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コトバ遊び
キア [ 2005/04/08 20:12:13 ]
 ハザード川の河原で、お昼ご飯のサンドイッチをお忘れしてぐったりした時に、”緑と風”のエルスリードって言うお名前のにーちゃんから、保存食を分けてもらったん。
その保存食じたいはよーく言ってソザイをイカシテルって感じの………はっきり言っちったら味にまで気が回りませんでしたーな物だったんけど、
貰ったんはジジツだからぁ、おいらお夕飯をごちそーするってさそったん。

結局材料は、エルスにーちゃんが釣ったお魚、それをおいらがムニエル。
そのまま焼いても美味しいって言われたんけど、そのまま焼くのも美味しいんけど、それじゃまたまたお夕飯までごちそーになるのと一緒だって言って、おヒトから見れば小さいらしー腕をゾンブンにふるったん。

そんな食事の時、

「お前のその言葉は、草原妖精の訛りのようなものか?」

って聞かれたん、でもそう言うエルスにーちゃんの方こそナマリのある共通語。

草原妖精語なぁんてないから、おいらのナマリは別に草原妖精なんて関係ないんよね、いろんな人と話して、そん人のナマリを真似したりして、気がつけばこんなコトバ使いになっとった。
思い出せば昔はふつーに話とったような気もするしぃ、もっと酷かった気もするん。
そう答えたら、そうかって言ってちこっと笑ったん。

同じコトバなのに、耳に伝わる音が違うのは、まるでコトバ遊びのよーだって言いながらぁ。

「確かに、その土地土地の音や言葉があるのだろう、例えば、こちらにはないだろうがオレの集落には「パケトントン」という言葉がある」

んみ、ほんにコトバ遊びしてるかのよーなコトバだねぃ、んでも聞いたことないんなぁ……………それ、どういう意味なん?

「ハゲ頭、だ」
 
ねずみのおもちゃ
キア [ 2005/04/16 15:27:06 ]
 良く行く木造のお店でたまたまあったラスにーちゃんから頼まれたんは、出掛ける間のクロシェ達のご飯。
おいらも最近気がめいりそーな変装のクンレンがおーかったん、二つ返事でお引き受けしたん。

トゥーリにーちゃんの所に行く前に1回、帰りに1回、合計2回のご予定。

折角だもん、ちこっとクロシェ達と遊ぼうと思ってネズミの形のおもちゃを作ったん、と言ってもカンタンな奴だけんどねぃ。レモンを半分に切ったよーな形の胴体に、耳くっつけて、尻尾の変わりちこっと眺めの紐をくっつけた、オガクズを詰めた布のおもちゃ。

で、持ってったんけどぉ………(汗たらり)

暫くはよかったんけど、尻尾の紐引っ張るタイミングがちこっと遅くて、飛びつかれなんと同時にひっぱっちったん、爪に引っかかって布やぶれて、中のオガクズ飛び散って………床はオガクズだらけ。

このままにしとく訳にもいかんから、オガクズをキレイにおソージした。

どーもおいらは、このお家のおそーじに縁があるよーだ(自業自得)

 
はさみのおと
キア [ 2005/04/19 0:51:58 ]
 むりやりに一つに括っとっても括るにはちと短くて、横の毛がぱらぱら零れてくるん。どーせ切るんだからぁと、ばっさりやっちゃおー思ったんは、ラスにーちゃんの猫にブラシ掛けとったとき。

後回しにしたら今度でいーやーと思っちゃうから、お宿に帰ってから括ってある部分を少し長めにダガーでざっくり切り落とし。それからぁ、横の部分もはさみでてきとーにじょっきん、と切って、前髪も長くなってきてるん、てきとーな長さにちょきちょき。

切った次の日クロシェたちにご飯を上げてから、トゥーリにーちゃんの所へ行ったら、にーちゃんったら

「お前、長さがあちこちバラバラだぞ」

と言いながら、笑っとった。

おいらとしてはスッキリしたから、いっかぁ
 
涼しいくびもと
キア [ 2005/05/01 21:26:02 ]
 久々にねーちゃんに会った、お土産は旅の話とワインを2本、とってもおいしかったん、とっとこうと思ったんけど、ラスにーちゃんにあげる事にした。
ラスにーちゃんずーっと元気がないん、ホントは元気がないんとはちこっと違うかもしれんけど、あんなにーちゃん見てたらみんな心配するに決まってるん、キヤスメでも気分が変わるよーに、なんの解決にもならんけど、おいしいものと食べたり飲んだりすると気分がちこっとやーらかくなるん。

そ、おいらは失敗をずっとひっぱっとるにーちゃんに、ほんの少しだけぃ、キヤスメでもいーから気分を変えてほしかったん。
だっておいらは精霊使いじゃないんもん、どんなにお話を聞いたとしてもね、おいらにはにーちゃんの中にあるホントの苦しみはわからんからぁ、こんな事しかできんかったん。

