜んんん・・・。
なんの音? 「扉が開いたみたいんね〜」 え?? 「ほんと、開いてるわよ。ほら」 マジ??? 「今回はコーデリアちゃんの勝ね」
何がキーワードだったの〜。 ちょっとぉ、待ってよぉ。誰かオシエテ〜。 |
|
天文台 |
---|
|
グレアム・コール [ 2003/04/06 4:09:35 ] |
---|
| <4の月 5の日 夜半>
遺跡に入ってすぐ。アルファーンズさんがおっしゃいましたぁ。
「……なぁ、おっちゃん。…………いや、そっちのほうがわかるか、なぁ、ヴェルツォ。ここにあるのは、何だと思う?」
水晶球ですねぇ〜〜。いや、素晴らしい水晶ですよ。これは純度高いですよぉ〜。
「ってゆうかぁ。あんたは聞かれてないと思うのね。これっぽっちも。どっちかって言うとぉ、あんたはムシされたってゆうかぁ、ホウチされたって感じぃ?」
……ステキなご指摘、ありがとうございます、コーデリアさん(ほろり)
とりあえず、ヴェルツォさんとアルファーンズさんの鑑定により、流れ星を感知する水晶球が外の光を受ける位置に設置されていたことがわかりましたぁ。 なるほど、それで入り口が開いたんですねぇ。他の場合には、もちろん持ち主独自の何かがあったのでしょう。 そうして、コーデリアさんとキアさんのご尽力によりまして、わたくし達は遺跡の中を進んだのでありますぅ。
「うや、骸骨なんっ! なんか沢山出てきたーんっ! おいらのダガーじゃ傷つけにくいんよぉ〜〜」
先頭を進んでいたキアさんがくるりと踵を返しました。 おや、あれは確かに……えぇと、ターンアンデッドでも……(きょろ) ……はっ★ ユーニスさん、なんか、きらりと目が光りましたよっ!?
「え? そんなぁ。でも、スケルトンならフレイルが有効ですよねー。剣よりも」
ええ、それは確かに。 あ。ユーニスさぁん、そこの柱は壊さないでくださいね。きっと、その柱を壊したら、ただでさえ半壊して地面に半ば埋もれているこの遺跡、更なる崩壊が待っていますぅ〜。
「おっちゃん! ツッコミどころが違うだろっ! っていうか、そんな崩壊とか、さらっと言うなぁっ!!」
アルファーンズさんったら。ご自身も戦闘に忙しいのに、わたくしの指摘までしてくださるとはなんて親切な……(ほろり)
−数刻後−
ああ。ほら、天文台ですよぉ(嬉々) 地面に埋まってしまっているから、とても心配していたんですぅ。 でも、もともと低い位置から観測するものだったみたいですねぇ。 天井は……ああ、魔力で強化された硝子ですか。いや、これは貴重ですよぉ。 これほどの硝子のドームは、滅多にお目にかかれません。 ……コーデリアさん。貴重ですから、高く売れますけど……運べませんよ。
ちょっと、ドームの天井が土や瓦礫で覆われてしまってるのが残念ですが………。
「それよりも残念なことがあるみたいよ」
ヴェルツォさんが指さした先は……観測のための装置類が置かれていたと思われる小部屋でした。 ああ……埋まってますねぇ。それはもう、盛大に。
「うぉぉぉぉっっ! 俺の魔法装置ぃっっ!!!」
……………ああ、硝子のドームは、声の反響も良いのですねぇ(ほにゃ)。 |
|
昇降装置 |
---|
|
アルファーンズ [ 2003/04/06 20:25:35 ] |
---|
| 《4の月 5の日 探索中》
俺の魔法装置・・・・・・おしゃかになってた・・・・・・。 「ねぇ、いつまで引きずってるの? 仕様がないよ、他のもので挽回すればいいじゃない」 「そそ。どーせ持って帰れないんだしぃ、もっと実用的なの見つけたほうが良いって感じぃ?」 ・・・ユーニス、コーデリア。一応言っておくが、持ち運びは不能でも構造や使い方、効果次第ではそこらの魔法の品に同等する価値になるんだぞ。その情報を学院が買ってくれればだけど。 「・・・マジ?」 大マジ。 「でもコウゾウとかがわからんかったら意味ないんじゃないん?」 ・・・・・・ま、まぁこんなところじゃ調べるに調べられねーか。ご丁寧に書庫に魔法装置の図面やらが残ってるとはかぎらねーし。 「そうですぅ。今は2階へ行く方法を探しましょう」 そうだった。 俺たちは、時間がかかりそうな魔法の硝子ドームの調査を後回しに、2階を先に探索することにした。 グレアムおっちゃんの見立てでは、階段は見当たらなく、住人は昇降用の魔法装置によって移動していたと推測している。 裏かどこかに、奴隷の蛮族用に階段があるかも、とも言っていたが・・・・・・。 見事に崩れていた。階段があったのかと疑いたくなるくらい綺麗さっぱり崩れてた。
そして普通、階段のありそうな場所を図面を頼りに探索し続けること数刻。 遺跡に入ってすぐのところに、隠し部屋を見つけたのだった。 「ええ、これです、これですとも。これが移動用の魔法装置ですぅ」 吹き抜けになった天井の高い部屋。環状に並べられた石に、金色の金属質の円盤。 「うふふ。これで縄梯子が無駄になったわね、アル君」 ・・・・・・・・・まだ無駄になったわけじゃねーやい。動くかもわかんねーし。
「ねぇ、飛ばないよ」 「ねぇ、飛ばないんよ」
