| 南海遺跡探索記 |
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| あらすじ [ 2003/10/06 23:29:14 ] |
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| | オランから出航し、ハーザード河を下って広い海に出る。 そこから二日南へ船を走らせると、とある暗礁地帯と小島が見えてくる。 一見するとただの岩だらけの島があるだけ。 付近の島民である漁師すら滅多に近寄らない海域。
しかし。
たまたま一人の漁師によって、遺跡の入口が見つかった。 それがある情報屋の耳に入り、そして一人の商人・・・オン・フーの元に辿りつく。
なんと未発掘の遺跡! 手に入れた遺跡のネタに集うは五人の冒険者。
戦士一筋のリディアス。 賢者でありラーダの神官であるラザラス。 魔術師のフォルティナート。 戦士と野伏であり精霊使いであるリグベイル。 商人で盗賊、チャ・ザの神官であるオン・フー。
一癖ありそうなメンバーで繰り広げられる冒険譚、さぁさぁここに始まり始まり。 |
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| 黒き遺物 |
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| オン・フー [ 2003/10/07 22:27:35 ] |
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| | 十の月六の日 オランから出航し、ハーザード河を下る。 天候は幸運にも秋晴れらしい一日で快調な出だしである。 皆、心身共に異無く船の上にてのんびり過ごす。 襲ってくる怪物の類も無く、実に順調。 ただ、順調でないのは俺のちょっとした船酔いだけ。 リディアスに少しからかわれつつ、夕食も食わずに横になる。
十の月七の日 朝から風が強く、雲の流れ早く。 リグベイルが言うに、風の精霊達が騒いでるとのこと。 一時は雨の心配もあったが、昼頃には快晴。 多少の揺れに慣れ、船酔いもだいぶ軽くなった。 明日あたりは目的の島に到着できそうだ。 実に快調。
夜に星を見つつ明日の成功をチャ・ザ神に祈る。 皆は同じく星の下で思い思いに過ごした様だ。
十の月八の日 ちょっとした船旅二日ばかり。目的の島、そして遺跡はそこにあった。 岩だらけの島の表現するに、ラザラスの言葉を借りれば円形の筒が適当だろうか。 完璧な円形ではないものの、上から見ることが出来れば満月のような円が見られただろう。 遺跡の入口を見つけるに辺り、時間をかけたもののどうも見つからない。 そこでフォルティナートが推理し、”魔力感知”にて発見する。 久しぶりに目の前で見る古代語魔法、其の力に改めて驚く。
だが、本当に驚くのはもっと後の事であった。
遺跡に入り、ほぼ一直線の通路を歩く。 この遺跡についてラザラスとフォルティナートが自己の見解を交えて皆に歩きつつ話す。
かつて、とある古代王国の魔術師がレックスに習い、海の上に都市を建造しようとしていた。 広大な海の上に都市を造り、第二のレックスを夢見ていた。 しかし、其れは古代王国末期、魔力の塔崩壊によって完成を見ずに途中で崩壊した。 今いる遺跡は、海上都市建造中に足場になっていた一つの施設だったもの。 ここへ逃げ込んだであろう魔術師達は、持ちうる財宝を持ち込んだに違いない。
それを狙って、今回ここに挑んだのであるが・・・
「これは・・・!」
開けた扉の先は、巨大な空洞であった。 所々、剥き出しの岩肌が見られるが、明らかに人工の空洞であった。 同時に魔法の青白い灯りが未だに燈されており、遺跡である事が殊更強調されている。
だが。
「こりゃ、驚いた・・・」 一行の中で体格の良い男、”剣”一筋のリディアスが呆気にとられる。 待ち受けるであろう守護者達を迎え撃つ為に構えていた大剣を思わず降ろす。 目の前にある、巨大な物体に言葉が続かない。
「未発掘の遺跡とは聞いていたが・・・まさか、この様な物が眠っていたとはな」 危険が無いと判断して近付いたのだろうか、”杖”たる若い男、フォルティナートが巨大な物体に近付き何やら調べている。
「一言言うなれば・・・”船”であるか」 隣で観察している”本”であり、”癒”である壮年の男、ラザラスが言う。 近付いて巨大な物の表面、真っ黒な石を軽く叩いたりして、これが何であるのかを見極め様としている。
「言われてみれば、確かに船と見えます・・・が、奇妙奇天烈というでしょうか」 ラザラスの言葉に答えたのは、白に近い銀色の短髪と褐色の肌、彫りの深い顔に男勝りの巨躯、今回唯一の女性。 ”剣”にして”霊”のリグベイルが、周囲を警戒しつつ正面の巨大な物体を見て答える。
「うむ・・・確かに、そうさね・・・」 奇妙奇天烈、その言葉に俺も同意する。 確かに外見は中程度の船(と言っても、貴族の館か砦程度の大きさはあるだろう)だ。 ただ、船にしては帆も無く、漕ぐ為のオールと穴も無く、ただ左右両舷に二本ずつ真横に突き出た角のようなものが見える。 もっとも不思議なのは、船体は木製で無く、黒い石のようなもので出来ていることだろうか。
「これで、ちゃんと浮くのかねぇ・・・硬いし、重そうだし、なぁ?」 リディアスが大剣を鞘に戻し、船体の適当なところを拳で叩きながら確かめる。
「古代王国のものだ、何らかの力で浮くのであろう」 上にある角のような突起を見上げてラザラスが言う。 何か思い出そうと顎に手を当て、空の一点を見つめている。 その隣でフォルティナートも同じように考え込んでいる。
「なるほど・・・しかしこの船、どこから乗り込むのだ?」 リグベイルが呟く
「言われてみれば確かにそうさね・・・」 俺は船をもう一度見やる。 中に入る為の入口らしきものは見当たらず、上に登るための階段も梯子すらない。 窓らしいものも見られず、中の様子を窺い知ることも出来ない。
「古代王国人ならば、魔術を使って中に直接移動するか、空を飛んで上へ行くなりの手段を用いたのであろう」 ラザラスが直ぐに疑問に答える。
「やはり、ラザラス師もそう思いますか・・・僕もですね」 フォルティナートが同意する。
「あー、なるほど、ねぇ・・・けどよ、俺達はそんな事出来ないぜ?」 リディアスが言いつつ拳で船体に添って歩きながらコツコツ叩く。
せっかくの遺跡で見つけた、この奇妙な船も中に入れないのでは意味が無い。 ここまで来て、くたびれ儲けの骨折り損・・・最悪だ。 未発掘で期待していた財宝がこの結果とは・・・俺は頭を抱えたくなってきた・・・が。
「これじゃ、大損だぜ、なぁ、おっさ・・・」 直後、言いかけていたリディアスが音も無くすっと船体に吸込まれた。
「リディアス!?」 俺が慌てて近付くと同時に、転倒して何かをぶつけた鈍い音がする。
「ほう・・・どうやら、入口の様だな」 ぶつけたらしい頭をさすりつつ、船体から出てきたリディアスを見て微かに笑いつつ、ラザラスは偶然の入口の発見に顔を綻ばせていた。 |
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| 競合者 |
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| ラザラス [ 2003/10/09 22:29:19 ] |