にーちゃんは相変わらずで、おいらは思わずきいちって、それがきっかけでカレンにーちゃんとまで喧嘩しそになって、思わずお二人のお顔をぺちりと一発ずつ。
言いたい事だけきぱっと言ってー、んでも、きっとラスにーちゃんがホントに話すんはおいらじゃなくてカレンにーちゃんだから、その場をバイバイしたん。

笑ってケーキをお頼みしてちゃらけて帰ったん、ちこっとだけ、来る日を変えれば良かったなぁって思ったのは、ナイショのハナシ。

きっとおいらは、引っかき回して帰っただけ。

遺跡から帰ってきたら、元にもどっとるといーな、そしたら、カレンにーちゃんに作るっていったんチェリーパイを持って、ゴメンナサイを言いにいこー。

帰り道、ラスにーちゃんが切りすぎてすぅすぅする首もとが、みょーに気になってぃ、ずっと触りながら帰ったん。
 
ひと時の家族
キア [ 2006/09/19 21:57:58 ]
  リデルにーちゃんが、お宿を訪ねてきたのは少し前のこと。セシーリカねーちゃんを知らないかって。
 それからまた尋ねてきたのはつい先日。

 「セシーリカが見つかったよ。心配をかけてすまなかった」

 場所は、もしかしてと思ってて、んでも、まさかと思って、おいらは行かなかった所だった。

 気持はわかるんけど、わかるんけどなー、ラスにーちゃんちにジョセイ一人でおとまりにいってていーもんなんかな?
 おいらみたいな草妖精とかならともかく。



 「ありがとう、キアさんのお菓子って本当、美味しいから好き」

 お見舞いに持っていった梨のタルトを食べて、元気そうに笑ったねーちゃんの顔を見て、おいらもにっこり笑顔。
 まだ熱はあるみたいなんけど、食欲は少し戻ってきたらしく、おいらの持ってきたお見舞いのタルトは、一切れきれーに食べてくれたん。さすがに、おかわりするほど食欲はないみたいなんけど。

 「ごめんね、キアさんにも心配かけちゃって。兄さんとももう仲直りしたから、大丈夫」

 そう言って笑うねーちゃんの顔は、まだ少しうかないよーにも見えた。まだ熱があるから、調子悪いだけなのかもしれんけど。
 それにしてもー!ユーニスもお見舞い来るなら誘ってくれればいーのにー!もー、梨のタルトはユーニスのぶんあーげないっ!

 「あはは、でもユーニスさんにも事情があったんだと思うよ、キアさんに会えなかったとかさ」

 そう言って笑いねーちゃんの顔はやっぱり、まだなんかひっかかっとるよーだった。


 おいらには、そーだん相手には役者不足ってようわかっとるから、なんも言えんしなんも聞かんけど。
 でも、おいらの作ったお菓子で元気になるなら、また作ってくるん、早くよぅなってね。
 で、よかったら、全部終わったら、教えてねー。おいらだって『家族』だったんもん、仲間はずれはやーよー。


 草原妖精に家族いわれるんは迷惑かもしれんけど、おいらの言葉を聴いて、セシーリカねーちゃんは、笑ってくれた。
 
コイのライバル
キア [ 2006/10/24 2:30:30 ]
  よく行く木造酒場で知り合った、同族さんのレアが、ちょーどぐーぜん一緒になったホッパーと、古代王国の食文化について書かれた、手記の話をしとった。自他ともたぶんナットクな、食道楽のおいらとしては、とってもキョーミあるお話。
 レアは、キョーミがあるなら貸してくれると言ってくれたんけど、中身は下位古代語で書かれとるらしい。んでもおいら下位古代語なんて、全くこれっぽっちも読めん。なんで共通語か東方語でかかれてないんよー!

 レアが、がっくりしとるおいらに「必要な点だけ、共通語に書き出してあげてもいいのよね」と言ってくれたんけど、貸してもらう上にホンヤクまでしてもらうんは、ちと申し訳ないとゆーものなん。

 そこで、ホッパーがホンヤクしてあげよーかと、名乗り出てくれたん。ちと条件付だったんけど。
 その条件ゆーのが、ホッパーのコイのお相手、学院の近くある雑貨屋さんのムスメさん、ミルテさんのことだったん。

「ミルテさん、最近、誰かに見られている気がするって相談されましてね。簡単でいいので、調査御願いできます?念のため。」

 調査するとしても、次の日はホッパーがミルテさんとデートだとゆーので、開始は次の次の日から。
 ホンヤクもお願いすることなんし、カンタンならってことで、引き受けることにしたん。


 んま、結果だけをゆーと、張り込み初日にハンニンがあっさりわかったんけど。



「ミルテさんの、お父さんですか?」

 ハンニンがわかったその日の夜、その足でホッパーの宿の部屋へとおいらはやってきて、シンソウを教えてあげた。

 意外なシセンのハンニンに、ホッパーもなんといえばいーのかわからん、とゆー顔をする。そだろうねぃ、おいらもまさか実のおとーさんが、奥さんに店を任せて、ムスメの後をつけてみはっとるなんて、思わんかったんもん。