ってキア、ユーニス、お前ら勝手に乗る・・・・・・なんだ。円盤に石を乗っけただけか。 石も円盤もぴくりとも動かず、元の状態を保っていた。 「いくらおいらたちでもフヨウイに乗ったりせんよ」 ごもっとも。 しかし動かないとは・・・。片方が壊れているか、魔力が失われているか。 「違うと思うわよ。見て、これで操作するんじゃないかしら」 ヴェルツォが台座のようなものの前に立っていた。 古代語のような一字が掘り込まれた12個の宝玉に、同じ数の穴。 ほほう、これを正しい位置に置くと動くってか。・・・・・・にしても見たことあるよーで見たことねー文字だな、この宝玉の文字。 ともかく、全員の知識、直感、工夫を総動員して正解探しが始まった。 |
|
チョーセン |
---|
|
キア [ 2003/04/07 21:24:06 ] |
---|
| <4の月 6の日 もうすぐ夜明け 今だ探索中>
(ただいまどっか見上げている最中)
「キアちゃん、ボーっとしてどうしたの?」
うみ、んーと、夜になってから遺跡に入って、あちこち調べながら進んだ後、あのしょーこー装置を見っけて、考えついでに休憩とろって事なって…もうすぐ夜が明ける時間だねぃ。
「おやぁ、もうそんな時間ですかぁ」 時間かかりそうなところ後回しにしたんけど、それでも、調べながらだからそれなりに時間かかってるんよぅ。
「そんなコトはどうでもよいのよ、このシカケがわかんなかったら、先に進めないんだからぁ」 それはそうなんけどねぃ、ワナとかそういうシカケだったら得意なんけどなぁ…
「あー、思い出したぜ、これ星座の文様に似ているんだ」
………なにに似とるんだっけ?
「(ぱきっ)この宝玉に浮き彫りになってる古代語のような文様」 ……なにも叩かなくたっていいんと思うんよ、おいら。
「やっぱり、星に憧れがあったんだから、これも星に関係していると思うんだよ、もしかして部屋に星座の名がついていて、正しい穴にこの宝玉をおけば…(填め込んでみる)」
…………(円盤をじーっと凝視中)
「……………」 「………………動かないね」 「ウゴかないわよ」 「人でないとダメなのかしら…」 んーみぃ、おいら、乗って見る? 「そうだな…円盤が動いたら飛び降りればいいしな」
うみゅ、でも、できればなに事もありませんよーにぃ(恐る恐る乗って見る) |
|
初めての空中浮遊 |
---|
|
ユーニス [ 2003/04/07 23:10:19 ] |
---|
| <4の月 6の日 早朝> キアちゃんが果敢にも昇降装置に乗ると言い出した。皆、固唾を飲んで見守る。万一に備えてすぐ飛び降りられるように装置の前を少し開けて、そっとキアちゃんが金色の円盤に足をかける。 ……おや? 「動きませんねぇ」 「動かねーよな?」 「何なのよぉ」 「まだ何か足らないのかしら」 ……あれ? 「何だよユーニス」 あのね、さっき私たちがのっけた石が転がって、変な所にはまってるの。これ、邪魔になってるのかな? よいしょっと(円盤に手と片膝をつき、石をどける) ……すると、かすかな振動。円盤が淡く光り、12個の石がきらきらと輝きを帯びた。 「ひゃっ!? うきゃーーーっ」 ヘンな姿勢で居た為に、急速に上昇しだした円盤の上に思いっきり突っ伏した私は、腹ばいのまま上へと運ばれていった。 「ねーちゃ〜ん」 嘘。何でキアちゃんの声が下から!? 反射的に飛び降りたの? がーん。 体制を整える間にも円盤はみるみる上昇していく。この高さからだと飛び降りるのもままならない。 あとで、落下速度調整の魔法をかければよかったのだとヴェルツォさんに聞いて、失敗したと思ったがこの時は体制を立て直して身構えるのに必死だった。 「おーい、無事かぁー?」 「体重の問題だったのかしら?」 「キアさんだと軽すぎたんですね〜きっと」 「ユーニスのガタイと剣だと十分重そうだし〜」 皆好き勝手言ってるよぉ(涙)。 アルの声に応えようにも、この速度って何か、初めて馬車に乗ったときみたいで……気持ち悪い。 これって、一人で敵地乗り込み? 先ほどのスケルトンの皆様歓迎状態を思い出しながら、フレイルを持って何とか身構える。 すると、軽く地面に引っ張られるような感覚とともに円盤が停止して、結構な高さにあるはずの場所が、目の前に広がっていた。 「う、わぁ〜〜〜〜」 広い部屋。黒い石像がいくつかと、本棚から崩れ落ちて重なり合い、積み重なった書物と思しき山。右側に、なだれを起こした本の山に埋もれた扉がある。 しかし何よりもその真ん中にきらめく何かが目を奪った。正面の窓の隙間から差し込んだ朝の光が、それを輝かせていたのだ。 「す、水晶? 明星みたい……」 思わず一歩踏み出しかけたとき、再び円盤が動き出した。 「わーん、何で動くのよ〜っ」 気付けば、間抜けな顔のままで、私はみんなの前に立っていた。
「「……だめじゃん。」」 アルとコーデリアさんの同時突っ込みにしょげる。 「そだね……(しくしく)」 「何があったん? ねーちゃん何か驚いてなかったん?」 素早く飛び降りていたキアちゃんが、私に問い掛けた。 「! そうそう、本と、石像と水晶みたいなのがあった。あとは、扉が一つかな。」 「よっしゃ!!」 |
|
見果てぬ夢 |
---|
|
ヴェルツォ [ 2003/04/09 5:09:20 ] |
---|
| <4の月 6の日 朝>
「本は何冊くらいあったんだ?石像ってのはどんな形で何体あったんだ?えっと、それから…」 「部屋の中央に水晶があったと仰いましたねぇ?大きさは?色とか分かりましたかぁ?それとですねぇ…」