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| | リディアスが頭をさすりつつ船体から出て来た。その後ろに人影がある。 入り口が見つかったと誰もが緊張の糸をゆるめたその瞬間、事態は思いもよらぬ方向へ傾いた。 「すまねぇ」 リディアスが短く詫びる。彼の後ろには4人の姿がある。3人は男で戦士、1人は女で魔術師に見える。 リディアスは船体に触れた手が吸い込まれることによりバランスを崩し、中に倒れ込みそうになった。そこへ頭部めがけて柄で殴りつけられ転倒する。彼は気絶しなかったものの、顔を上げれば自分が抵抗しても無駄という状況であることが分かり得た。苦笑いを浮かべ、男の指示に従う。 全員が呆気に取られる。未盗掘の遺跡となれば人などいるはずもない。レックスじゃあるまいし、他の冒険者と鉢合わせすることなど毛頭考えていなかった。彼らは状況を飲み込むまでしばしの時間を必要とした。 「一歩遅かったようね」 古代王国期のものである眼鏡をかけた女魔術師が勝ち誇ったような顔をして洩らす。 「やっぱり、あの情報屋、私以外にも売っていたのね」 その言葉にオンは気づかされる。情報屋が自分だけにと売ってくれた情報を他にも漏らしていたことに。 未盗掘の遺跡の情報を一人だけに売る、そういう殊勝な情報屋がどれだけいるだろうか。情報屋の信頼も大事な物だが、金儲けも大切である。稼げるネタはとことんまで稼ぐ。そうした情報屋も少なくない。 オンと同じくして、この女魔術師にも真っ先に情報提供したと約束した上での話ようだ。 どちらが先かは分からぬが、現にこうして先越されているという点で、オンと情報屋との信頼関係は裏切られたこととなる。他者との競合の可能性があるとは感じていたものの、当事者になるとこれほどまでに悔しいものかとオンは怒りを静めるのに必至であった。 「こんなこともあるかもしれないと、情報仕入れた日に飛んで出て正解だったわ。未盗掘の遺跡なんて早さが一番」 その言葉で、自分たちの行動の遅さが悔やまれた。何を思っても後の祭りである。 「私たちの方が先に乗り込んだの。探索を終えるまで待っててくれないかしら?」 リディアスを人質に取りながらの交渉である。彼女の言い分では、争いはしたくないとのこと。「情報屋に一杯飲まされたのはお互い様」と言って、占有権を主張してきた。もっと広い遺跡であるならば、「二手に分かれて先に手に入れた物勝ち」って案も出してきたが、この規模のものではやりたくない。そもそも遺跡でなく遺物だから、探索もそう多く時間はかからないと言うのだ。 「大人しく1日我慢してくれれば、その後は競争でいいわ」 リディアスが捕らわれている以上、反論してもどうしようもない。戦闘の口火を切るにしても、リディアスは櫓のような足場の上。地上にいるオンたちとの距離に開きがある。リディアスが逃げ出してこられれば別だが、彼を取り囲む三人の戦士はそれなりに鍛えているように見受けられた。リディアスには顔に覚えのある者も混じっている。傭兵ギルドでそれなりの腕を誇る奴が一人混じっている。迂闊に動くのは危険であった。さらに表に出ていないが、船内にはもう1人か2人いる。おそらくルーンマスターであろう。オンたちが下手な行動に出ようものなら、伏兵を使って対処しようという魂胆なのだ。リディアスは観念し、オンたちに不用意な行動に出るなと合図を送った。 そのため彼女の言い分を受け入れることとなり、オンたちは遺船から少し離れたところにある蛮族が使っていたであろう建物の中に放り込まれた。もちろん主要な武器は取り上げられてだ。 「貴方がいるんですもの。魔法の鍵をかけたところですぐ解除されては困りますからね」 女魔術師が嬉しそうににっこり笑いながらフォルティナートから杖を奪い取る。ラザラスの錫杖も取られ、オンの七つ道具も取り上げられた。短剣や荷物までは取られなかったものの、戦力をごっそり奪われたと同じである。 「申し遅れたわね、私はルザナ・キッシュよ。名乗る必要はなかったかしら?」 フォルティナートの方を見て、再度微笑む。そして扉を閉めると高らかに呪文を唱えると、扉に魔法の鍵をかけた。 魔法がかかった後、扉にはさらに閂が降ろされる。 「おい、それじゃ一日経っても開かないぞ」 リディアスが閂の音に気がついて抗議の声を上げる。ロックの呪文の効果は1日である。それを過ぎれば扉は普通に開閉できる。しかし、閂がかけられていては鍵も同然。七つ道具を取り上げられた上に、たとえ唱えられたアン・ロックの呪文でも閂タイプの鍵には効果は表れない。 「大丈夫ですよ。あなたたちも冒険者なんだからこのくらいは抜けられるんではなくて?」 言うやいなや「ホホホ」と笑い声が上がる。 「それから言い忘れたことがあったわ、その建物の中、何か潜んでいるようだから気をつけてね」 彼女の言葉を聞き、部屋の奥の方を見つめる。窓には格子がかかっており、遺跡内のせいか500年経過しても錆の一つも浮いていない。カビと誇りの臭いに混じり、何やら生き物めいた臭いがする。 「アンデットだ」 リグベイルの視界に負の精霊力を捉える。 各々、副武器を取り出す。ラザラスとフォルティナートは素手のままで後ろへと下がる。 「二体いる。そっちのはあんたに任せる」 「おうっ」 リグベイルの呼びかけにリディアスが答える。その後ろでオンがラザラスとフォルティナートを守る。 ラザラスがホーリー・ライトを唱え、辺りが白く染まる。光に浮き上がったのはグールであった。 リグベイルとリディアスは主要武器がないため思うように戦えなかったが、ホーリー・ウェポンの奇跡にも助けられ、グール二体を葬りさることができた。 時間にしてはわずかなものであったが、慣れぬ状況での戦闘はひどく疲労する。二人とも肩で息をするハメになっていた。 一息つく間に、オンはフォルティナートにルザナについて尋ねた。 フォルティナートは「学院で何度か見かけたことがあるだけで詳しくは知らない」と答える。「ただ噂はよく耳にする」と続ける。「鼻持ちならない性格で、親の脛をかじって魔術にのめり込む道楽娘と言われています。金に困っていないが負けず嫌いで、勝負事となると引くことを知りません。それでも弱者に対して肝要な態度を示すこともありますが、それもあくまで自分が上位に立つ場合に限ります。先ほどの態度がそれですね。競合を許すような態度を見せてはいますが、実際僕らが外に出てしまうとどんな態度に出ることか・・・」 そう言って、フォルティナートは指にはめた黒い指輪を見せる。 「これまで取り上げられるかとヒヤヒヤしましたが、執拗でなくてよかった」 杖が取り上げられると感づいた彼は、指輪をそっと抜き取り懐にしまっていた。それを先ほどの戦闘で取り出し、いつでも援護ができるようはめて準備していたのだ。ラザラスの活躍でフォルティナートの出番はなかったものの、彼の活躍の場はこれからであった。 「グズグズはしていられません」 フォルティナートは力強く皆に呼びかけると、呪文を唱えだした。 |
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| 脱出、そして |
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| リディアス [ 2003/10/10 2:48:19 ] |
