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たったひとつ…かも知れない冴えたやり方〜岩長虫退治記〜
あらすじ [ 2003/06/09 19:12:03 ]
 オランの街から北に進む事三日、そこにはヴァルシオ商会が運営する石切場がある。

だが、最近この石切場から岩長虫(ロック・ウォーム)の通ったものと思わしき跡が発見された。
商会は、急拵えの蓋でその通り道を塞いだが、その通り道がどうにも気になって仕事がはかどらない。
そこで商会は、岩長虫の退治を冒険者の店に依頼する。
そして、その依頼書を手にした一人の戦士がいた、彼の名はアレン。

アレンは、その依頼書を手に一人、また一人と仲間を募って行く。

最初の仲間は、冒険者になりたての、弓の技を持つ賢者ホッパー・ビー。
次に現れたのは、真の武人を目指し、鍛錬の日々を過す少年(?)武道家コアン。
そんな彼等の張り出した仲間募集の伝言板を見てやって来た戦神の神官アイシャ。
そして、皆に助力を乞われ仲間となった、グロザムル山脈の緑と風の部族の巫(かんなぎ)候補、“リリウム”エルスリード。

こうして、初顔同士のパーティが結成された。

だが、パーティの連携はおろか個々の冒険者としての経験もまだまだな彼等。

…果たして、そんな彼等に岩長虫を退治する事が出来るのだろうか?

その答えを知るものは、今はまだ誰もいない…
 
気持ちの良い朝
コアン [ 2003/06/09 21:35:58 ]
 <6の月12の日 朝>

……う〜〜〜〜〜んっ(大きく伸び)はぁ、気持ちの良い朝〜♪
いよいよ今日から岩長虫を退治する仕事が始まるんだなぁ〜頑張んなきゃ(拳をぎゅ★)

(身支度を整えながらふと周りを見渡し)

……それにしても、昨日の夕方に石切場について、直ぐに休んだのにまだ寝てるよ…アレン、アレンっ、朝だよ?早く起きないと、皆に朝ごはん食べられちゃうよっ?

(寝ているアレンを揺すりながら)

あっ起きた?…ってぇぇ寝惚けんのもいい加減にしろぉっ!(ポカァッ★)

(ムックリと起き上がったアレンにいきなり抱き着かれ、思わずシバキ倒す)

うっさぃ!寝惚けるアレンがいけないんだろっ皆もう起きて準備始めているんだからねっアレンも早く起きて来るんだよ?そうしないと、朝ごはん、アレンの分まで食べちゃうぞっ?(にっ)

(頭をさすりながら抗議するアレンをその場に残し、石切場の食堂へ)

おはようございますっホッパーさん、よく寝れましたか?…あははっやっぱり緊張であまり寝れなかったみたいですね、まぁ、初めての怪物退治じゃ仕方ないですよね(苦笑)

(やや寝不足気味のホッパーを気遣っていると、アイシャが食堂へやって来る)

あっアイシャ姉さん、おはようっ、いよいよ今日からだね?僕、なんか心臓がドキドキしちゃって今にも飛び出しそうだよっ(胸元を押さえて小さく笑う)

…あれっエルスリードさんは?

(アイシャを窺い見ながらそう問い掛けると「現場監督と何やら話し込んでいた」と、そう答えるアイシャ)

そっかぁ、流石だね、もう色々と情報収集に走っているんだ…(感嘆)

(そこへ、まだ眠そうな声で食堂へやって来るアレン)

おっやっと御登場だね、おはようっアレン?(くすくすっ)

(不機嫌そうに手近な椅子へドカッと座るアレン、その後に食堂へ顔を出すエルスリード)

あっおはようございます、朝から情報収集ご苦労様です、それで、何か有益な情報とかありました?

(興味津々に詰め寄るコアンとホッパーを軽く制しながら「まずは朝飯にしないか?」と提案するエルスリード)

あっ…そっそうですね、じゃ、朝ごはんを食べながらエルスリードさんが調べた情報を聞いて、食べ終わったらいよいよ岩長虫退治に出発ですねっ

よぉぉしっ朝ごはん食べてぇ、やる気つけてぇ頑張るぞぉぉっ!!(ガッツポーズ★)
 
気合の入る昼
アレン [ 2003/06/10 17:33:19 ]
 <6の月12の日 昼前>

来てみたのはいいけど、全然現れる気配はないな………このまま夜まで待つのか?

(「そうする他ないでしょうね」と苦笑するホッパー)

でも、夜になると相手の姿が見えなくなるよな?そうすると、戦うことができないんじゃないか?松明なんか持ってたら襲われるだろうし……いや、それでいいのか、俺たちはエルスリードが闇霊をぶつける時間を稼ぐのが役目だもんな

(同意を求めるようにホッパーの方を向き)

いいんだろ?俺たちが囮として時間を稼いで、その間に倍の代価だっけ?それを払った闇霊を二回ぶつけて、それで駄目なら一旦引くって
段取りだったよな?

(それに頷くエルスリード)

でも、まぁ、なんとなくだけど上手くいく気がしないか?ほら、さっき塞いだ穴ってのを見せてもらったじゃん、あれ、ホッパーの言ってた丸太のようなミミズが開けたにしては全然……じゃないけど、結構小さめだったからさ、そんなに大きくない相手じゃないってことだろ

(「それでも油断はできない」と真顔で言うアイシャ)

油断できないってことはわかってるよ、三日前にオランで確かめたから……外見で判断するは間違えだって、ついでに仕事の成功を祈ってもらったけど……って関係ないか

それよりも、夜、敵が来るなら見張りとか立てとく必要があるよな?誰がやるんだ?

(すぐにコアンが手を挙げさらにアレンも指さす)

エルスリードがゆっくりと休む必要があるのはわかるけど、どうしてアイシャやホッパーまで……(ポツリ)

(その一言を聞きつけコアンがアレンの背中を思いっきり叩く)

いてぇ!何するんだよ!この前叩かれたあと、赤くなってたんだぞ!あぁ、もう、わかったから手を上げるな!

(その様子を見て笑うアイシャ、ホッパー、エルスリード)

……もう、好きに笑ってろ!見張りは俺とコアンがやればいいんだな?……何?ホッパーもやってくれるのか?……いい奴だよな、お前って本当に(ポンッ)

(そんなアレンに「軽く手合わせをしよう」と提案するアイシャ)

現れた時に体が上手く動かなかったら大変だもんな!よし、昼飯前だし軽く運動して腹をすかせるか!