「あっ?えっ?そ、それはその……あわわわぁぁ…(涙目)」
怒った様な表情で迫るアル君、表情も口調も穏やかだがそれだけに不気味な雰囲気を醸すグレアムさん、そんな二人から矢継ぎ早の質問攻めに合い、涙目で他の仲間に救援を求めるユーニスさん、そして、昇降装置の周りを調べる”フリ”をしてひたすら彼女の救援要請から現実逃避している私を含めた他の面々。
「うみゅ?これ何なん?」
そんな場景が展開されている中、キアちゃんが台座の傍らで崩れていた骸骨の中から台座に納められていた宝玉と同じ様なモノを見つけ出した。
その発見に色めき立つ一同。
その後で台座を再度調べた結果、この宝玉は環状にならんだ他の宝玉の中央に当たる位置にあるくぼみに丁度填まった。 そして、その宝玉を填め込むと同時に淡く光り出す金色の円盤。
「…ねぇユーニスさん、少しお伺いしてよろしい?」 「ひゃ!?わっ私が答えられる事にして下さいね?(うるうる)」
私は、すっかり怯えてしまっているユーニスさんに苦笑しつつもこう彼女に質問した。 ”この台座と同じ様なモノを上の階で見なかったか?”と。
ユーニスさんは首を傾げながら考える事数瞬”見たかもしれない”と多少頼り無げではあったが私に満足の行く答えを返してくれた。
私は、ある確信を元にその円盤の上に立った。 円盤は、先程の様に急上昇する事はなくその場に止まっている。 私は、円盤に再び乗る様にユーニスさんを促し、恐る恐る彼女が円盤に乗るのを確認した後、中央に填められた宝玉を、そのくぼみよりそっと外した。
円盤は、私が宝玉を外すと同時に上方へ向け上昇を開始した。 先程とは違い、とてもゆったりとした速度で。
私は、上昇する円盤の上でこの昇降装置の私なりの意見をユーニスさんに話した。
一つに、この昇降装置は、この宝玉が填まっている台座の階にこの円盤を止め置くのではないかと言う事、故に先程は、この宝玉がどの階の台座にも填まっていなかったから昇降しただけに止まったのではないかと。 もう一つに、台座の傍らに朽ちていた骸骨は、この昇降装置専門の従者ではないのかと言う事、故にこの装置は二人以上で乗った方が普通の速度で昇るのではないのかと。
私の推測は概ね当たっていた様であり、二階にあった台座の中央のくぼみに宝玉を填め込むと円盤は、二階に止まった。
私は、この作業を人数分(アル君とキアちゃんは二人で一人分だったらしく、一回少なくすんだが)繰り返し、円盤をその階に止めたまま、その広大な部屋に足を踏み入れた。
そして、部屋に踏み込んだ私が一番最初に関心を示したモノ、それは中央にある水晶製で半球体の物体だった。 その半球体の中にはこの大陸と思わしき地図が描かれていて、水晶それ自体にはこの大陸から見る事の出来る主だった星の名とその方角が大まかに印されていた。
私は、この半球体の物体を目にしながら、ここの主であったアーヴィンの二つ名を思い出していた。
…彼の先人は召喚魔術の門派で、最初の二つ名は確か「星を目指す者」…もしかしたら彼は、この半球体に印されている星々の方位をもとにその星々へ向け長大なる『門』を拓こうとしたのかも知れない…
私は、その半球体の物体を前に「星屑」と成り果てた先人の見果てぬ夢へ想いを馳せた。 |
|
夢と現実の間 |
---|
|
コーデリア [ 2003/04/10 22:20:53 ] |
---|
| <4の月6の日 朝〜昼>
ショウコウキに乗って来たここってぇ、ちょっとすっごいのよね。 みんなが釘付けになった水晶もそうなんだけどぉ、もっとすっごいのがあんの。
「古代語も読めねーのに興味示すなよ」
うっさいわ、ウンチク少年。 だってアタシはぁ、共通語と東方語さえ喋れればぁ、仕事になるんだもん。 ほら、さっさと読んでよ。 舌打ち禁止ね。
「古来から彗星は凶兆を暗示する最たるものとされている。彗星が現れた時、その美しさとは裏腹に、水は干上がり空気は毒素を帯び、大地は草木も育たぬ荒野と化し、生きとし生けるもの皆苦しみの果てに死にゆくという・・・<中略>・・・この空の向こうから訪れる死の予兆の謎を手中にするということは、強大な力を得」 それってぇ、誰が書いたの? 「著者は・・・・・・オスナー・ド・・・ル・・・かすれてて読めねー」 ふぅん。じゃ、こっちのは? 「お前、集中力ねぇな」 ヨケイなことよ。それよりぃ、なんていう本? 「『夜空の向こうに在る世界』(ぺらぺら)、『星渡りの船』(ぺらぺらぺら)、『星辰による魔力の増幅』(ぺらぺらぺらぺら)・・・?」 さっき読んだ本のタイトルはぁ? 「・・・『召喚の儀式〜星の海に漂う世界〜』・・・(ぺらり)う〜〜ん・・・」 こういう本ってぇ、高く売れる? 「バカっ!」 なによっ! 答えられないからってぇ、「バカ」で済まそうってハラ!? 「そうじゃねーよ。お前の場違いな質問が馬鹿だって言ったんだ」 ムカツク。じゃぁ、アンタは何を探しに来たってのよぉ。ここに来るのだってねぇ、ただじゃないのよぉ? モトをとろうって思っちゃぁ、イケナイとでも言うの? 「だからっ、ズレてんだよお前っ」 「アル君はね、ここにある本は、世に出しては危険かもしれないって言いたいのよ。そうよね?」 「ああ〜、そうですね〜、他にもね、ちょっと・・・危なそうな書物もあるんですよ。力のある魔術師ならば、えぇ〜っと・・・すぐに応用してしてしまいそうな」 「どういうことなん? アーヴィンって悪いこと考えてたん?」 「星に魅せられたロマンチストだと思ってたんですけど、違うんですかぁ?」