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| | フォルティナートの魔法のおかげで、一先ず魔法の鍵はあっさり外れた。ま、どうやら、向こうのお嬢ちゃんとフォルティナートじゃあそこまで魔術師としての力に差はないみたいだな。その点については一先ず安心だが……しかし、今の所の問題は閂のほうだ。 閂のほうは魔法じゃどうにもならねぇ。こっち側に鍵穴が無い以上、”鍵”の出番でもねぇし、そもそもおっさんも七つ道具を奪われちまってる。 扉に体当たりでもしてぶっ壊すしかねぇよな……ったくさっきの戦いでも疲れたってのによ。 ま、あの小生意気なお嬢さんの鼻っ柱へしおってやらねぇことには、収まりもつかねぇしな。
さて、思ったより頑丈だった閂をぶっ壊すにはそれなりに時間がかかっちまった。もちろん、見えるところに奴らの姿は無い。 「とりあえず、武器を回収したいところだね」 真っ先にそれを言うリグベイル、それは、全く同感だ。多分、奴らにしても他人の大剣とか杖とか抱えてウロウロするなんてことはねぇだろうし、どっかに置いていくとは思うんだが……空き部屋の一つにでも放り込んで鍵ってところが妥当かもな。 とにかく、武器がねぇことには、グールなんぞでも手間取っちまうんだ、アイツ相手にゃ厳しいな。 「アイツ? 知った顔でもいたか?」 ああ。一人……オレに後ろから剣を突きつけてた奴だ。ま、オレと同じぐらいの力と見ていいだろう。むしろ、今は、オレにこいつ(小剣)しかねぇぶん、向こうのほうに分があるな。 そういうおっさんは、どうだ? ”鍵”の知り合いでもいたか? 「知った顔ではないが、オレから七つ道具を持っていった奴……あの扱い方は、多分”鍵”の心得があると思って間違いないさね」 「随分立派な体つきの”鍵”だな」 「中々、骨の折れることになりそうだな……ところで、リディアス、船の中は見なかったか?」 外から見たのと同じような色した壁がつづいてる廊下だったな。ま、一瞬で自由を奪われちまったから詳しいことは言えねぇが……ただ、奴らの仲間にはもう一人いた。半妖精かもな、アレは。 「今までのメンバーからしたら精霊使いと見るべきでしょうか?」 「そうだろうな。神官という可能性もないではないが……少なくとも五大神に仕えるものがあれば、このようなグールがいることのわかっている小屋に閉じ込めたりはするまい」 ま、それは、とにかく、アイツらの後を追うとするか? アイツらは奥に進んでるだろうし、手近な扉から開けていきゃ、ばったり出会う前に愛用のモノに会えるってもんだろう? 「ああ、急ぐとしよう」
さて、”船”に入り、オレ達の荷物は、すぐに見つかった。最寄の部屋、鍵がかかっているわけでもなく、それどころか半開きに開いたままの扉の奥には、無造作にオレとリグベイルの大剣、そして、フォルティナート、ラザラスの杖が転がしてあった。 皆が自分の物を思い思いに拾っているその中で、オンだけは、部屋をキョロキョロとしていた。 「どうしたんだい?」 「俺の七つ道具が見当たらないのさね……もしかして、奴ら、持っていったか?」 おいおい……それってつまり…… 「ああ、奴らに会って七つ道具を取り返さないことには、この遺跡の部屋一つ調べることはできないってことさね」 ……ったく、武器は取り戻したとはいえ、これは少々面倒なことになってきたな。 あわよくば面倒事を避けて奴らを出し抜いてやるのも一つかと思ったが……ま、いいさ。さっきのグール部屋の恨みも返してやらねぇことにはな。 |
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| 血痕 |
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| フォルティナート [ 2003/10/10 21:38:19 ] |
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| | 「未発掘の遺跡さね」 遺跡行きのメンバーが顔合わせをした時のオンの言葉にフォルティナートは自分の耳を疑った。未発掘の遺跡に一度も組んだ事の無いメンバーで行こうと言うのが信じられなかったからだ。自分の実力では何度も仕事を共にしたメンバーでも行く気にはなれなかった。その事を言おうとした時、不意に隣りに座っていたリグベイルがフォルティナートの肩を叩いた。 フォルティナートはリグベイルと以前共に遺跡探索に行った事があった。其処は枯れ遺跡で有名な遺跡であったのだが、リグベイルがその遺跡の周りである物を見つけ、それがその遺跡と関係しているのではないかと調査しようとし、その時に誘われたのが切っ掛けだった。その際フォルティナートは『未発掘の部分が発見された場合引き返す』と言うのを条件でメンバーに加わったのである。 リグベイルはその時の事を思い出し、フォルティナートが参加を拒むのではと思い肩を叩いたのだ。 「未発掘の遺跡に挑むことができるなどそうそう無いぞ」 と小声で言う。さらにひょっとしたらもう二度と無いかも知れないと付け加えた。 全員で話し合う事により、ラザラスとフォルティナートがこれ以上進むのは無理だと判断した時点で引き返すという事が決まった。その条件ならばフォルティナートも納得できたからである。その際にリディアスはかなり反対したが。
「思わぬ形で未発掘ではなくなってしまいましたね」 フォルティナートは隣りを歩くラザラスに苦笑交じりで話し掛けた。一行はオンとリグベイルを先頭に殿をリディアス、その間にラザラスとフォルティナートと言う隊列でルザナ達を追っていた。 彼女等もこの船の構造は把握していない。つまり一部屋ずつ調べていくはずだと推測していた。何れは追いつくはずだと。 「ったく、お前は臆病すぎるんだよ。まあ良い、奴等に追いついたら其処からは未発掘だぜ」 フォルティナートの言葉をすぐ後ろで聞いたリディアスが豪語する。 「私はどちらでも構わんよ。遺跡に入ると言う経験がまた私の知識を深めてくれるはずだ」 ラザラスは呟くようにそう言った。 その直後である。リグベイルは不意に止まると、前方に指を指し皆に見るように促した。その先には争った跡が残っていた。腐リ果てた死体が幾つも転がっていたのである。ラザラスとフォルティナートはゾンビであろうと皆に言う。不死者どもの巣になってなければ良いがと言うラザラスの言葉に全員が息を呑んだ。 「みんなこっちに来てくれ」 そう叫んだオンの足元には血溜りがあった。そして血痕が点々と一行が向かおうとする先に続いていた。 「どうやら連中には回復役がいないようさね。この血を辿っていけば追いつくのは時間の問題さね」 ニイっと笑いながら言うオンの言葉に全員が頷く。 「これは交渉の余地がありそうですね」 フォルティナートはそう言うと杖を握る手に力を込めた。 |
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| 獲物 |
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| リグベイル [ 2003/10/13 11:37:13 ] |