(気合を入れてハルバードを構え、体を温める為に振り始める)

そうだ、アイシャの後コアンもやろうぜ、な?お前も体動かしておいた方がいいし、朝の仕返しもしたいし……ああ、何でもないからな

覚悟してろよ岩長虫!見つけたら、絶対に倒してやるからな!!その前にアイシャとコアンに勝つけどな(ポツリ)
 
岐路となる昼過ぎ
アイシャ [ 2003/06/10 22:32:33 ]
 <6の月12の日 昼過ぎ>

 ふぅ……そろそろ休みをもらおうか。つい熱中してしまったな。(太陽を仰いで)少し昼時を過ぎてしまったようだな。
 コアン、変わってもらえるか?
「あ、いいよ、アイシャ姉さん。僕もそろそろ体動かしたいと思ってたんだ。よーしっ、アレン。覚悟しろよー」
「ちょっと待てよ。俺、腹減っちゃったよ。干し肉の一欠けでもいいから食わせてくれ」
「僕から一本取れたらね(満面の笑み★)」
(笑顔から一転、真顔で武器を構えるコアン。アレンも諦めたように武器を構える)

 仲の良いことで何よりだ。
「そうだな。とても今回初めて共に仕事を共にする間柄とは思えん」
 荷物に帰り、保存食の入った袋を取り出しながらの何気ない一言にエルスリード殿が応えた。
「それであってこそ、オレも戦いの際、安心して精霊と会話できるというものだがな」
 ああ、それなら任せてもらいたい。急ごしらえのパーティだが、数日の鍛錬で思った以上に息が合うようにはなった。貴方に危険の及ぶことのないよう、最大限の努力をしよう。
「頼んだ。オレも”巫”の力でオマエたちの期待にできる限り応えよう」
 期待しているよ。今回の仕事には、貴方の”神”の力がかかっているからな。

「あの……すいません、お話の途中で」
 うん? どうした、ホッパー殿?
「さっきから少し考えていたんですけど、私たちは本当にここで待っていて良いのでしょうか?」
「どういう意味だ?」
「岩長虫が地上に出た場所って必ずしもここだけではないと思うんですよ。もしかしたら、もっと奥のほうにも穴があるかもしれないって……」
 ふむ、考えられないことではないが、しかし、憶測だけで更に奥へと進もうというのか?
「全く根拠がないわけありません。最初に岩長虫の跡が見つかってから長いというのに、商会の人が作った蓋がまだそのまま残っているでしょう。もしかしたら、岩長虫がここに来たのは、その時の一回だけ、しかも偶然で、かもしれませんよ」
「なるほど。確かにここで待つか、それとも進むか、考え直してみる必要があるかもしれん」
 そうだな。では、一度、みなで相談してみるとしよう。
 アレン殿、コアン。すまないが、一度、中断してこちらに来てもらえるか。

「なんだ、アイシャ? なんかあった……」
「スキありー!」
(コアンの一撃に派手な音がした)
 
長閑なる午後
ホッパー・ビー [ 2003/06/12 23:53:20 ]
 <6の月12の日 午後>

「あー…痛てぇ…」

アレンさん、頭にわずかにタンコブが…うわ、結構痛そうですね。

「いや、ホッパー、実際に痛いぞ。これもコアンの不意打ちが…」

「油断したアレンが悪いんだよ(にぱっ)」

「あれは途中でアイシャが呼んで」

「アイシャ姉さんは関係無いよ。真剣勝負の途中で振り向いたアレンの負け!」

「…覚えてろ(ぼそ)」

相変わらず、仲がよろしいですね…お二人…ねぇ、アイシャさん?

「まぁ…良いことだとは思う…が(苦笑)さぁアレン殿、コアン、いい加減そこまでにしてくれ」

「あ、そうだね」

「悪い悪い。で、何だ?」

えーと、それは…

「ここでロックウォームを待つか?それとも石切場の奥へ進むか?そうだったな、ホッパー?」

あ、エルスリードさん、御説明ありがとうございます。
そう言う訳で、まずはアレンさんからどうぞ。

「とりあえず、今日はここで待ってもいいんじゃないか?一日目なんだし、急ぐことも無いと思う」

なるほど…そうですね。次はコアンさん。

「どうせならさっさと先に行っちゃおうよ。何か新しい発見があるかもしれないし。
 それに、ここで待つのも退屈になってきたしね(にぱ)」

ふむふむ…なるほど。ではアイシャさん。

「明るいうちに調査をしても損はあるまい。夜に備え、色々と対策を練るためにも、な」

あー、そうか…えっと、エルスリードさんは?

「俺はどちらでも構わん。強いて言えば…闇霊の力が強くなる夜まで待ってもいいと思っている」

精霊使いらしい意見ですね。うーん、そうかー…

「それで、ホッパーさんの意見は?」

え…?あ、そうですね。では私の意見ですが、今、待つ…

「…待て、静かに」

はい、待ちます…え?何ですか、エルスリードさん?

「聞こえる…騒いでいる」

え?騒ぐ?えっと、それは何の事ですか?あ…でも、何か、微かに聞こえ…

【ず……ず…ず、ずずずずずっ、ずず、ず、ずず…ず……ずず……】

わ、わわわっ!?ちょ、ちょっと、これは…まさか!

「これってまさか!?」

「岩長虫か?だとしたらすぐ近くか!」

「どこから来るか分からないぞ…油断するな」

「む…待て。これは…地霊達の騒ぎだ」

え、え、え、エルス、リード、さ、ん?つ、つまり、地震ですかっ??

「うむ」

【…ず……ず………】

「地霊達が収まった」

は、はぁ…びっくりした…。ん…あれ、はれれ…?

「大丈夫か?ホッパー殿」

あ、アイシャさん…
その、えっと…腰が抜けてしまいました(苦笑)

「え、あれでか?ぷっ、ははっ」

はい…って、アレンさん、何も笑うことは無いでしょう…ねぇ、コアンさん?

「ぷ…。ご、ごめん、ホッパーさん…ははは」

ああ、コアンさんまで!?

「腰を抜かす…とは…ホッパー殿…」

一緒になってアイシャさんも笑わないでくださいよう。
まさかエルスリードさんまで…

「大丈夫だ、ホッパー(ぽむ)」

あ、エルスリードさん。良い人です…。はい…

「既に笑ってしまったからな」

…そうですか。

(しばし、笑い)

ん、あれ?

(遠くから一人のドワーフ、ここの石切場の現場監督がやってくる)

朝エルスリードさんと話していた監督さん…ですよね?

「ああ、そうだ。あの顔は何か知らせに来たようだ」

(そう言って、同時に監督に歩み寄る)

【………】

…あれ?さっきとはうって変わって、妙に静かですね。

「ほんとだ…急にだね」

でしょう?コアンさん。まるで、世に言う、嵐の前の静けさではないかと思います。
そう思いません?アレンさん。

「本当に嵐になりそうで怖いな(苦笑)」

そうならないことを祈りますよ…おや?エルスリードさん、どうしたのですか?

「…皆、悠長に待つことも出来なくなりそうだ…」

「どう言うことだ、エルスリード殿」

「先の地霊の騒ぎにより、例の蓋とその下に亀裂が生じた。もはや、蓋は用を成さぬ」

「それって…まさか…アイシャ姉さん」

「…そのまさか…だな」

「やれやれ…今日はコアンとアイシャに勝つつもりだったのにな。こりゃ、決まりだな、ホッパー?」

その…そうですね(苦笑)奥に行くしかないでしょう?