いいじゃん、そんなのぉ。ろまんちすとでもキケンシソウでもぉ、死んじゃってるんだしぃ。 それじゃぁさ、キケンじゃない本探そうよ。あ、それよりぃ、あの水晶はどうするの? 持って帰るにはぁ、ちょ〜っと大きいよね。 「いいから・・・お前はキアと一緒に石像調べろよ。あ、おい、丁寧に扱えよ。貴重な遺産なんだからな。それとっ、何か見つけたら触る前に知らせろよ」
なぁんでそんなにハラハラしてるワケぇ? まったくシツレイよね。 |
|
天球儀 |
---|
|
グレアム・コール [ 2003/04/11 1:11:06 ] |
---|
| <4の月 6の日 昼〜夕刻>
さてぇ〜〜…では、石像関連のほうはコーデリアさんとキアさんに任………………………いえ、こう申し上げては全くもって失礼にあたるかとは思うんですが、けれども、わたくしといたしましても、せっかくの機会ですから万全を期したいということも、ええ、もちろん……
「うっさいわよぉ。何だらだら喋ってんのよぉ。遺跡の中で眠らせようっての?」 「おっちゃんは多分……おいらたちに任せるのは不安って思ってるんじゃないかと思うんよぉ」 「こんなにレイセイでリンキオウヘンなあたしたちのどこが不満だってのよぉ」 「ふみ、おいらにもそれがわからんのね〜」
……では、アルファーンズさん。あとをよろしくお願いいたしますねぇ。 わたくしはあの水晶を。……ええ、水晶をっ!(きらり☆)
「こら待て、おっちゃんっ! てめぇ、俺に面倒ごと押しつけ……っっ!? ……駄目だ。輝いてやがる」
この水晶は……ええ、いわゆる天球儀ですねぇ。 水晶の透明度を利用した傑作です。美術品としても、第一級と思われますが、何よりも……これは……?
「ええ、魔力があるわね。もともと水晶というものは、魔力を施すのにとても適した石だと聞いているわ。現代では、ここまで強大な、そして永久的に続くような魔力を付与することなどは出来ないけれど」
じー。<水晶
「おーい、おっちゃーん。こっちの石像……なんか動きそうではあるんだけど、ちっとも動かないぞー」
じー。<水晶
「蹴ったら動くかしら。でも、そもそも何のセキゾウなのよぉ。こんな生き物見たことないわよ」
じー。<水晶
「おいらは、くすぐったら動くんじゃないかと思うん。やってみていい?」
じー。………………………動いてますよね。
「はっ! 敵ですか、っていうか、ゴーレムとかですかっ!?」
あ、ユーニスさぁん、違いますよぉ。動いてるのは天球儀に記された星々のほうで。 どうやら、今まさに夜空にある星々を現在進行形で映し続けるもののようですぅ。
「入り口には、星の動きを感知する水晶。そして、ここには動き続ける天球儀。じゃあ、あの天文台には……?」
おそらく、あれが、アーヴィンが研究し続けていた星々への扉なのかもしれませんねぇ。 ここで星々の動きを見守り、入り口にある水晶で彗星の動きを感知したなら、「扉」が開くように、と。 彗星には強大な魔力が宿ると……ええ、確かにそういう説もありますからぁ。 もちろん、アーヴィン自身は失敗したからこそ、“星屑と成り果てし者”なわけですけれどもね。 どちらにしろ、下にあった天文台は、魔法装置が綺麗さっぱり壊れていましたので……。
「……星を目指す者よ。我と同じ望みを抱きし者よ。我が力引き継ぐことを望むならば、共に星々を追うがよい。……どういう意味かしら。この天球儀の台に刻まれてる古代語なんだけれど」
星々を追う……動きを追うだけじゃいけないんですよね。目で追うだけなら、今、わたくしが……。 ああ。思い出しましたよ。アルファーンズさんがおっしゃってました。 “星屑”アーヴィンは、とくにシリウスと呼ばれる星を好んだと。
「シリウス? どの星ですかー?」
これですぅ〜(タッチ)
「あ。動いた」 「動いたんねー」 「……キア。くすぐったのか? コーデリアは蹴ってねぇよな? にしても、いきなり……うわ、ちょっと待て! なんでこいつらこっちに向かってくんだっっ!?」
<数刻後>
……いやぁ、参りましたねぇ。まさか、石像が動き出すとはぁ〜〜(ほにゃ) いえ、石像たちが小さなもので助かりましたぁ。ユーニスさんのフレイルも大活躍ですねぇ。 きっと、自分の力を受け継ぐ以上は石像たちを倒せるほどの腕でなくては、というアーヴィンの……
「……下の魔法装置が壊れてたせいだと思うぞ。多分、あれで制御されてたんだ。侵入者を倒せっていう簡単な指令なら、制御されてなくても可能だとは思うけど、むしろ動きに戸惑いがみられたからな。そうじゃねーと、俺たちじゃ無理のある数だったと思うし」
………………。
いいのです。わたくしは、あの天球儀さえ無事なら。 ──さて。どうしましょうかねぇ。運ぶにはあまりにも重い……というより、台座から外れませんしねぇ。 それに、おそらくはこの場にないと効力を発揮しないものだとは思いますし。
「そうね。それに、アル君の言うように下の装置が制御装置でもあったなら、石像すら無くなってしまった今、どこまでこの天球儀が動き続けるかというのも問題よね」
………………。
「あ、あの、グレアムさん。ほら、まだ本がたくさん。こんなにたくさんの書物があるじゃありませんか!」