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| | リグベイル等一行が、血痕の主に至るまで多くの時間を必要とする事はなかった。四半刻もせぬ内に、壁を背にへたり込む“鍵”と思わしき男の姿を見つけたからである。
男は、右の二の腕辺りから血を滴らせその場に小さな血溜まりを作っていた。灯を掲げて近づく一行に荒い息をつきながら威嚇する様な視線を向ける。
「おっととぉ、そんな怖い顔しなくても大丈夫さね。俺達は怪我人には寛容だからねえ。なぁに、俺の道具を返してくれて、二、三の質問に答えてくれりゃ直ぐに傷を塞いであげるさね」
人あたりの良い笑顔を浮かべながら近づくオンに躊躇う表情を見せつつも、結局は折れた様に懐からオンの七つ道具を取り出して放ってよこした。オンは、自分の道具の中身を素早く確認して何一つ欠けていない事に満足すると、男の傷に手をかざし、“治療”の祝詞を唱え始めた。
オンの“治療”の祝詞が続く中、フォルティナートが“鍵”の男事ダーランに怪我を負った経緯とルザナ等他の仲間達の行方を問い質した。
ダーランは、部屋の探索中に数体の不死者に襲われ、撃退はしたがその刹那に仲間の“剣”からいきなり切りつけられた事、そして、もう一人の仲間と共にルザナを拉致し、そのまま遺跡の奥へ走り去って行った事を淡々とした口調で語った。
「…その二人、どうやら不死者に魅入られた様だな。我等も二の舞にならぬ様、気を引き締めねばなるまい」
ダーランの話を聞いていたラザラスが、そう見解を述べて皆に警告を促した。
「そう言ゃアンタ等のお仲間に半妖精がいたと思ったが、そいつはビビって逃げちまったのか?それとも…?」
周囲を見回しながらリディアスが、今気付いた様な口調でダーランにそう聞くと、ダーランは訝しむ表情を作りながら“誰だそいつは?”と聞き返して来た。
「……じゃもしかして、オレが見た半妖精ってのもここの幽霊?」 「…かもな」
引きつった顔で固まるリディアスの肩を軽く叩きながら前に出たリグベイルが“この遺跡に留まる幽霊達が何故ルザナを連れて行ったのか心当たりはあるか?”とダーランに新たな問いを投げかけた。 だが、ダーランは見当がつかないと言わんばかりに頭を横に振った。
「…ただ、当身でルザナを気絶させて掠おうとした時、やつ等妙な事を言っていたな…」
ダーランは、幽霊達がこんな事を言っていたとリグベイル達に話した。
『最後の二人がついに揃った。一人は今この場で我等の手に落ち、今一人も何れは我等の手に…これで“あの計画”が遂行出来る…』
「手に落ちた一人と言うのはルザナの事でしょう。そして、この現状を鑑みるに残る今一人と言うのは多分、僕達の内の誰か…と言う事になりそうですね」
フォルティナートが、静かな声で皆にそう告げた。
「狙う方から狙われる方へ…狩人と獲物が逆になったと言うわけか…」
リグベイルが呟いたその一言は、その場にいる全員の気持ちを代弁しているかの様だった。 |
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| 計画 |
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| オン・フー [ 2003/10/15 17:47:46 ] |
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| | ”悪いが、俺は行かない” ダーランという”鍵”は引き返していった。
女・・・ルザナは雇い主だが、事態がこうなった以上、関わるのは御免だ。 依頼されたのは、あくまで探索の手助けであり、救出は仕事の範囲外だと。
奴はそう言葉を残し、足早に引き返していった。 其の背中が闇に消える。
俺達は奴らの残した痕跡を辿り、奥へ奥へと進む事にした。 黒い石床に残る僅かな”痕跡”だけを丹念に探り、複雑な通路を進む。 その途中、不死者・・・恐らく、魔術師たちの成れの果て、と思われる群れと数度遭遇しては足止めを食う。 ラザラスの神聖魔法、リディアスとリグベイルの連携、フォルティナートの魔術の援護が無ければ、足止め程度ではすまなかっただろう。
”聖なる光よ、亡者どもの体を清浄し、虚ろなる目を塞げ!”
不死者どもが凄まじい光で体を焼かれ、目を塞がれ、のたうつ所にリディアスの大剣が縦に一刀両断する。 同時に他の不死者もリグベイルの大剣が横薙ぎに払われ、上と下に泣き別れた。
倒された不死者どもは皆、傷みや汚れで一見分かりにくいが、金糸や銀糸がふんだんに刺繍されている青い服を着ていた。
「これは・・・僕の記憶違いが無ければ、古代王国時代末期のものであると思います」 フォルティナートが動かぬ不死者の傍に座り込み、其の服を見て言う。
「ならばこの”遺物”は古代王国時代末期か王国崩壊後のものと判断できるな」 フォルティナートの言葉に頷きながら、ラザラスが周囲を見つつ言う。
「本当に動かない・・・よな?」
念のために、リディアスが大剣の切っ先で死体を小突く。
からん
崩れる体と服の懐から小さく青い輝きを放つ宝石のようなものが転がり出る。
「これは・・・魔晶石」 小さな小石をリグベイルが拾い上げて呟く。 俺にも見覚え、というより、聞き覚えがあった。
魔術を使うさい、込められた魔力の分だけ精神を代用してくれる魔法の石。 過去は貨幣として使われたとされる為、魔法の品物としては比較的多く遺跡で見つかる。 使いきりで、補充が利かない点を除けば便利な品物で、込められた魔力が多ければ相当の金銀貨と交換できる。 もっとも、フォルティナートの鑑定では、俗に”くず”(僅か)とされる程度の魔力しかないとのことだ。 魔術師たちがいざという時の用心として持っていたのであろう。 だが、もはや魔術を使う知恵も精神も無い状態では無用の長物だ。 不死者の持ち物に手を付ける事には多少の抵抗もあったが、先の事を考え回収する。
そして痕跡を辿り二階層分は上へと登ったところで、またも不死者どもと遭遇し、早速魔晶石の出番となった。
相次ぐ戦闘での疲労を癒すために、安全そうな部屋を選び、そこで休憩をとることにした。 部屋には壊れかけた机と椅子、かろうじて役目を果たすベッド以外、何も無い簡素な部屋だが、五人で休むのには充分である。 先の戦闘で負傷したリディアスとリグベイルの怪我を、俺とラザラスがそれぞれの神に”癒し”を乞う。 其れに応じられた”奇跡”で傷口が塞がっていく。
一息つくために、それぞれベッド、床に思い思いに座る。 俺は扉の傍に座り、不死者どもが来ないか警戒する。
「古代の・・・恐らくは魔術師であった不死者どもの存在。奴らが何を考え、何をしようというのか・・・捨て置くわけにも行かぬ」 ラザラスが厳しい表情で静かに言う。
「ええ。ラザラス師・・・彼女、ルザナをさらい、僕たちの中から誰かをさらい、そしえ”計画”が遂行できる、というのが気になります」 ラザラスの言葉に続きフォルティナートが言う。
「手段からして、良からぬ企み。そして、不死者なれば決して正常ではない思考ではないことは明らかだ」 リグベイルが二人の言葉に頷き、そして言う。
「まぁ、財宝も気になるところだがよ、お嬢ちゃん含めて、このまま放って置くのは色々と気まずいよなぁ・・・」 皆の意見を聞いて、リディアスが言う。
「そうさね。財宝は後で何とか出来る・・・まずは、ここを”掃除”しないと、安心して探索できないさね」 俺がふと部屋の皆に視線を戻す・・・人影が・・・五つ!?