−そろそろ夕刻になる頃だった…
 
襲撃
エルスリード [ 2003/06/13 19:29:17 ]
 〈6の月 12日 夕刻〜夜〉

(仮面、護り石、化粧、木札を並べさらに銀の剣を引き抜いた完全武(呪?)装で座禅を組んでいる)
 風よ。心地よき息吹止め、吹きすさぶ猛々しき力と成りて我らを護れ。
 火よ。一切合切を破壊するその憤りを我らが矛として力貸さんことを。
 地よ。全てを抱き全てを支えるその大いなる腕[かいな]にて我らを包め。
 水よ。小さき力で振るえること能わず。今集いて全てを祓い清める激流となれ。


「おーい、怪しげな儀式はいいけど、おいて行くよ?」
 (仮面を外し)む、コアンか。祝詞を上げていたのだが・・・・・・今行く、しばし待て。
「手筈は大丈夫か?」
 問題ない。アレンこそ、先ほどの傷は大丈夫なのか?
それに、戦闘がはじまっても無駄に怪我を負うなよ。オレは生命の精霊に呼びかけは出来んからな。
「そのことなら大丈夫だろう。私の奇跡がある。エルスリード殿も、闇霊を使って疲弊したら、私の気力を融通するから早めに言ってくれると助かる」
 何と・・・・・・そんなことも出来るのか。それなら、気兼ねなく闇の落し子の力を借りれる。
「私も限界があるから、多用はできないんだがな」
「それより随分奥に来ましたね・・・・・・あ、あれは・・・」
 どうした、ホッパー・・・・・・む。これは大蚯蚓が這いずった跡か? 近くで見ると、やはりでかいな。
「うーん。どうやら、結構新しいものみたいですね」
「あ、そっか。ホッパーは狩人の知識もあるんだったね」
 それと、このあたりの岩や切り出した石がごっそりなくなっている・・・・・・岩まで食うと聞いていたが、これほどとは・・・・・・。

 ご・・・・・・ごご。

「地鳴り・・・・・・まだ遠いが、これは・・・?」
 大地の翁(ノーム)が騒がしい・・・・・・だが、地震とは違う。
「ってことは、まさかおいでなすったか!?」
 うむ。おそらくはな。
「あ、灯りを持っているみなさんは気をつけてください! 光に異常に反応しますからっ」
 これから闇の落し子を召喚しようというから、光の申し子(ウィスプ)を使うのは無謀か・・・・・・。頼りは松明だ、まかせたぞアレン、コアン。
「任せといて。灯りも、囮もね」

 (頷く。だんだん近づく地鳴り)

(精霊語を叫びながら、手で印を結ぶ)
 夜の帳に潜むもの。心の闇に住まうもの。
 闇の落し子たる汝が名《Shade》よ。汝が友“Ellsreade”の呼び声に耳傾けることを願う。
 等価交換の盟約に従い我が差し出したる代価喰らいて、果て無き深淵より疾く来たりて我に力貸せ!
 
暢気な囮
コアン [ 2003/06/15 6:43:04 ]
 <6の月12の日 夜>

(アレンと二人、肩を並べ他の仲間から離れる様に地鳴りのする方へ慎重に足を運びながら)

アレン、分ってると思うけど、松明持ったままそんな長物(ハルバード)は振れないからね?僕達は、エルスリードさんが“闇霊”を確実に岩長虫へ当てる為の“囮”なんだからねっ、良いトコ見せようとして、突っこんじゃ駄目だかんねっ?(ピッと指差し)

(「右も左も分らねぇお子ちゃまじゃあるまいし、そんな事は分ってるっ!」と憤慨するアレン)

だと良いけどねっ?アレンって、たま〜〜〜〜にホントのお子ちゃまよりお子ちゃまな時あるしっ?(にししっ)

(そう言って意地悪く笑うと、間髪入れず放たれるアレンの蹴り)

ぅおっとぉっ!(ひらりっ)あはっ★怒んない怒んないっ“武人たる者、如何なる時でも『水鏡』の如き心を常とせよ”ってねっ?心の水面をそんなに荒立てていたら、見えるものも見えなくなるよっ?(指を“チッチッチッ”と振りながら)

(「そう言うコアンこそ気を締めて行けよな、俺達は、ここへ“ピクニック”しに来た訳じゃねぇんだからなっ?」とアレンに言い返される)

うっ!(ピクニック←ちょっと図星★)…わっ分ってるよっそんな事っ!アレンに言われなくったってっ!(ぷぃっ)

(そんな会話を交わしている内にも近くまで迫って来る地響き、そして、近くの地面が爆ぜると同時に姿を現す岩長虫)

っっっとぉ!こんな暢気な会話、している場合じゃなかったっ!(臨戦態勢を取りながら)

(アレンと共に松明を掲げ岩長虫の注意を惹くと、その松明の灯に威嚇する様な動きを見せる岩長虫)

ホッパーさんが話していた程ではないけど……やっぱ、大きいなぁ…それに、グロいっ…(渋面)などと、感想述べてる場合じゃないかっ(アレンの方へ顔を向け、アイコンタクトを取り頷き合う)よぉぉぉしっ!“囮”作戦開始っっっ!!
 
逃げ回る戦士
アレン [ 2003/06/16 11:21:15 ]
 <6の月12の日 夜>

(松明を振って、岩長虫がエルスリード達に背中を向けるように誘導し)

さて……これからどうする?狙われるのは俺かお前のどちらか一人。残った方は打って出るか?

(「……囮役を交互にすればいいんじゃない?」と相手から視線をずらさずに答えるコアン)

そうだな……じゃ、俺から行こう。その間お前は?

(「後ろの三人に相手の姿が見えるようにこれで照らしてるよ」と答えると松明を自分の後ろに隠すコアン)

代わってもらいたくなったら呼ぶから。……おらおら、お前の嫌いな光はこっちだぞ!

(松明を岩長虫の前で大きく振ってから、右側に回り込むように走り出す)

上手く食いついたか!……どわっ!

(なんとかかわした酸が音を立てながら地面を溶かし煙を上げる)

あぶねぇ……これなら虎の爪と牙の方が可愛く思えるよ。ホッパー、アイシャ、援護の方しっかり頼んだからな!

(それに答えるかのように一本の矢が当たるが、それを気にもせずに再び酸を吐き出す岩長虫)

小さくても皮膚の硬さは本物か……。エルスリードの闇霊が頼みの綱だな、本当に

(二撃めもきわどくかわし、再び挑発するように大きく松明を振る)

喋る余裕もなさそうだ……。もっとよく狙いやがれってんだ!そんなんじゃ、一発も当たりはしないからな!

(挑発に乗ったのか、アレン目掛けて執拗に酸を吐く岩長虫。それをかわそうと逃げ回るが、一発が左腕に命中し、皮膚を焼く)

……っ!足じゃなかったのは、運が良かったと言うべきかな……。まだまだ、俺はくたばっちゃいないぞ(松明を岩長虫に向けて)

(松明を持ち直し、再び囮となるべく走り出す)
 
計画違い
アイシャ [ 2003/06/17 0:27:03 ]
 <6の月12の日 夜>

 戦いは、予想されていた通り、厳しいものとなった。目の前に広がる状況そのものは、こちらの思惑通り、しかし……岩長虫の実力、侮ったつもりはないが、現実に見ると、やはり圧倒される。
 最初から”囮”のつもりで、回避に専念して対峙していても、なお、強力な酸がアレン殿の腕を焼く。

「まだまだ、俺はくたばっちゃいないぞ」
「アレンさん、ダメです。コアンさんと交代して!」
「よし、化け物め、今度はこっちだ!(松明を大きく掲げる)」
「待てよ、コアン! 俺はまだ平気だ」
 聞き分けられよ。甘く見て良い相手ではないこと、貴方が一番わかっているだろう!(叫んでから、神聖語の詠唱に入る)。
「……わかった、頼んだぞ!」(松明を隠しながら下がる)
「任せてよ、こういう仕事なら、アレンより僕のほうが向いてるんだから!(岩長虫は、すぐにコアンに振り向く)」