………………。そう…です、ね……ちょっと危険思想ですけれど……(遠い目) でも、書物をじっくり調べれば、天球儀に関することもあるかもしれませんねぇ。 いえ、やはりラーダ様を奉じる者としましては、星界のことが片鱗でもしれるなら、と。…………ええ、そうですとも。たとえ、館が半壊してて半ば埋もれてしまっていても(ほろり) |
|
書物の山から |
---|
|
アルファーンズ [ 2003/04/12 0:37:08 ] |
---|
| 《4の月 6の日 夕刻》
とりあえず書物を調べるぞ。下位古代語は俺とおっちゃん、上位があったらヴェルツォ頼む。 「アタシは?」 コーデリアは余計なことしないように他に何か無いか部屋を探っててるか、警戒でも頼む。もし何か見つけてもいじるなよ。 「私は何を?」 ……ユーニスは警戒だけ頼む。何か出たり、妙な精霊力でも感じたら教えてくれ。 「にーちゃん、おいらは?」 保存食の用意(どきっぱり)。
「天球儀や実験に関する書物、見つかりませんねぇ」 「こっちも駄目よ」 ふーむ、なかなか上手いこといかねーもんだ。当たり前だけど。 この日記もイマイチぴんと来るような記述は未だ無いな。 「星星を追うがよいってどーゆーことなん?」 「うーん。まさか流れ星をダッシュで追いかけるわけにもいかないよねぇ」 「あるひとつの星、たとえばしりうすだっけ? その動きにそって天球儀をなぞるとかかな?」 あっちはすでに3人だけで談義してるし・・・。 3人寄ればラーダの知恵ってか・・・(ぼそ) 『なんか言った!?』 ・・・・・・・・・・・・いや、なんでも。
★ ★ ★ ★ ★
とりあえず、関連のありそうなものを選び出したし、片っ端から詳しく読んでいくか。
『シリウス。星界に最も目映く輝いているひとつの星であり、最も古来から存在する星であるとも言われる。青白く光るその星は、一説によると星界の主たる巨大な獣が放つ光であるとされ、天狼星とも呼ばれている。(中略) その星が持つ魔力はあらゆる彗星が持つといわれる魔力を凌駕し・・・』 「・・・シリウスって出てきたけど、よくわかんない」 だろーな。俺も知らなかったことがたくさん載ってるし。これは・・・売れなくても十分俺の新しい知識になってくれる。いいものだ。 っと・・・次は日記からの抜粋だ。
『本日、星呼びの儀式を数時間に渡り決行した。私の魔力では星を召喚することは現時点では無理だが、本日この日を選べば素晴らしい加護を得ることが出来るであろう。今日は私が最も興味関心を寄せる天狼星が、英雄宮、小狼宮と共に星界に三角形の力場を形成する日なのだ。その力場は星々の魔力を幾倍にも増幅するものだと伝えられている。そこへ私の作り出した魔力増幅器、長年かけて編み出した秘術の魔方陣を使えば星界への《扉》を開くことは可能かもしれん(略)』 「・・・冬の・・・? ・・・三角形? はぅ・・・力場ってなに?」 「聞いたことがありますぅ。冬の夜空に強く輝く星が3つあって、それを頂点に線をつなぐと三角形になるんですねぇ。それには昔から何かしらの力があると考えられてきたそうですよぉ(ほにゃ)」 その3つのひとつが確かシリウスだったかな。 「それより続きはないのかしら? 私も気になるわ」 はいはい。
『翌日、気が付くと儀式の途中で気を失ってしまったらしい。慌てて重い頭を振り、魔法陣を除き込む。・・・失敗だ。そこには星とは似ても似つかない、美しい輝きも何も無い赤銅色の石がひとつ転がっているだけだった。しかし同時に、見たことも無い石でもあった。それだけではなく、魔力のようなものを持っている感じがする。不思議に思い《物品鑑定》の呪文を唱えると、驚いたことに効果を発揮することなく終わったのだ。私は召喚魔術が専門だとは言え、他の魔法が苦手というわけではない。たまたま失敗したのかもしれないが、もしかするとこの石には何か力があるのではないのだろうか』 「まさかその石が星なのかしら…」 「お星様はもっとキラキラしてるん」 「でももしそうだとするとロマンがないね・・・」 いや、ロマンなんか問題じゃねーんだ。今はその石にどんな力があったかってことを・・・。
『数日の実験の結果、この石は魔法に対する抵抗力を少しばかり高める効果があるのではないかと思い至った。明確な理屈は無いが、これを所持している時に限って、簡単な魔法にも失敗した。考えられないことは無いだろう。これを精錬し魔法を付与すれば、敵に対して抵抗用の短剣を作ることが出来るかもしれない』 ・・・・・・うおおおおっ、すげーっ、これはすげーっ! 「そんなにすごいのぉ?」 「すごいですとも! わたくしもこんな鉱石は聞いたことがありません! 赤鉄鋼のような外見をしつつも内面に秘めたる力! しかもほとんどの鉱石にまつわる伝承は胡散臭いものが多いですが、この鉱石は古代人の魔法の力を打ち破ったという事実があります!(云々)」 またおっちゃん、暴走して・・・とは言いつつ、その気持ちは分かるぞ。 魔力の付与も加工もしてない原石の状態で古代王国人の魔法に耐えるとは・・・っ。それこそまさに未知の「星」の正体だったんじゃないかって思うほどだぜ、マジで! 「ああっ、もう素晴らしいですねぇっアルファーンズさんっ! 早くどんな鉱石か調べてみたいですぅ」 よしっ、じゃあちゃっちゃと見つけちまおうぜ!