「・・・一人、多い・・・?」
俺の言葉と同時に、リグベイルが跳ねるように立ち上がる。 一点・・・部屋の奥の隅を睨み、言い放つ。
「負の精霊力・・・何かいる!」
皆が身構える。 そして、俺達の前に現れたのは、リディアスの言っていた、男の半妖精の幽霊だった。
「ホーントです!」
フォルティナートが叫ぶ。 その冷静な男の叫び・・・それは相手の危険さを物語るのに充分である。 ラザラスの表情が其れを証明している。
ただ、透ける体が身に着けているのは金糸と銀糸が使われた青い服ではない。 質素で簡素な赤い服である。 リグベイルが精霊語を、俺とラザラスが神聖語を、紡ぎ始めようとする。
”待て・・・話がある” 透ける手で、静止を求めてきた。 |
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| 真相 |
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| ラザラス [ 2003/10/16 21:49:41 ] |
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| | 一行は船の動力部とした部屋に向かっていた。先頭に立つオンの前に先ほど表れた半妖精の幽霊“クライス”が先導している。 クライスの説明により、ルザナを拉致した真意を知った。計画はこの船を動かすためのもの。しかし、それは「果たされても結果が伴うものでない」と彼は呟く。 ルザナ以外にも三人の魔術師が生け贄とされ、すでに船に組み込まれているが、死んで干からびている。その事実を認識できぬまま、計画を遂行しようと亡者のままさまよっているのだ。 二人の亡者は彼の腹違いの兄たちであった。
彼の説明から、狙われている人物が魔術師のフォルティナートであることが分かる。 魔術師5人を人柱のように埋め込むことで動力源とするのだ。本来は魔力の塔からの供給でまかなえたものであったが、塔崩壊後ではそれが得られず、動かすことのできぬ船となっていた。それを改良し、魔術師そのものを動力源にできるようにした。
仲間を騙して人柱に汲み入れるが、クライスが気がつき、止めに入る。しかし魔法生物に阻まれ、斬り倒されてしまう。クライスは半妖精であるがために、魔術を学ばされず、また貴族として振る舞うことも許されなかった。ただ、兄二人からは可愛がられていた弟であったのだが、その弟が倒されたことで、他の魔術師たちも二人の真意を知り、争いが起こる。魔力の塔が失われていたため、強力な魔法こそ使われずにいたが、互いの魔法生物や魔獣の無差別に近い殺戮の結果、生き残る者は一人としていなくなった。
それで終わりではなかった。二人の兄は、計画を続行させようとゴーストとなり蘇ったのだ。 ただひたすらに魔術師を求め船内をさまよい続ける兄を見て、事切れた後クライスもゴーストとなり、二人の兄を止めようとした。二人の兄は、ゴーストとなった彼の肉体をも破壊し、ファントムにしてしまう。船内に縛られたクライスは、二人を見守ることしかできなくなってしまったのだ。 やがて二人の持つ負の力が、この場を歪めて亡者を呼び起こすこととなる。動き出した死体は、二人に付き従うようになった。
一行が動力部に到着する頃には、全員が疲弊しきっていた。 クライスから忠告を受けていたからよかったものの、ゾンビやガーゴイル、スケルトン・ウォリアーの襲撃をなんとか撃退する。この戦いでリグベイルを除きルーンマスターたちの精神力は底に尽きかけていた。魔術師のゾンビから装飾品や魔法の品、小粒の魔晶石も手に入れていたが、心許ない。小粒の魔晶石では、魔力を練り上げることもできず、融通が利かない欠点がある。体内の精神力を温存するときにこそ使うものであり、その逆のような使い方をしては身を滅ぼす。
「このまま向かうのは得策ではないさね」 オンの言葉に皆が頷く。こちらの守るべきものはフォルティナートであり、一端引いて回復を待ってから再度挑んでも問題はないと思えた。 クライスも承諾し、全員が出口へと向かう。船内では危険と判断したからだ。相手は古代王国の魔術師。船室でフォルティナートがロックをかけたところで、解除されてしまうのは目に見えている。アン・ロックの効果の及ばぬところといえば閂などを利用した扉の中だ。 一行は閉じこめられた建物に向かった。船外まで探しに来ないと判断したからである。 建物の中には潜むものはない。倒したグールはラザラスが祈りを捧げてから水葬にする。
「ど派手に壊しやがって」 「お前がやったんだろう」 リディアスの愚痴に、リグベイルが静かに突っ込む。 リディアスが体当たりをして閂の留め具を壊したのを修理している。 外側についていた閂を内側に付け替える。強度は落ちているが、古代王国の魔術師が「体当たり」という真似などしないという予測の元、安全な場所を確保する。
明日が本番である。念のための見張りを立て交替で休む。日はまだ沈んでいない時刻であったが、横になった者は直ちに寝息を立て始めた。 最初にリグベイルとラザラスが見張り、中にリディアス、最後にオンとフォルティナートであった。 そのリディアスの見張りの時に、船内から出てくる人影を見つける。 (まさかっ) リディアスは身をひそめる。 あの亡者が船外に出てくることは予測外だ。 煌々と照らされた洞窟内では、彼らの足跡は一目瞭然で分かる。明らかに館に行き来した足跡の数が新しく、多い。
二人は迷うことなくこちらへと向かってくる。 リディアスは窓から死角となる場所へ回り込み、皆を揺り起こす。 死角に隠れ、やり過ごせればよいが、回復が万全でない今、見つかるのは避けたかった。
息をひそめて伺うと、扉がガタガタと揺れる。閂はしっかとかかり、開くような気配はない。 リディアスが口の端を上げて笑みを浮かべた。 (肉体が戦士であろうと、中身が魔術師では「あの扉」は破れまい) 外から呪文の詠唱が聞こえるが、扉に変化はない。元からロックなどかけていないのだ。 彼は笑いを押し殺し、このまま大人しく引き下がるものだと思っていた。 そのとき、窓が割れる音がした。何かが転がり込む。 「石?」 倒れたテーブルの影から、リディアスの視界に映ったのはどこにでもあるような石であった。 次の瞬間、それがむくむくと膨れあがるとドワーフより一回り小柄な人型に変わった。 ストーン・サーバントである。 それは、リディアスのいる方に背を向け、扉へと向かった。彼がそっと覗くとストーン・サーバントが閂に手をかけているのが見えた。 |
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| 反撃開始 |
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| リディアス [ 2003/10/22 0:02:45 ] |
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| | 隠れていたテーブルから乗り出しストーンサーバントを止めようと走るが、間に合わなかった。しかし、閂を外すという命令を終えて動きを止めたストーンサーバントを押しのけて、閂のささっていた留め具を掴んで扉を閉めるだけならできた。扉の向こうから開こうとする力に逆らいながら、なんとか閂を元通りに戻す。 再び動き始めたストーンサーバントをリグベイルに任せ、オレはさっきまで隠れていたテーブルに戻り、オンのおっさんに声をかけてテーブルを持ち上げ、それを窓に押し当てる。これで同じ手は使えねぇだろう。