 ”偉大なるマイリーよ、彼の勇気ある戦士アレンに癒しの祝福を与えたまえ”
「”闇の落とし子、我に仇為すものの心に降り立ち、恐怖を生む影となれ”」
 私の祈りが神に届くのと同じくして、エルスリード殿の闇霊への呼びかけも終わる。周囲は、松明や、月の光に薄明るかったが、エルスリード殿の隣に見るだけでも心に不安が過ぎりそうなほどの純粋な闇が生まれた。
 その闇が、真っ直ぐ一直線に岩長虫にぶつかる。
 音も無く闇が弾け、闇はすぐに消え、晴れる。
 しかし、コアンに酸を吐きつづけていた岩長虫の動きが一瞬固まる。
 確かに期待した通りの効果があったようだ。
「効いてる! 動きが鈍ったよ!」
「行けるぞ。エルスリード、もういっちょ頼む!」
 沸き立つ”囮”の二人、動きが鈍れば”囮”もやり易くなるだろう。戦況はここに至り、ようやく計画どおりに動き始めた。

 かと思われたが……
「うわぁ、岩長虫が……こっちを向きました!」
 明かりはまだコアンが持っている……なぜだ?
「恐らく、闇の落とし子の恐怖が奴の本能に訴えかけたのだろう」
「な、なるほど。確かに光を嫌う”習性”と、恐怖を感じる”本能”では、本能が優先されるでしょうね。そして、その恐怖の原因がこちら側に……」
 ホッパー殿、冷静に分析している場合ではないぞ。私の後ろに下がられよ。エルスリード殿もだ(盾を構えながら一歩前へ)。
「す、すいません」
「任せた。オレは、すぐにまた闇の落とし子に呼びかけよう」
 私では、あの二人ほど、うまく捌けぬかもしれん。なるべく早く闇霊を頼む。
 精霊語の闇霊への呼びかけを返事として聞き、私はさらに一歩前へと出る。
 岩長虫は、今にも私に向け、酸を吐き出さんとしていた……。
 
迫り来る恐怖
ホッパー・ビー [ 2003/06/17 23:26:03 ]
 <6の月 12の日 夜>

ぶごほっ!
岩長虫が勢い良く酸を吐き出す。

「くッ!」
アイシャさんが瞬時に立ち位地を入れ替え、ほんの僅かな差で酸の直撃を避ける。

ばしゃっ、しゅぅぅぅ…
目的を失った、酸とその飛沫が周囲の岩肌を白煙と共に滑らかに溶かす。
同時に特有の刺激臭が鼻をつく。

(うう…何て匂いなんだ…)
あまりの刺激臭に思わず思考が停止しかける。
だが、ここで僕…いや、私が、考えることを辞めたら自分の存在意義は無くなる。
弓を構えつつ、何か打開策を求めて頭の中の知識を総動員させる。

「えい、こっち、こっちだって!」
向こうでは囮の役目を果たそうとコアンさんが松明を必死に振りかざす。
本来なら、光に向けて反応する岩長虫の習性は、恐怖から目覚めた“本能”の前に全く意味を持たなかった。

その間にも容赦無く酸がアイシャさんを幾度とも無く襲う。
盾をうまく使って凌ぎ、剣先を使ったフェイントで攻撃の目標を混乱させる。
しかし、幾つかは…僅かであるが鎧表面に付着し、そのまま鎧の隙間から染み込む。

「くっ…!」
アイシャさんが酸の痛みに顔が歪んだ。

「アイシャ姉さん!」
動揺したのかコアンさんが悲鳴をあげる。
「大丈夫だ!コアン!動きを止めるな!」
アイシャさんが強く言い放つ。

その間も援護として矢を放つが、大して打撃、それどころか痛みすら与えられない。

「…」
背後のエルスリードさんは闇霊に対して必死に呼びかけることに専念している。
先程の闇霊を放ったときの代価は大きかった様で、顔からは珠のような汗が次々と滲み出ている。
苦しそうな表情からは精神の限界が近くなっていることを示している。

(ここは、どうすればいい?どうすれば…ああ、くそっ)
知識こそ多少あれど、実戦経験の無さに自分の未熟さを痛感する。

「アイシャ!ちっ、くそっ、このゲテモノ野郎が!」
囮役をコアンさんに任せて、アレンさんが岩長虫の胴体に接近する。
先程腕に受けた酸の火傷をアイシャさんの奇跡”癒し”で瞬く間に治し、
何の躊躇も無く必殺と言わんばかりにハルバードを振り下ろす。

ぎっしゅしゃぁぁ!!

岩長虫が激痛に叫んだのか、凄まじい咆哮を上げる。
流石に革鎧三つ分の厚みを持つ皮も、アレンさんが渾身の一撃に押し切られ、皮表面に裂傷をつくる。

しゅぎゃぁぁっ!!

傷口から体液が激しく噴出する。
口から酸の息を吐きつつ、岩長虫の頭がアレンさんに向き直る。

「そうだ!お前の相手は…」
「俺だ!」
「僕だ!」
声が同時に重なり、アレンさんとコアンさんはお互いに目で合図を送り会う。
その顔は、緊張しているが、心なしか笑顔だ。

言葉の意味を理解した訳ではないだろうが、岩長虫がまっすぐ二人に突進する。
そう、目標が再びアレンさんと囮役のコアンさんの二人に戻ったのだ。

「…本能が習性を抑えることが出来なくなっている…」
思わず呟く。

「…、……、…」

同時に戦いの音に紛れて、精霊語の深く、そして清んだ詠唱がはっきりとしたものになる。
後ろのエルスリードさんの周囲に、またも完全なる漆黒の闇が徐々に生まれでようとしていた。

アイシャさんも戦神マイリーに呼びかけ始めた。
万が一、アレンさんかコアンさんが負傷したときに、すぐに癒せるよう、準備に入る。

コアンさんが松明で、必死に岩長虫を引きつけつつ、俊敏な動きで翻弄する。
瞬時、入れ替わりにアレンさんが武器を振り回し岩長虫を牽制する。
そして酸を吐く瞬間にコアンさんが松明でまたも翻弄する。
その動きはまるで、ずっと昔から共に戦っていたような動き。

その中で…僕は…いや私は、出来ることを精一杯やるしかない。
深呼吸の後、長弓を構え、岩長虫へ狙いを定めた…。
 
思わぬ逆襲
エルスリード [ 2003/06/18 19:39:31 ]
 <>

 集中して闇の落し子に呼びかけていても、激しく地面を焼く酸の音、そして皆の気合の声や苦痛の声が聞こえてくる。
 これは失敗できんな・・・・・・。

 光飲み込む暗き者。人の心を食らう者・・・・・・。

「しまった、抜けたぞ!」
 アレンの短い叫び。鋭く地面を削る音が近くなる。
「まだ僕がいるっ!」
 それに呼応するかのように響く、コアンの声。

 この大いなる闇より出で、この渦巻く恐怖を喰らいてその姿現せ・・・・・・。

 酸が地面を焼く音。そして、小さい悲鳴。
「大丈夫か!? 偉大なる戦神よ、我らに癒しの祝福を!」
 アイシャがオレには聞き覚えの無い言葉――神聖語とやら――で彼女の神に呼びかけ、癒しの力を請う。
「私も援護くらいっ」
 すぐ近くで、空気を裂く鋭い矢音。ホッパーまでもが、戦線に加わっている。
 