「ウンチクコンビで盛り上がってるとこ悪いんだけどさぁ、あの謎賭けみたいなの解かないと始まんないじゃん」 ・・・・・・・・・あ。(←考えるのを忘れていたらしい) ・・・ここは斬新な発想ということでお前ら3人の・・・。 「つまりにーちゃん、何にも考えてないんやね」 そーゆーキアはどーなんだよっ! いつも何にも考えてねーくせに(ぼそ) 「お、おいらだってたまにはちゃーんと考えとるもーん」 ほほう。ならお前の考えを聞かせてもらおうか(にやり) ふはははは。どーせ勢いで言ったんだろ。無理するな、先にあそこの扉ん中を調べても良いんだぜ。(快活に笑い、コーデリアが罠を調べていた扉を指差す) |
|
イジとナゾナゾと、扉の中 |
---|
|
キア [ 2003/04/13 0:10:17 ] |
---|
| <4の月、6の日 夕刻>
みー、バカにしてるん、しかもてってー的にしてるん!こーなったら、草妖精の意地なん(必死に思案中) 「いや、期待してねぇから、無理すんな、知恵熱出されたら溜まったもんじゃねぇし」 ちぃーと黙ってるん! 「あ、イジになっちゃってるわ」 「だめじゃない、アル、苛めたりしちゃ」 「俺が悪いのかよ!」
ホシボシを追うがよぃ〜、よぃ〜、むぅ〜…………はーい(なぜか挙手) 「はい、キアさん、何か思いつきましたかぁ?」 あんね、追えっていっても、ホンモン追う訳にもいかないん、だから、天文ギに写ってるん星に対して、なんかすればいいんと違うん?んで、アーヴィンって、シリウスっておホシサマが一番お好きだったんしょ? 「つまり、天文儀のシリウスに何かすればいいんじゃないかって事か」 うみゅ(頷く) 「試してみるだけはあると思うけれど、問題は、何をすればいいかって事よね?でも天文儀に何かするとなると多分、下に埋まっていた制御室からって可能性が…」 「ちょっと待て、じゃぁどうしようもねぇじゃねぇか!」 まさか、埋まるなんてとーじは考えもせんかっただろから……?(じー) 「キアちゃん、何見てるの?」 台座(きぱっ) 「あー、キアさんもこの台座に使われている石の良さがおわかりに?えぇ、これもなかなかのものでして、多分天文儀を置く為にわざわざ…」 そーじゃなくってん、ここ、ここ、穴あいてるん。 「穴?」 何か填めるじゃないん?あのしょーこー装置みたいに。 「この部屋には、それらしいものなってなかったわよぉ?」 そいじゃ、あの先にあるんかな?(先ほどコーデリアが調べていた扉を指差す)
「どっちにしろ、扉ん中が先って訳か」 「ワナらしいのはなかったけど、鍵かかってるわよぉ」 「じゃぁ外してくれよ、その為にいるんだろうが」 「キアちゃん、アタシ調べたから鍵開けコータイ」
うみゅ、りょーかいなん(にんまりと微笑み、ベルトポーチからシーフ用ツールを取り出す)
……… ………… …………… ……………… ………………………カチッ(鍵が開く音)
開いたん(にーっ)
「よし、中を調べるぞ、皆慎重にな」 |
|
シリウスの軌道 |
---|
|
ユーニス [ 2003/04/13 21:45:26 ] |
---|
| 扉が開き、緊張しながら踏み込む。”守護者”や仕掛けを恐れていたけれど、みんなの予想に反して そこにあったのは、アーヴィンの私室と思しき空間。だから罠が無かったようなのだが、しかし……。 「うわ、成金シュミ? ちょっとハズカシーかも」 「いや全くそうなのですがコーデリアさん、これは当時の装飾の代表例のようなものなのですぅ。 実際の機能美よりも装飾に対し溢れる生命の躍動感を表現した意欲的な作品とみなせま(以下略)」
感動の余り息継ぎを忘れて語るグレアムさんが視線の先にある物は。 「お、女の人の石像? なんで部屋の中にあるの」 肉感的な美女が柱像のかたちで部屋を支える姿だった。その数、中央に4体。背中あわせに 方形の空間を作り出している。部屋の隅に寝台やら棚やらがあり、この部屋だけを 生活感のしつらえにしていたが、それだけに柱の存在は少し異様だった。 「カリアティード様式と申します〜儀式用の建築物などに多用される傾向がございますねぇ。」 「つーと何か? アーヴィンは自分の部屋で儀式やらやってたと? 魔導師ってのは……」 「違うわよ、きっと。おそらく研究と休憩を線引きしたくなかったのね。ここにある魔方陣には どちらかというと時間のかかる作業を持ってきているみたいだから。