「でも、なんでそんな事をしたんでしょうね、ミルテさんのお父さん」
「あんね、ミルテさんがここ最近そわそわしとったから、何かタイヘンな事に巻き込まれたんじゃないかーって、心配しとったんだって」

 ま、ミルテさんがそわそわしとったのは、ホッパーとのデートを楽しみにしとったかららしいんけど。
 まさか、オヤが心配して自分をじーっと見とったなんて知るはずもなく、ショウタイフメイの視線にコワがっとったということだった。
 ンで、おとーさんはおとーさんで、そんなムスメの様子に、これはますますやばいんじゃないかと、出かけるたびに後をつけとったらしい。そしてー、今日も買い物に出かけたミルテさんの後をつけてるところを、おいらに発見されたという訳だったり。

「ミルテさんも、おとーさんに怒っとったよぅ。心配してくれるンはウレシイけど、チョクセツたずねるとか、違う方法もあったでしょーって」
「はは……でも、なんでもなくてよかったです」
「そだねぃ、けっきょくライバルじゃなかったんしねぃ」
「…………キアさん、なんでそんなにつまらなさそうなんですか?」
「べっつにー」

 そら、何事もなかったンは、いい事なんけど……ミルテさんをかけて、ホッパーがコイのライバルと決闘、ってのも、ちと楽しそうだったんになぁ。
 ンでも、おとーさんってのも、ある意味ライバルだよねぃ?

「ホッパー、がんばれー(肩ぽん☆)」
「えぇ、もちろんです……キアさん、今度はなんでそんなに楽しそうなんですか?」
「べっつにー(にやにや)」
 
楽しみ、一つ
キア [ 2006/10/26 1:34:13 ]
 「これ、なによぅ?」
「爺さんからの追加報酬だ」

 メノナスから帰ってきて1週間以上もたった日、巣穴でたまたまあったワーレンのおっちゃんから、袋を一つわたされた。
 じーちゃんからの追加ホウシュウの事は、伝言は見とってしっとったけど……すでにユーニスか誰かが受けとっとるのかなーと思ったら、まだだったらしい。

「そか、さんきぅ。じーちゃん元気?」
「あぁ、容態も安定してるらしい、お前らに会いたがってたぞ」
「おいらも気にかけとったん、会いたいんけどねぃ……じーちゃんのことだから、忙しいんしょ?」
「ご推察の通りだ。なに、落ち着いたら会いに来るだろうさ」
「んみ、楽しみにしとるって言っといてーね。ところで、中身なぁに?」
「知らん、お前らの報酬を、俺が勝手に見るわけにいかんだろう」
「それもそだねぃ」

 手元の袋を、もう一度見る。中身がすっごく気になったんけど、見るのをやめた。これは、3人で一緒に見るのがいいと、思ったから。



 ユーニスからの手紙を受け取ったんは、巣穴からの戻り道、フランツのおっちゃんに手紙を届ける為に、きままに亭によったときだった。
 中身を読んでから、そのまま野伏ギルドへと足を運ぶ。秋頃は狩りのお仕事が多いん、もしかしたらファントーも来とるかもしれんと思ったからだ。
 ギルドに行くと、丁度ファントーが出てくるところだった。すれ違いになるところだったんけど、ここに来て必ず会えるとゆーわけでもないんから、会えたのはラッキーだったんよねぃ。 

「ユーニスからの手紙? うん、俺のところにも来たよ」

 ファントーの帰り道にとちゅーまでご一緒しつつ、ユーニスからの手紙の事を聞くと、ファントーも、手紙を受け取ってた事を、教えてくれた。
 その話に続いておいらは、じーちゃんの追加ホウシュウのことを、ファントーに話した。

「ユーニス、来月中には帰るって、手紙にあったよねぃ」
「うん、来月のいつ頃になるかまでは、書いてなかったけど」
「おいらの所にもだよぅ……もー、ひとりでこっそりなんて、みずくさいんよねー」

 そないな事を言いつつ、おいらはちと困り顔で、手の中の袋を見た。今、ファントーとおいらの分を分けることはカンタンだけど、何と無く、それはやりたくなかったん。

「ファントー、これ、預かっててよぅ」
「なんで? キアが持っててもいいじゃない」
「おいらだと、コウキシンに負けて中身見ちゃいそなんだもん。じーちゃんが3人にってくれたんだから、3人一緒に見たいっしょ? 中身、オカネじゃないみたいなんしねぃ」

 カサカサ、という羊皮紙の音と、オカネではないカタイ感触。それらが入った袋を、ファントーにわたす。
 ユーニスが帰ってきてから、3人で中身を見るわくわくを胸にして、おいらはファントーと別れた。



 外の風は、どんどん冷たくなってきとる。もうすぐ冬なんね。
 ユーニス、早く帰ってこないかなぁ。