 闇の落し子たる汝が名《Shade》よ。汝が友“Ellsreade”の呼び声と誘う手に耳塞ぐこと目逸らすこと能わず。

 今までよりも、強い強制力を持っての召喚。巫が、全力を持って部族を、護るべき人を、仲間を護るための時だけに使う、「助力」としてではない「強制」の召喚。
 そして、間近に感じる轟音と風。風の歌姫がざわめく。だんだん音が耳に入らなくなる。皆の声が、遠い。集中が乱れる。
 闇の落し子の存在がより近くなり、同時にオレの心にも恐怖が、負の感情が満ちてくる。

 我が気力、我が心をも喰らいて、果てし無く暗き深い闇の深淵より疾く来たりて――

 目を見開く。眼前に迫るのは――すべての囮をくぐり抜けたロック・ウォームの巨体。
 “本能”は恐怖の原因をも見定めたということか・・・・・・術者であるオレに狙いを定めるとは、本能とは良く出来ている。
 しかし、オレもただではやられんッ。

<>「――我が敵の心に喰らいつきて、其を滅せよッ!」

 完全にこの空蝉に姿を現した闇の落し子が、疾る。ロック・ウォームの醜い大口から、酸が吐き出される。
 そしてそれらが、同時に弾けた。

 肌が焼ける。だが、その感覚すら遠い。思ったよりは傷は軽いらしいが、激しい頭痛に歪む視界。
 先に受けるは、アイシャが事前に言っていた《精神融通》だったかもしれんな・・・・・・。
 オレの視界に最後に映りこんだのは、かなり疲弊しているものの――まだ逃げようとするわずかな気力が残っているロック・ウォームの姿だった。

 
渾身の一撃
コアン [ 2003/06/20 4:15:00 ]
 <6の月12の日 夜>

(二度目の闇霊の召喚によって精神の力を使い果たし、その場に崩れ落ちるエルスリード、そして、弱々しくもその場から逃げ出そうと蠢く岩長虫)

…よくもエルスリードさんを…絶対逃がさないからなっ!!(怒気を込めた声でそう叫ぶ)

(コアンの気迫に反応する様に顔を向ける岩長虫、その口は大きく開かれ今にも酸を吐き出そうとしている)

そうだっ、こっちだぞっ!さぁ来いっっっ!!(松明を揺らし挑発しながら)

(岩長虫がコアンの方へ身体を乗り出した瞬間、その背にアレンが手にしたハルバードを深く切り込ませる、身を捩りハルバードを振り解こうとする岩長虫の勢いにハルバードごと投げ飛ばされるアレン)

アレンッッッ!!(血の気の失せた表情と共にアレンに駆け寄る)

(「大丈夫だ…だから、その甲高い声で叫ぶな、頭に響いてイテェ…」と、悪態を突くアレン)

もぅっ!“頭に響く”って全然大丈夫じゃないじゃん!……くそっもぅこっちに来るかっ!!(ゆら〜りとこっちへ顔を向ける岩長虫を見て)

(岩長虫が大きく口を開け、酸を吐き出そうとする様を見て、咄嗟の判断で庇う様にアレンへ覆い被さるコアン、だがその数瞬後に“ぎしゅしっしゃぁぁぁぁ”と奇怪な悲鳴を上げ、のた打ち回る岩長虫)

……あれっ何で?………あっなるほど、そうかっ!(ゆっくりと顔を上げ、岩長虫を見るとその口内に深々と刺さった一本の矢を確認し、その向こうで、長弓を手に腰を抜かし地面にへたり込んだホッパーに感謝の合図を送る)

…アレン、立てる?辛いかも知れないけど、今が岩長虫を倒す絶好の好機なんだ、最後の力を振り絞って立ってよ、お願いだから…(松明とグレイブを傍らに置き、アレンに肩を貸してその身体を支えながら)

(「さっきも言っただろう?大丈夫だってな、変な気を使うんじゃねぇ」と、額に脂汗を流しながら見え見えの嘘をつくアレン、そんなアレンに苦笑しながらも彼の持つハルバードに自分の両手を回し、アレンと一緒に突撃体制を取る)

…この一撃に全ての力を込めて、行くよアレンっ(静かなコアンの言葉にアイコンタクトで応えるアレン)

(岩長虫を前にし数歩下がり身体を屈め力を溜めると、まるで弓から放たれた矢の如く、風を切る様な速度で岩長虫目がけ突撃を開始する)

せぇのっ、行っっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!
 
最後の一踏ん張り
アレン [ 2003/06/20 13:56:51 ]
 <6の月12の日 夜>

(コアンの声と同時に走り出すが、体に思うように力が入らない)

ええい!もう少しだ、もう少しだけ踏ん張れればいいんだ!

(声に出してなんとか持ちなおす)

幸運神の神官に祈りを捧げてもらったし、ここには戦神の神官だっているんだ!もう少しぐらい頑張ったらどうなんだよ!

(怒鳴りながら岩長虫に向かって行く)

エルスリードだって倒れるまで戦ったんだ、俺だってそれぐらいやってみせなきゃいけないだろ!そうだろ、コアン!?

(見向きもせずにコアンにそう叫ぶ)

うるせぇ、空元気でもなんでもいいんだよ!岩長虫にこのハルバードを叩き込めればなんだって!

(心配そうなコアンの一言にそう言い返すとハルバードを握る手に力を込める)

これで決めるからな!1、2の、3で叩き込む!いいな!

(それに頷いて応えるコアン)

じゃ行くぞ!1、2の、3!せりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!

(叫び声と同時にコアンとアレンが全体重を乗せてハルバードを振り下ろした)
 
逃走
アイシャ [ 2003/06/20 15:31:49 ]
 <6の月12の日 夜>

 そして、何度目かの岩長虫の咆哮が夜空に響く。それは確かに”悲鳴”だった。

     ●

 私は、倒れたエルスリード殿を前に迷っていた。どうすべきなのかを考えていた。二度目の闇霊を放つ際に受けた酸は、運良く正面から被ったものではなく、多少体を焼いただけのようだ。
 倒れたのは、闇霊を呼ぶ代償によるもの……それならば、私が神の助力を得、自らの気力を分け与えてやればよいのだが……かくいう私も癒しの奇跡を数度用い、疲弊している。エルスリード殿に気力を分け与えたとして、十分に集中して闇霊を呼ぶほどに気力を回復させることができるのか、そして、そこまでの気力を分け与え、逆にその後、私に癒しの奇跡を用いるだけの力が残るのか……。

 逡巡しているうちに、岩長虫の一際、高い悲鳴が聞こえた。慌てて状況を見やると、アレン殿とコアンが二人でハルバードを握り、その先端を岩長虫にめり込ませていた。その武器の先端に本来ならば見えるはずの斧さえもが見えないほどに、ハルバードは深く深く岩長虫に突き刺さっていた。
「す、すごい……」
 横でホッパー殿がぽつりと呟いていた。確かに、そのとおり、私も言葉こそないが、まさに同じ思いだった。
 さしもの岩長虫であろうと、あれだけの傷を負えば、もう……
「うわぁ!」
「なんだって……まだ、動けるのか!?」
 しかし、悲鳴が私の思いを裏切った。