……随分複雑な構成だもの。」 方形の空間を覗きながら、ヴェルツォさんが解説してくれた。 「惜しむらくは……魔方陣が落下の影響でなのか、破損してることね。永続的な使用を考えて モザイクタイルで構成したつもりだったんでしょうけれど。」 そういいながら、簡単なメモを取っている。 「だーっ、それじゃ召喚魔法を利用して”星々を追う”ってのも無理じゃねーのか!?」 「うみっ、とりあえず台座にはめるものをさがすんっ」 呆然とするアルを横目にキアちゃんが猛然とダッシュ。コーデリアさんもそれに続く。 その勢いに他のメンバーも探し物を始めた。 「わぉ、これマショーセキじゃん!? ひーふーみー(朽ちた皮袋をごそごそ)」 「台座の穴に填めるもの〜ここにもないのん? こっちなん?(棚をがさがさ)」 「アルー、これなぁに?(じゃらっ)」 「わぁっ、冷てぇっ!? ……あーびっくり。これは装飾品っぽい。銀製とみた」 「このフォルムといい視線のとり方といい、芸術としても素晴らしいですぅ。(像を前にため息)」 キアちゃんが、石像をためつすがめつ恍惚とするグレアムさんの服を引っ張って促す。 「おっちゃん、サボってないで探さんとだめなんよ……うみ? このねーちゃんたち 手に何か持ってるん。(よじ登る)」 「おーい、落ちるなよ〜?」 アルの声に返ってきた返事は。 「みゃっ、あった〜〜〜っ!!」
「なるほどね、そういうことだったの」 天井に星図の意匠、そしてひときわ光る天狼星の飾り。そしてそれを支える台座に載った 女性像の手に小さな丸い球。 捜索(家捜し?)もそこそこに、先ほどの部屋に戻り、4つの球を台座の穴に入れてみる。 像の立っていた位置関係のままに台座の装飾にそれを填めると、天球儀は耳障りな雑音と共に輝き、 動く光点が部屋中に映し出される。 「綺麗……」 動く光の魔方陣が、そこには投影されていた。シリウスがひときわ強く輝き、 魔方陣の文言をきらきらと浮かび上がらせていく。 しかし。 「……今、イヤぁな音しなかった?」 「さっきの雑音、酷くなりましたね。え、あ? ちょっと!」 動いていた光点がピタリと停止する。 同時に、台座ががりがりと耳に痛い騒音を響かせ、天球儀が光を失なった。
「うぉーっ、装置が〜〜〜」 「あああっ、水晶が〜〜〜」
天球儀の星の動きは完全に停止していた。 「制御装置が壊れていたから……これが限界だったのかもしれないわね」 「せっかく”星を追え”たのに……」 真っ白になっている約二名を尻目に、残りのメンバーはため息をついた。 |
|
皆さん、御機嫌良う |
---|
|
ヴェルツォ [ 2003/04/16 21:06:24 ] |
---|
| <4の月 6の日 夜〜 7の日 朝>
夜のとばりが降り、酒場の喧騒が一段と活気を帯びる中、私達六人は円形の卓を囲む様に座り、皆思い思いの酒を手にしながらこのパーティのリーダーであるアル君の「お言葉」を待っていた。
「……え〜まずは、今回の遺跡探索に同行してくれた皆に“ありがとう”と言っておこうと思う、皆の協力がなかったらここまでやれなかったと思うしな………そう、あとちょっとで“星”を追う事が出来たのに、あぁぁぁそれなのにぃぃぃぃぃ(うるる)」
「分かりますよぉっ、えぇ、アルファーンズさんのお気持ちは、我が事の様にスミからスミまでぜぇ〜〜〜んぶ、分かりますよぉぉぉっ、あぁぁぁあれ程美麗な天球儀を目にする事など、生涯幾度あるか分からないと言うのに、あぁぁそれなのにぃぃぃぃぃ(しくしく)」
「……女々しいわよぉ、そこのウンチクコンビ!あたしの方は、そこそこのお宝を手に入れる事が出来てまぁまぁ満足してるしぃ、何よりもあたしは“仕事明けの一杯”を早く飲みたいのよぉ、サッサと音頭取れ、このウンチクバァカッ!!(ナッツ投擲)」
「っんだとぉ!この守銭奴娘!!(口でナッツを迎撃しつつ)」 「っんだぁ!?やろってぇの?上等ぉ、表ぇ出なぁ!!(ナッツを両手に蓄えながら)」
「やめなよ二人とも“夫婦喧嘩は食人鬼も食べない”ってよく言うでしょ?みっともないよ?」 「「違うっつ〜〜〜〜のぉ!!(ユーニスに同時突っ込み)」」
「うみゅ〜〜!!おいら、はらへった〜〜ん!!早くたぁべぇるぅ〜〜〜〜ん!!!(卓をぺしぺしと叩いて)」
………ぷっ……くくくっ…あっははははははっ!!