そうしておいてから改めてメンバーを見やる。リグベイルが相手していたストーンサーバントは、フォルティナートが回収していた魔昌石を消費して援護したこともあって、あっさり崩れ落ちた。しかし、先に眠ったオンとフォルティナートは多少はマシな顔になってるが、疲れは完全に取れた様子はなく、また、最初に見張りをしてたラザラスに至っては言うに及ばずだ。しかも、この建物から明らかに抵抗があったことから亡者どもは、オレ達が中にいることを確信し、ここを徹底的に追究することだろう。さっきのストーンサーバントを放り込んだ手口からしても亡者と化し、狂っただろうには割とマトモな手を打ってくるみたいだ。いつまでもこのままの状態ってわけにはいかねぇだろう。
どうする!? あいつらをどうにかして倒す方法はないのか? 「ホーントを消滅させるには、彼らの精神を完全に消耗させるか、未練を断ち切るしかありません」 「とはいえ、私の扱う程度の闇霊で、彼ら二人分の精神を完全に消耗させてしまうなんてできないぞ」 それに、あいつらの未練っていったら、魔術師を生贄にして船を動かすことだろ? それってフォルティナートを差し出すってことじゃねぇか。そんなの無理だろう。 「そればかりが未練を断ち切る方法ではなかろう。彼らに、もう船を動かすことが無理なことだとわからせてやればいい」 じゃあ、その船の動力部分を壊しちまえばいいんだな? そうすりゃいくらあいつ等が狂ってるとしても、もう船を動かすことは無理なことぐらいわかるだろ? 「確かにそうだが、そんなことしたら、奴ら、怒り狂って今度は俺達を殺そうと襲い掛かってくることになるぞ」 「そうだな。もっと他の彼らが自らの死を理解し、受け入れる方法が良いだろう」 めんどくさい話だな、そりゃ……とはいえ、奴ら、可愛がってた弟だっていうクライスだって二度も”殺し”てるんだ。赤の他人のオレ達の説得なんて聞くか? 「その説得の材料がないかどうか、とにかく船の中に入って動力部を見てみるしかあるまい」 「そうさね。亡者となったクライスがまともに説得したかどうかは怪しいところだし、まだまだ打つ手がないこともないだろうさ」 じゃあ……とにかく、何よりもここを突破しねぇことには話にならないわけだな。
覚悟を決めて、オレ達は、フォルティナートの”抗魔(カウンターマジック)”を受けてから、あいつらとやりあうことにした。 奴らの使う魔法は確かに怖いが、オレとリグベイルで取っ組み合いの戦いにでも持ち込めば、魔法はもう使えねぇ。 オレはテーブルを置くと、扉の前にリグベイルと並んだ。そうすると、奴らがまだ扉をガチャガチャやってるのが判った。リグベイルと少し顔を合わせてニヤリと笑う。
行くか。 「ああ……せーのっ!」 そして、オレ達は、掛け声に合わせて、同時に扉を思いっきり蹴破った。鈍い感触と共に急ごしらえの閂が壊れ、ついでにオレの見知った顔のほうがいきなりのことによろめいているのが見えた。 いちはやくリグベイルがそいつにタックルをする。急なことに反応もできずにそいつはリグベイルに押さえつけられながら地面に転がった。これで、一人……。 もう一人は……窓の前辺りにいて、石を拾っていた。窓を押さえつけていたテーブルがなくなって同じことをしようとしてたみたいだが、もうその手段自体意味がねぇ。 だが、そいつにしても、驚いた顔をしているが……少し距離がある。オレがそいつに向かおうとした時には、少し身を引いて態勢を整えながら呪文の詠唱に入っていた。 |
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| 五人目 |
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| フォルティナート [ 2003/10/24 0:16:43 ] |
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| | 「正直あんたが助けてくれるとは思わなかったさね。一応礼を言っておく」 「フン。怪我を治してもらった借りを返しただけだ。俺も冒険者の端くれ。横の繋がりは大事にする」 オンのすぐ横を走っている男が話し掛けられそう答える。男はルザナに雇われたダーランと名乗った盗賊であった。
建物の中で決めた作戦はリグベイルとリディアスが魔術師を押さえつけ、その際に落とすであろう発動体の杖をオンが拾い上げ船内に逃げ込むと言うものであった。魔術師達は杖が無ければ呪文を唱えられない。恐らくオンを追うはずだと予想し、その間に他の者が動力室に向かおうとしたのだ。
しかし、一行が建物から飛び出した際、一人の魔術師はリグベイルが押さえつける事に成功したのだが、もう一人にはリディアスの飛び出しが遅れ呪文を唱えられそうになったのだ。 作戦は失敗かと思われた。だが呪文が完成するかと思われた瞬間に物陰に隠れていたダーランがその魔術師に飛び掛り呪文の完成を防いだのである。
意外な協力者の出現により一行の作戦は見事に成功した。そしてオンが杖を拾い上げ船内に逃げ込む時にダーランもオンに着いて行った。さらにその後を魔術師達が追いかけて行ったのである。
「まあ、あれだけの事をしたんだ今度は“貸し”になったな。船内の宝の一部は………」 「ああ、分かってるさね。とにかく今は時間を稼ぐのが大事さね」 二人は船内のさらに奥へと走って行った。
一方その頃、動力室に到着していた残りの四人は不死者達との戦闘を終えていた。動力部にも多数の不死者が潜んでいたのである。
「ふう………やっと片付きやがったか。それにしてもコイツはヒデエな………」 辺りを見回しながらリディアスが大剣の先を地面に降ろし呟く。 動力部のある部屋は殆んど破壊されていた。それは魔術師同士の争いの凄惨さを表していた。 「強力な魔法が使われなかったとは言えこれほど部屋が破壊されてしまうとは。流石は古代王国の争い、と言った所でしょうか」 「魔法生物や魔獣の恐ろしさがこれで良く分かると言う物だ。 それよりもオン達が魔術師を引き付けている間になんとかホーントを昇天させる手がかりを探さねば」 ラザラスとフォルティナートが言葉を交わしている間にリグベイルが壁に埋め込まれている魔術師の死体とルザナを発見した。リグベイルに呼ばれ三人が駆け寄る。 「彼女、生きてはいるようだ」 リグベイルが精霊使いの能力であるセンス・オーラでルザナの生死を確かめる。 「やはりそうか。埋め込まれた人間を動力源にするという事からその者が死んでいては動かぬのであろう。彼女を救う方法があるはずだ」 ラザラスの言葉を聞いて杖を額に当て何かを考えていたフォルティナートが口を開く。 「これは、僕の推測でしか無いのですがホーントの目的は変わって来ているのでは無いでしょうか。 最初はこの船を動かす事が目的だったのでしょう。そのための手段である生け贄たる魔術師を五人探す事。