 岩長虫は、ハルバードを体にめり込ませたまま、そして、アレン殿とコアンをひきずったまま、それでもなお逃げようとしていた。岩長虫が、最早、逃げることだけを考え、酸を吐こうとしていないのがせめての救いだが、ここで逃がしてしまっては今までの苦労が無になってしまう。
 かといって、アレン殿は意識を失うほどではないにせよ、気力を使い果たしたらしく、岩長虫の動きに逆らうこともできないような状態である。それに、コアン一人の力では、いかに弱ったといえど、岩長虫の動きを抑えられるものではない。ホッパー殿や私が助力したところで、それは、恐らく、大差ないだろう。
 最初から機敏な動きをするものではない岩長虫が、体中に負った傷のせいで、なお、ゆっくりと、しかし、この場から逃げようとしている。見た目には、虫の息、最後のとどめという状態ではあるが……悔しいが、アレン殿が気力を果たした今、それを行う手段もない。
 エルスリード殿……やはり、貴方の力に頼るしかないようだ。
 ホッパー殿、コアン! もう少しだけで良い。岩長虫が逃げぬようにだけ時間を作ってくれ!

 私は、そして、倒れたエルスリード殿の肩に手を置き、意識を集中させた。
 
無謀?
ホッパー・ビー [ 2003/06/21 0:46:10 ]
 <6の月12の日 闇深くなる夜>

ロックウォームは生き残ることに必死だ。
傷の痛みにのたうち、逃げようと鈍足ながら丸太のような体をひきずる。

「こぉの…野郎ッ!」
アレンさんはそれを食い止めようと必死にくい込ませたハルバードを握る。
しかし、気力が途切れ、力が満足に入らないのか、ほとんど引きずられている形になってしまっている。
「む…ぅ…」
同じくハルバードを握るコアンさんも力こそ込めているが、やはり引きずられている。

(まずい、もうすぐ穴に…このまま逃げられたら…!)
しかし、思いとは別に足がすくみ、言う事を聞いてくれない。
気を抜くとまたへたり込みそうだ。

そこに。

「ホッパー殿、コアン!もう少しだけで良い。岩長虫が逃げぬようにだけ時間を作ってくれ!」

アイシャさんの言葉が耳に飛び込んでくる。
その言葉にコアンさんは踏ん張るので精一杯だが僅かに笑顔で答える。

振りかえるとアイシャさんは、気力を使い果たし倒れたエルスリードさんの肩に手を当て、何か神聖語で呟き出す。
気力を注ぐつもりだ。
アイシャさんの顔が苦痛に歪み始める。精神の消耗から来る疲労だろう。

僕、いや私は覚悟を決めた。

半分以下に減った矢を長弓につがえ、ロックウォームの退路の先に見える穴を目指し、全力で駆け出す。

ロックウォームの真横を駆け抜ける。
引きずられつつ、それでも頑張るコアンさんが、アレンさんが目に入る。
走りながら叫ぶ。

「もう、少し、頑張って、くだ、さい!」



ぎしゃ、ぎしゃ、しゃぁッ!

ロックウォームの目指している穴の前に立つ。真正面に。徐々に近付いてくる。
冷静な自分が「無謀」とせせら笑っている。

微かに震える手で狙いを定める。せめて少しでも足止めになるように。
 
Final Strike
エルスリード [ 2003/06/21 1:55:25 ]
 <>

 急速に世界が音を取り戻す。視界が晴れてくる。
「目を覚ましてくれたか・・・・・・うっ」
 がくりと膝をついたのは――アイシャだった。そうか、自分の気力すら危ういというのに、例の《精神融通》を使ったのか。
「すまんな。オレは不甲斐ない」
「そんなことを気にする暇があったら、止めを頼む・・・・・・皆、必死だ」
 その言葉に、視線をめぐらせる。ずるずると這い回るロック・ウォームに長柄の斧槍――ハルバードだったか――ごと喰らいつくアレン。同じく、牽制するコアン。
 そして、穴のまん前に仁王立ちし、弓を引き絞るホッパー。
 ぐずぐずしてる暇は、無い。
「任せろ。次で、仕留める」

 腰から、銀に輝く剣を引き抜く。それを右手に構え、ゆっくりと足を踏み出す。剣を持つ右手が、自然と動き出す。両の足が、リズムを刻む。
 剣が、足がゆるりとした舞を舞い始める。

「なにやってんだよっ、気でもふれたか!?」

 罵声すらも耳に入らない。右手に呼応し、左手が複雑な印を結び始める。口から精霊語が紡ぎだされる。

「違うよ、あれ、いつか見た剣舞だ・・・・・・」

 とこしえの闇よ。誰しもが持つ畏怖の念よ。
 闇の落し子たる汝が名《Shade》よ。汝が友“Ellsreade”の呼び声に今ここに姿現さん。
 そして我と心共にし舞えや舞え。優雅に、自由に、好きに舞え。
 汝の意思は我と共に。我の願いは汝の願い。汝の願いは我の願い。


「綺麗、なのかな。でも、恐怖の念がにじみ出るような・・・・・・」

 オレの静かなゆっくりとした舞に呼応するかのように、現れる意思がひとつ。同時に、彼の望みを叶えるかのように薄れていくオレの気力。頭を軽く振ってそれに耐えると、心の中で呼びかける。
 さぁ、舞え。闇の落し子よ。

 無駄な強制力も、支配力も無い召喚。だが、それがやはり巫として、術者として一番自然体の、召喚。
 まさに舞うような動きで、それはロック・ウォーム目掛けて飛んでいく。

「さぁ、弾けろ、オレの・・・・・・オレたちの願いよ。我らが願いは敵の殲滅」

 刹那。闇の落し子が弾けた。

「・・・・・・心安らかに、逝け!」

 
たった一つかもしれない冴えたやり方
エピローグ [ 2003/06/22 16:03:43 ]
  そして、三度、シェイドがロックウォームにぶつかり弾ける。深い夜の闇にシェイドが溶けるように消えていく。ロックウォームの精神もまた道連れにして……。