声を出して大笑いする私に皆の視線が集中する。
……あははっ…はぁ…ごめんなさいね(涙目)でも、こんなに楽しいのは本当に久しぶりだわ、とても良い気分よ、今♪
私の笑い声に虚をつかれたのか、皆も一様に笑みを浮かべ始める。
「…あ〜とりあえずだ、お宝を手に入れた事と、何より無事に帰って来た幸運に“乾杯”!!」
アル君の音頭に合わせ、皆が酒杯を掲げ音高らかにそれを打ち鳴らす。 こうして、私達の宴が始まった。
アル君とキアちゃんの壮烈な“フードバトル”が繰り広げられている傍らで、私とグレアムさんは、再度今回の探索で手に入れた宝物について確認を取り合う。 主だった物としては天球儀があった広間で見つけた「魔晶石」の小粒が数点、そして、外に持ち出しても大丈夫だろうと判断した「書物」を十数冊、後細かい物も含めると六人で均等に分けてもそこそこの報酬は手にする事が出来そうであった。
私は、その成果に満足しながら、コーデリアさんが言うところの“仕事明けの一杯”を堪能すべく酒杯を手に取った。
そして翌朝……
オランへ至る街道を背に、皆が私の前に佇んでいる。 それは、私がこのパダに残るからであり、その事はこの冒険の初めから決めていた事だった。
“またな”と短く言葉をしめるアル君。 朗らかに微笑みながら、再会を誓うグレアムさん。 “にぱっ”と笑って、またオランに来る様言ってくれたキアちゃん パダに来た時はまた一緒にやろうとやや強引に約束をして来たコーデリアさん 少し寂しそうにしながらも明るく笑ってくれたユーニスさん
私は、その一人一人に握手を交わし、オランへ至る道中の無事を祈る。 私達は、数瞬見つめ合った後もう一度笑い合って、そして別れた。
…次に会えるその日まで、皆さん、御機嫌良う… |
|
ろ・ま・ん |
---|
|
コーデリア [ 2003/04/17 8:14:25 ] |
---|
| <帰還直前の夜>
結局ぅ、テンキュウギとかアーヴィンの遺産ってぇ、ほとんど手に入らなかったのよねぇ。 ま、いいんだけどぉ。 だってぇ、ソンはしなかったもの。初めての遺跡タンサクにしてはぁ、ジョウジョウよね♪ ウンチクコンビはまだブチブチいってるけどぉ、いいじゃんね〜。 だいだい、なぁんであんなにガッカリするのかわかんないわよ。テンキュウギがなくたってぇ、星は見えるじゃない。
「さすが守銭奴。金貨の輝きに目を奪われて、俺達のような心の機微は理解できないようだな。この星空を見て『ロマンチック〜』の一言もでねーんだから」
星なんてぇ、季節や方角がわかればいいのよ。ろまんだかなんだかしらないけどお、そんなもの手に入れたらぁ、もうろまんでもなんでもないじゃん。欲しければ自分でケンキュウすればぁ? 人の物横取りしないでさぁ。
「てめーがそれを言うかっ? あそこの水晶、根こそぎ持ってこようとしたてめーがよっ!」
え〜〜。だってぇ、もう使えないじゃん。役に立たないんだったらぁ、せめてアタシ達の役に立ってもらおうと思っただけよ。
「その自分本意な発想、いったいどこから出てくるんだよっ」
うっさいわねぇ。みんなが目を覚ますじゃん。見張りの交代まではぁ、え〜っとぉ・・・あの星が山脈に隠れるまでだからぁ・・・まだ一刻はあんのよぉ。静かにしなさいよね。
ほらね。星はこういうふうに使うものよ。触っちゃダメなの。見るだけ。 それだけだってぇ、いろんなこと教えてくれるんだからさ♪ ・・・・・・・・・・・・。 でもさぁ、もし手に入ったらぁ、どのくらいの値段がつくかなぁ?
「バァカっ!!」 |
|
Paradise of stardust |
---|
|
エピローグ [ 2003/04/17 22:05:54 ] |
---|
| 《遺跡探索後 アーヴィンの館》
満天の星空。 レックスのひとつの遺跡にも、星明りと月明かりが降り注ぐ。 そこは半ば崩れ去った住居跡。 数日前までは数百年ぶりの来訪者が訪れていたが、今はもう静けさを取り戻している。 ――強い夜風が吹き、崩壊が進む。
光庭に差し込む夜の灯り。 月星の光を受けてか、僅かに輝くものがあった。 来訪者――冒険者たちが見落としたのか、不要だと捨てたのか、一欠けの石と、黒ずんだボロボロの短剣だった。
それは、かつてアーヴィンと言う召喚魔術師が呼び出した星の欠片。 まさに彼や冒険者たちが追い続けた《星屑》。 しかし、その醜い石くれが夜空に輝く星だとは、誰として見破れなかった。
太古の魔術師も成し得なかった、“星を極める者”が現れるのは、何時の日のことだろうか。 今宵もアレクラストに、フォーセリアに、星屑の楽園に星が降る。 |
|
(無題) |
---|
|
管理代行 [ 2004/11/27 4:38:32 ] |
---|
| このイベントは既に終了しています。 |
|
|
---|