これが今の目的になっているとしたら。もしそうだとしたら五人目の魔術師を埋め込む事が出来れば彼らは昇天するのでは無いでしょうか」 「馬鹿な。それでは本当に推測でしかないだろう。それにもしもその推測が当たっていたとして五人目の魔術師はどうするのだ?………………まさか、フォルお前………」 「ええ、そのまさかです。先ほどラザラス師がおっしゃったように埋め込まれた人間を救う方法があるはずです。 そしてこれも推測になりますがその方法を記した本がこの船内に眠っているはずです。 如何でしょうか。もう時間も無い。僕はこの方法を提案したいのですが」 「私は賛成だ。人柱でこの船を動かせるようにしたのは船が完成した後であろう。それならばこの中で研究していた可能性は高い。その研究を記した物が船内にある可能性も極めて高いだろう。 それにもしもフォルティナート君が埋め込まれても昇天しなかったとしても船が動かぬ事が分かれば昇天する可能性もある」 「オレもいいと思うぜ。オレは考えるのは苦手だし時間が無いのは確かだ。それに分が悪い賭けだと思わないしな」 ラザラスとリディアスがフォルティナートの案に賛成したのを見て、リグベイルは反対の言葉を飲み込んだ。
「しかしフォル、慎重なお前があのような事を言い出すとはな。驚いたぞ」 「ふふ。あれも考えに考え抜いた末の案ですよ。それにラザラス師の“埋め込まれた人間を救う方法があるかもしれぬ”と言う言葉が無ければ言い出さなかったでしょう。リディアスさんの言ったように分が悪い賭けとは思っていませんから」 オン達を待つ間にリグベイルはフォルティナートと言葉を幾つか交わしていた。 ラザラスは何かをじっと考えているかのように渋面を浮かべ黙っていた。 リディアスは自分のやる事は無いと言った様に大剣を鞘に収め背負い腕組みをし部屋の扉を睨むように見つめていた。
やがて扉が開きオンとダーランが入ってきた。リディアスが二人に端的に話しを済ませる。暫くして息を切らせながら戦士に憑依した二人の魔術師も部屋に駆け込んで来た。 「ラザラス師、もしもの時はお願いします」 フォルティナートは一歩前に出ると背中越しにラザラスに言った。その言葉を聞きラザラスは小さく頷く。 そして杖を握る手に力を込めるとフォルティナートは魔術師たちに向かいこう言った。
「お話しがあります。僕が五人目の人柱になりましょう」と。 |
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| 永き悪夢が終える刻 |
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| リグベイル [ 2003/10/25 4:06:51 ] |
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| | 動力室にてフォルティナートと不死者等の間で交渉が始まった頃、その動力室からいち早く抜け出していたダーランとオンは、現状の説明を受けた半妖精の幽霊“クライス”に先導されクライスの兄二人が研究に使っていた部屋を探索、そして“ある物”を手に入れ再び動力室へと取って返していた。
「しかし、本当に上手く行くのか?あくまでも推測だろう、お前達が言っているのは」 「推測だろうと何だろうと、もう動き出しちまったもんはしょうがないね。後は神官らしく幸運神に祈るだけさね」
屈託ない笑みを浮かべながら肩を竦めるオンに胡散臭げな視線を送るダーランへ二人の先を行くクライスが確信めいて応えた。
“まだ兄達が今の様に狂う前、動力装置が万一にも制御不能になった時を考え、装置を止める方法と手段をあの部屋に残していたのは確かだ。そして、装置が完全停止すれば人柱となっている魔術師達を取り込む力場も消え、その者達を救い出せるはずだ。”
「…御高説どうも。ったくあんたがもっと早く俺達に忠告してくれりゃ俺達の雇い主を拉致られるなんてヘマはしなかったのによっ」
淡々と語るクライスが気に食わなかったのか、ダーランがクライスにそう悪態をつく。クライスは、わずかに振向く素振りを見せながら、やはり淡々とした口調で応えた。
“仕方あるまい。彼女は強力な“不死者除けの護符”をその身に付けていたのだからな。思い返すが良い、貴殿等が兄達や他の不死者等に襲われながらも易くそれを撃退出来た事を。全てはその“護符”の魔力あっての事…ただ、憑依した生者の身体には効かなかった様だが。”
「……あのアマ、もしもの事を考えて自分だけそんな物を用意してやがったのか。通りで不死者目の前にして余裕顔な訳だぜ」 「まぁまぁ、雇い主に対する不満はそれくらいにして早いトコ動力室へ戻るさね。俺達がここから生きて出る為にもね」
穏やかな口調でダーランを宥め諭していたオンが、不意に歩調を緩めた。ダーランもそれが動力室の近くまで戻って来た事だと悟り、同じ様に足音を忍ばせる。オンとダーランは、息を押し殺しながらわずかに開く扉の隙間から中の様子を窺う。 動力室の中では、フォルティナートが棺の様な容器の中へ今まさに取り込まれようとしているところであった。そして、フォルティナートの眼前に立つ魔術師二人。 リディアスが見知った戦士の身体に憑依した魔術師は、剣を構えてリグベイル等を牽制し、残るもう一人の魔術師が、杖を高々と掲げ鬼気迫る声で呪文を詠唱していた。 オン達が動力室の外で機を窺う間も呪文の詠唱は続き、ついにフォルティナートはルザナの隣の壁へ取り込まれてしまった。だが、それからしばしの時が過ぎても動力装置が動き出す事はなかった。
“…何故だ、何故動かない?五人の魔術師は全て揃えたと言うのに何故だ…”
「…これで理解出来たであろう、お前達が五百年に渡り行って来た行為が間違いであったと言う事を。最早如何なる事をしてもその装置は動かぬ…仮に動いたとしてお前達は何処へ行こうと言うのだ?命終え、その身は既に朽果て、他者の身体を借りねば何も出来ぬこの状態でお前達は何を求めると言うのだっ!!」
ラザラスの鋭い一喝に二人の魔術師は、虚ろな表情のままラザラスが最後に問いかけた言葉を何度も反芻する。そして、呪文を詠唱していた魔術師の方が突如奇声を上げながら倒れ伏した。リグベイル等が見つめる中、その背から半透明の人間が浮かび出るとそのまま霧散して行く。だが、もう一人の魔術師はそれでも尚リグベイル等の前に立ちはだかり、剣先を向けて来た。
“…我等が間違うはずがない、これは“贄”にした魔術師が蛮族の血に穢れていただけの事。純血なるカストゥールの者であれば必ずや成功するっ!”
「その純血なる者がこの世の何処にいるって言うだいっあんた等の性質の悪い夢もこれで終わりさねっ!」
ここぞとばかりに動力室の中へ飛び込んだオンが、手にした包みを解き中の物をリグベイルへ放った。咄嗟に受け取ったリグベイルが目にした物は鏃が銀で出来た一対の弓矢であった。
「それで魔法装置の中の“生命の精霊”が宿る宝珠を壊すんだっ!これは精霊が見えるお嬢さんにしか出来ない、だがその宝珠を壊せばその装置が動く事は二度とないさねっ!」
オンの言葉に“承知”と短く応えたリグベイルは、素早く矢を弓に番えると“精霊感知”の力を集中させ“生命の精霊”の力が滲み出ている一点へ照準を定めた。
“やめろぉぉぉぉぉっ!!!”