 ズズ……ズ……。

 大地の騒ぎが収まった。
 深手の傷を負い、必死にのたうちまわるようにしながら、冒険者たちから逃げようとしていた、ロックウォームの動きがついに収まった。シェイドが生む恐怖に精神を食いつくされ、もはや、ぴくりとも反応しない。
「つ、ついに……」
 そのロックウォームが逃げ出そうと向かっていた穴の前、あらん限りの勇気を振り絞って弓を構えていたホッパー・ビーが震える声を出す。その震えの原因は、先程までの恐怖によるものとは全く正反対であった。弓をゆっくりと戻しながら、ぺたんとその場に崩れるように座り込んだ。
「たお……したの?」
 ハルバードを持っていても引きずられるだけと悟り、ロックウォームの前に回ろうとしていたコアンが走り出そうとしていた足を止める。視線を走らせ、エルスリードを見る。少し離れた場所にいたエルスリードから笑顔の応えを受け、また同じくその場にゆっくりと座る。
「見事だ、エルスリード殿」
 最後に全てをエルスリードに任せ、自分の気力を託したアイシャが、肩で大きく息をしながらも賞賛の言葉を述べる。両膝をついた姿勢から顔だけをなんとか持ち上げ、ようやく笑顔を見せる。そして、力を使い果たし、やはり、姿勢を変え地面に腰を下ろした。
「オマエの神の力あってこそだよ」
 コアンに笑顔を送った後、ゆっくりと息を吐いたエルスリードが、アイシャを振り返る。一時は回復した気力もまた使い果たし、その顔には疲れの色が濃かったが、それでも戦いの終わりに安堵し、アイシャに笑顔を見せていた。銀に輝く剣をゆっくりと鞘に収め、一歩アイシャに歩み寄ろうとしたところで足がふらつき、苦笑しながら、その場に座る。
「俺たちの……勝ちだー!」
 ロックウォームの体にめり込んだハルバードにしがみ付いていた体を大地に委ねたアレンが、吸い込まれそうなほどの夜空にゆっくりと拳を突き上げながら勝鬨を上げる。先程、ロックウォームに吹き飛ばされたときに全身を打ったらしく、怪我の様子は酷かったが、それでもその高らかな声は闇夜に響いた。
 が、しかし、それが、彼の限界だったのか、突き上げた拳が急に力を失って落ちる。
「アレンッ!?」
 一番近くにいたコアンが声を上げて走り寄る。
「大丈夫なの? ねぇっ!?」
「ちょっと……疲れただけだよ。頭に響くんだからその甲高い声で叫ぶなって……さっきも言ったろう」
「バカ、そんな軽口……」
 相変わらずの態度のアレンに、コアンが言い返そうとした。が、その言葉が途切れ、代わりにコアンの目が見開かれる。
「アレン……頭から……血が……」
 震えながらコアンが言う。薄暗くともよく判るほどにアレンの頭から血が流れ、顔の半分ほどが真っ赤に染まっていた。先程の衝撃で、どうやら体ばかりではなく頭も強く打ったらしい。さすがにこの出血は命に関わる。
「みんな、来て! アレンが……」
 悲鳴に近い声だった。すぐに皆が二人の元に集まった。
 その頃、すでにアレンの意識はなかった。ただ、苦しそうに早いリズムの呼吸が繰り返されていた。
「これは、酷い……」
「確かに。このままでは危険だな」
 ホッパーとエルスリードが、アレンの様子に呟き、そのまま、視線をアイシャに向ける。
「判っている。後、一度ぐらいなら……神の力を借りることもできるだろう」
 アイシャは、自らもまた疲弊しきっていたが、二人の視線を受け、小さくしっかりと頷いた。
「……」
 コアンがアイシャに何かを言おうとして、しかし言葉がなく黙り込んでいる。アイシャの様子を見ては、頑張って、とは言いづらい。しかし、アレンの容態は一刻を争うので、無理をしないで、とも言えない。
 アイシャは、そのコアンを安心させるように小さく笑顔を見せ、そして、神聖語の詠唱を始めた。
 間も無く、彼女の祈りは神に届く。見た目にはハッキリ判らないが、アレンの頭からの出血が止まり、呼吸が規則正しくなる。意識こそ取り戻した様子はないが、少なくとも危惧された命の危険は無くなったと考えて間違いない。
 しかし、それに安堵の溜息をつく間もなく、今度はアイシャのほうが崩れる。流石に気力の限界だったようだ。
「おっと……」
 それを倒れてしまう前にエルスリードが支えた。彼もまた気力は限界に近かったが、一度は倒れたところをアイシャから”精神融通”の魔法を受けていた恩義があるので、彼女を倒れさせるわけにはいかないという思いがあった。
「私も手伝いましょうか?」
「いや、構わん。それより、向こうを頼む」
 ホッパーが手を貸そうとするが、エルスリードはそれを断り、岩長虫を指差す。
「あ、そうか……ちゃんとこいつにとどめを刺さないといけませんね」
 ホッパーが岩長虫を振り返った。コアンも同じくそれに倣う。
「今、こいつって、ただ気絶してるだけなんだもんね」
「ああ。放っておけば、恐らく夜が明ける頃には意識を取り戻すだろう」
 本当ならゆっくりと休みを取りたいところであるが、そうもいかない。ただ、岩長虫は気絶してしまっているので反撃の恐れは無いし、元々相当なダメージを受けているのでそこまで大変なこととも言えない。
「よし、僕がやるよ」
 コアンが意を決した表情で言う。アレン、アイシャが気を失い、またエルスリードも疲弊しきっている今、戦士としての技を持つのはコアンのみ。先程、薙刀を置いた場所に向かい、それを拾い上げると、感触を確認しなおすように一振りしてから、岩長虫へ向かう。
「私も手伝います」
 それをしばらく見ていたホッパーが慌てて腰の小剣を抜いた。この仕事を受けるにあたり、初めて戦士としての訓練を受け出した彼だが、相手は動かない相手であるし、とどめを刺すのを手伝うということならば問題ないだろう。
 そして、二人がかりで、しばらくの時間を要し、岩長虫の頭のほうの部分が胴体から切り離された。そうせずともとどめは刺せただろうが、考えれば依頼人に岩長虫を倒したことを証明するには、首級がわりに必要だろう。
 岩長虫にとどめを刺すのを終え、コアンとホッパーはエルスリードのところへ帰った。
 そして、再び仲間の様子を見る。アレンには未だ意識はなく、アイシャもまた同じ、エルスリードは意識こそあれど疲弊し、岩長虫の酸に腕を焼かれている。何度見ても、まさに満身創痍としか言いようの無い状態だった。
 しかし、岩長虫にとどめを刺し終えた今、彼らはそれでも確かに勝利したのだ。
「これで……本当に終わったな」
「ええ。これほどの相手とは思いも寄りませんでしたけど、倒せてよかったです、本当に」
 エルスリードの呟きに、ホッパーがどこか独り言のような雰囲気で応える。
「ほんっとにアレンったら無茶な仕事受けてくるんだから」
 コアンは、まだ眠るアレンの隣に座りながら、わざとらしい文句を言う。もちろん、アレンが無事だったからこそ言えるその口調である。
「あ、す、すいません……私もこの仕事、アレンさんと一緒に……」
 が、それを受けてホッパーが恐縮した。確かに元々この仕事はアレンが持ってきたものだが、一緒になって受けることを決め、仲間を集めようとしていたのは、ホッパーと二人になってからのことだ。事実、伝言版に仲間を募集するための書き込みをしていたのも彼だった。
「え、別に僕は、ホッパーさんを怒ったつもりはないんだけど……それに、それを言うなら、僕もこの仕事にすぐに飛びついたわけですし」
 予想外のところから反応があって、コアンは困った様子で言い訳をした。
 そのやり取りを聞いて、エルスリードが苦笑した。実に楽しそうな苦笑だった。
「良いじゃないか、二人とも。オレたちは勝ったんだからな。アイシャが今、起きていたならば、オレたちの勇気に神の祝福が与えられた、とでも言っていることだろうさ」
「そうですね。戦神様の最初の試練、なんとか乗り越えることができて、本当に良かったと思います」
 コアンもエルスリードに応え、いつもどおりの元気な笑顔を見せていた。
「そろそろ、石切り場のほうまで戻ろう。流石にここで朝を迎えることはできんだろう」
「そうですね。えーっと……アレンさんは……」
「アレンは、オレが支えよう。アイシャを、コアン、任せる」
「はい。じゃあ、ホッパーさんは、アレンのハルバードと、岩長虫の頭をお願いします」
「判りました」
 そして、一行はゆったりとした足取りであるが、石切り場のほうへと帰っていったのであった。

     ●

 あれから三日が過ぎていた。ゆっくりと休養をとった次の日、一行は、報酬をヴァルシオ商会の責任者から受け取り、オランに帰る道を歩いていた。
「そろそろオランが見えてくる頃かな。帰ったらみんなで宴会やろうな。せっかく商会の会長が、仕事が早いって喜んでボーナスだしてくれたんだ。派手に行こうぜ」
 先頭を歩くアレンが一行を振り返えった。あの時の怪我を感じさせることもない元気な姿だった。
「無駄使いしちゃダメだよ。次の仕事がいつになるかもわからないんだし、ちゃんと計画的に……」
「細かい奴だなぁ、お前は。男なら、どーんといこうぜ。な、ホッパー、エルスリード?」
「関係ないだろ、男とかそんなのは! アレンが大雑把すぎるだけなの。ね、アイシャ姉さん?」
 アレンと、そして、アレンの隣を歩いていたコアンと、もう何度目かも判らない口喧嘩。問い掛けられた残りのメンバーは苦笑するしかなかった。喧嘩の種は、様々だったが、何にせよ、よくもそんなに飽きることもなく続けられるものだと思う。
「確かに無駄使いはよくはないが、今日ぐらいは多少は構わんだろう。次の仕事に向けて気力を充実させる意味でもな」
「そうですね。私もせっかくですから、みなさんと一緒にお祝いをしたいです」
「お祝いっていうのは、僕だってみんなと一緒にやりたいよ。だけど、アレンって放っておいたら、限度忘れて使っちゃいそうなんだもん」
「おいおい、初めて小遣いもらった子供じゃないんだから、そんなことないって」
「判んないよ、アレンってば、時々、ホントに子供なんだから」
 アイシャとホッパーが少し口を挟むが、それでも二人の喧嘩は止まらない。いや、それを楽しんでいる風も見られるのだから、喧嘩と呼ぶには相応しくないのかもしれないのだが。
「一先ず、オレは、街に帰ったらオレの目付け役の森の者と土の者に無事に帰ったことを報告に行く。二人とは最初からその約束だったのでな」
「ああ、そうしたほうがいいだろう。そのお二人も心配しておられるだろうからな」
 エルスリードは、もともと目付けのエルフとドワーフと共に、”巫”の修行のために街に出ていたところを精霊の使い手としてこの仕事に誘われたのだった。その目付けの二人は、岩長虫の強さを知っており、闇霊の効き目がないならば早々に撤退するように彼に助言していた。今回はうまく倒すことができたが、今ごろ、そんなことは知る由も無い二人はエルスリードの帰りを今か今かと待ちわびていることだろう。
「あの……エルスリードさん。今回は、私たちの無理なお願いを聞いていただいてありがとうございました。今回の岩長虫退治、エルスリードさんのお力添えなくては、なし得るものではありませんでした」
「いや、礼を言うのは、オレも同じだ。今回のことで、”巫”になるための良い修行になった。それに、結果としてオレの呼んだ闇の落とし子が岩長虫を倒したとはいえ、それも皆の強力あってのこと。オレだけが礼を言われるのは筋違いだ」
 ホッパーからの礼を受けて、エルスリードが返す。いつもは生真面目な顔をしている彼だが、やはり、仕事の成功に自然に笑顔が浮かんでいた。
 しかし、一方で、それを聞いたホッパーの表情が少し翳る。
「そうですね。アレンさんもコアンさんも立派に”囮”の役を果たし、エルスリードさんも倒れるほどまでに精霊とのやり取りを、アイシャさんにしても何度も奇跡を起こされて……。それに比べて私は、何の力もない……本当に、私は皆さんの力になれたんでしょうか」
「何を言ってるんですか、ホッパーさん!」
 いつの間にホッパーの隣に来ていたのか、ばん、とコアンがホッパーの背中を叩いた。コアンにしても今回が初めてのパーティを組んでの仕事、その成功に否応なしに高揚しているために、その一撃に遠慮は無い。
「僕もアレンも一度、ホッパーさんの弓に助けてもらってますよ。それに、何より、岩長虫のことを色々調べてくれて、闇霊をもって倒すという方法を提案してくれたのもホッパーさんじゃないですか」
「そ、それはそうなんですが……」
 背中の痛みをこらえながら返す。内心で、いつもアレンはこの一撃をもらっているのかと少し彼に同情した。
「俺たちがあいつと渡り合えたのも、闇霊が精神を削っててくれたおかげだよ。それをやったのはエルスリードだけど、もともと考えてくれたホッパーがいなきゃ、エルスリードだって手伝ってくれなかったろうし、今ごろどうなってたか判らないよ。もっと胸張ったらいいじゃないか」
 そのアレンからも、同じく言葉がかけられる。さっきまで言い争っていた様子もどこへやら、いつの間にかコアンと二人してホッパーに同じ笑顔を向けていた。
「ありがとうございます」
 ホッパーもそこまで言われては最早返す言葉は無い。ただ純粋に喜び、照れながら頭を掻く。賢者たるべしとして、街に出た彼には、その知識を褒められることが何よりも喜ばしいことだった。
 実力としては、岩長虫に劣る彼らが勝利を得るための、”たった一つかもしれない冴えたやり方”。パーティの各々が、それを提案し、それを実行し、そして、それを支えた。その全てがあってこそ今回の仕事の成功があったのだ。それは一行の誰もが認めるところだ。初めて組むもの同士、それどころか初めてパーティでの冒険に参加するものもいるこのパーティが強敵を倒しえたのは、彼らがそれをお互いに認め合っていたからなのだろう。

「お、ついにオランが見えてきたぞ」
 アレンの言葉のとおり、ずっと続いていた地平線にようやく懐かしいオランの姿が見えた。
 オランが見えたことにより、一行の足取りはますます軽かった。
「んでさ、結局、今日の宴会、どうする?」
「エルスリードさんが一度報告に行くというのでしたら、どこかで待ち合わせしたほうがいいですよね」
「まぁ、まだ日も高いからどちらにせよ、皆、一度解散して身なりを整えるぐらいの時間は取ったほうが良いだろう」
「そうだね。僕も翁のところに挨拶に行っておきたいし、着替えも……」
「オレも着替えの時間ぐらいは欲しいな。さすがに宴会にまでこの鎧を着ていくつもりはない」
「じゃあ、ゆっくりと時間を取って……晩餐の鐘が鳴るころにいつものきままに亭でいいよな?」
 宴会のための段取りも決まった。後は、オランに帰るだけである。
 その道のり、ずっと一行に会話と笑顔が絶えることはなかった。その一行が、初めて組んだパーティに見えるものは、すれ違う旅人、行商人、そして同じ冒険者の中にでさえもいなかっただろう。
 その日のオランは、珍しく梅雨の晴れ間が覗くよく晴れた日だった。

 (終了)
 
イベント終了表明
エピローグ [ 2003/06/22 23:16:02 ]
 ”たったひとつ…かも知れない冴えたやり方〜岩長虫退治記〜”これにて終了に御座います。

参加PLの皆様、本当にお疲れ様でした。
 
(無題)
管理代行 [ 2004/11/27 4:50:31 ]
 このイベントは既に終了しています。