絶叫を上げ鋭い踏み込みと共に魔術師がリグベイルへ切りかかったその刹那、リディアスが横合いからその間へ割って入った。そして、下段から大剣をすり上げ魔術師の剣を高々と跳ね飛ばした。
「…踏み込む際に逆手の握りが甘くなるのがお前の悪い癖だぜ、ガーフ」
魔術師に憑依された戦士の名を呼びながらリディアスは、不敵な笑みを浮かべた。
「…この一矢により、永き“悪夢”に目覚めの刻をっ!!」
リグベイルの叫びと共に放たれた銀閃は、寸分の躊躇いもなく魔法装置の一点へと吸い込まれて行った。 |
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| 目覚めという終焉、そして |
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| オン・フー [ 2003/10/25 16:52:37 ] |
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| | 複雑な装置の隙間を縫って。 リグベイルの迷い無き、放った銀の鏃が、白く輝く宝珠を貫く。
装置から凄まじい光の奔流が疾り、力場が崩壊した。 装置から気を失ったルザナとフォルティナートが。 そして三人の魔術師達の骸が解放され、床に放り出される。
「よっと!」 そこをルザナを逸早く受け止めたのは・・・リディアス。 フォルティナートを受け止めたのはラザラスとリグベイル。
「フォルティナート!」 「・・・ラザラス師・・・リグベイル・・・」 呼びかけにフォルティナートが気が付く。 一時とはいえ、気を失っていた事で朦朧としている様だ。
「おい、お嬢ちゃん!」 「・・・」 一方、ルザナのほうは呼びかけに反応しない。 だが、微かに呼吸をしている事でリディアスが生きていることを確認する。
俺は二人が無事なのを見て安堵する。
「たく、女にはやっぱり甘いさね」 リディアスに皮肉。
だが、その安堵も。
装置から放たれた凄まじい光が唐突に渦を巻き。 その光の渦にさらされたガーフ、正確には魔術師の、絶叫に掻き消される。
「”ああああぁぁぁっ・・・あああぁ・・・!!”」
生きている者の、確かで、温かみある声と。 生きている者の、決して発する事無い低く、不安定な声。 それが重なり、有り得ぬ異常な叫び。
体を二つに折り、頭を抱え、床を転げ回る。 少しでも光の渦から逃れようと、そして、のたうつ体から。 魔術師の、人の形を辛うじて留める、霊体が空に染み出る。
整った顔であろう魔術師の表情は。 声無き叫びで歪み、触れる事の出来ない体を、手で虚しく掻き回す。 そして、光の渦に触れる度に、霊体の形は歪み、ますます崩れる。
「”生命の精霊”・・・」
凄まじく疾る光の渦を見て、リグベイルが呟く。 相反する”負の生命の精霊”である、その霊体を徐々に飲み込む。 だが、それでもなお、逃げ様とする。
「お、おい・・・逃げるぞ」 ダーランが言う。 魔術師の霊体は渦に引き込まれつつも。 なお、不安定な体を引き伸ばして動力室の外へ向かう。
「い・・・いけない!」 朦朧としたままだが、フォルティナートが叫ぶ。 咄嗟にリグベイルが、有効な手段であろう”闇霊”に呼びかける。 しかし、紡ぎ出される精霊語が中断され、直ぐに頭を振る。
「”生命の精霊”が強過ぎる・・・!」
「むぅ・・・」 ラザラスが、神聖語を紡ぎ出す。 最後の手段と、知識神ラーダに”奇跡”を祈る。 だが、それはまたも中断された。
魔術師の霊体の前に、動力室の外にいたクラウスが立ち塞がった。 光の渦に触れて、魔術師と同じように霊体が歪む。
「クラウス・・・?」
唐突な事に俺はそう呟く。 ただ、哀しそうな、しかし決意に溢れた表情が、呟きに答えた。
”リュシーネル兄さん・・・もう、終わりですよ”
”クラウス・・・退け!まだだ、まだ・・・”
”もう、私達の時はとうに過ぎ去りました”
悲壮溢れる哀しき声が、動力室の中に力強く静かに響く。
”ミネリアス兄さんは先ほど其れを悟ったのです”
”・・・うぅ・・・”
「そうだ。聞くが、この船で何を為そうとしたのだ?」
ラザラスがクラウスの横に立ち、問う。
”生き残って・・・新たな地に・・・そうか・・・そうだった”
魔術師の歪んだ表情がふと落ちつく。 霊体は更に崩れてはいたが、顔だけは元の形に戻っていく。
”そうです。私達が生きてこそ、この船を動かす意味があった・・・”
クラウスが兄である魔術師の霊体に近付く。 光の渦に更に形が失われていく。
”愚かだった・・・動かす事に囚われて、仲間さえも犠牲にした・・・”
「ようやく、思い出されたのですね」 ラザラスの横に、リグベイルに助けられ立つフォルティナートが聞く。 魔術師、リュシーネルの霊体が静かに頷く。 其の表情に、もはや妄執は無い。
”死んでしまった我らに、この船は意味は無い”
クラウスがリュシーネルの側に立つ。 光の渦が二つの霊体を吸い込む。
「もう、良いのだな」
リグベイルが問いかける。
”ええ。皆さん、ありがとうございます。これで・・・眠れます”
霊体が渦に完全に吸い込まれる。 直前に、クラウスとその兄二人の、笑みを一瞬見た気がする。 光の渦も急激に収縮し、何事も無かったかの様に跡形も無く消え去った。
一瞬の沈黙の後、リディアスが呟く。
「なんでぇ、呆気ないな・・・なぁ、おっさん?」 「ん・・・あぁ、そうさね」
其の呟きに生返事しながら俺は思った。
(古の夢より目覚めた三兄弟よ、どうか永遠に眠れ・・・)
遺物である船は、永遠の静けさに包まれた。 もう、ここに眠る者はいない。 そして、古の悪夢から目覚めた。
それから三日後。 俺達はオランに帰り、遺跡からの帰還を祝った。
遺跡で見つけた財宝は数は多いとは言えなかった。 しかし、其れでも価値的に高価で、暫く余裕で生活していけるほどだ。 宝石に装飾品、また古代王国時代の資料、魔法の品。 後は、数点の”くず”魔晶石だったか?
そうそう、忘れるところだった。 俺達を虚仮にしてくれたルザナと雇われていた冒険者達。 ダーランには協力した礼として幾つかの宝石を渡す事にはなっていた。 しかし、ルザナには虚仮にされたのに救助した、と言う事で一切財宝は無し。 それで結局収入が無いルザナは、傭兵達への残りの報酬に困る事になった。 仕方なく、実家に泣きつく事になり、暫くは冒険には出られないとの事。
フォルティナートから聞いて、リディアスが言う。
「ま、今回については良い勉強になったと思えば、安いもんだと」 ニヤリとしながらの一言に、皆は笑った。
それぞれの思いを胸に、祝いの席は更けていった。
〜南海遺跡探索記〜 終 |
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| 終了 |
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| 場末の酒場の吟遊詩人 [ 2003/10/25 17:02:51 ] |
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| | ・・・さて、こうして、かのように彼らは帰還したので御座います・・・ 最後まで御拝聴、真に感謝感謝。 これにて、ある一つの冒険譚を終えさせて頂きます・・・
(以上を以って、”南海遺跡探索記”の雑記を終了とします) |
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| (無題) |
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| 管理代行 [ 2004/11/27 5:01:48 ] |
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| | このイベントは既に終了しています。 |
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