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【イベント】庭荒らしを捕まえろ
琴美(イベンター?) [ 2006/02/27 0:27:58 ]
 イベント『庭荒らしを捕まえろ』

 伝言板記事No.360を契機に、仕事を請けた3人の仕事ぶりを、後日談の形で宿帳に投稿して下さい。投稿回数は、参加キャラ一人に付き一回のみです。
スタイルは以前のイベント『黒き墓所』を踏襲しています。

 日程は2/24(金)に伝言板書き込みをしたことから、その翌日が各個への連絡と打ち合わせとし、2/27(月)の夕方を仕事始めとします。
 解決のめどは大体三日間。木曜日の明け方には一応の決着が付いていると思われますが、それ以前に解決しても結構です。

 では、みなさん、よろしくお願いいたします。

<参加キャラ>
キア<PL:高迫>
ファントー<PL:Ken-K>
ユーニス<PL:琴美>
 
冒険は始まる(導入)
琴美(イベンター?) [ 2006/02/27 13:39:28 ]
 
 「高級住宅街に居を構える、最近引退したばかりの商人アドバーツと申す者だ。
 さて、御依頼したい事は、我が邸宅のささやかではあるが自慢の庭を荒されてとても困っておる。
 犯人は今のところ不明ではあるが、毎晩毎晩大切な花や置物に悪戯をしおる。
 老後のささやかなる趣味を邪魔する不届き者を捕まえてくれる冒険者はおらんだろうか?
 報酬はそれなりにはずむつもりでおるので、腕の良い冒険者を待っておる。」


 伝言板に書き込まれたその依頼書を前に、冒険者が一人、考え込む。自分達にもこなせるだろうか、と。
 考え込んでいたのは”剣”で”霊”でもある、ユーニス。
 彼女が組んだ仲間は、”鍵” の草妖精キアと、”霊”のファントー。
 お互い気心知れた仲ではあっても、実際に3人だけで仕事をするのは初めてなのだ。
 しかし、この3人は実は全員”弓”、つまり野伏の技術を身につけている。

 「うん、これなら対応できるんじゃないかな」
 
 3人が各自の特技を活かせば大丈夫。そんな気持ちで初めての仕事に挑んだ彼らを待っていたのは、意外な”不届き者”だった……。

    * * * * * * *

 ささやかとは言い難い、その屋敷の門を出る。頑丈な門扉をゆっくりと閉ざし、数歩歩いたところで、三人同時にため息が漏れ、お互いに顔を見合わせる。三人の表情は昼夜逆転の仕事ゆえか他の理由なのか、僅かに目の下にクマが窺えるものの、笑みに彩られていた。
 
 「んー、これでお仕事終わりだよね」
 大きく伸びをするユーニス。
 「がんばったねー。ふぁあ、ねむい。このごろ夜も昼もいそがしかったからなー」
 あくびをかみ殺すファントー。
 「んみ、おいらお腹すいたんよー。ケッキョク今日のお昼食べられんかったし」
 困ったような顔をして、訴えるキアの声に、二人がそうだね、と頷く。

 「じゃあ、初仕事の成功を祝って、皆でごはん食べようか?」
 「いくー! カゾフ蟹のオムレツ食べたいんよー!」
 「カゾフ蟹っておいしいの? オレ食べたことないや」
 「めっちゃくちゃおいしいんよ! もー、カニが甘ぁくてふんわりでトロトロなん」

 報告と報酬の受け取りのついで、のはずなのだが、既に気持ちは早い夕食に傾いている三人。疲れもなんのその、”きままに亭”への道を駆け出していく。
 「オムレツは数量限定なん!」
 「え、そうなの? 急がなきゃ」
 「持ち帰り用も作ってもらえるかなー」

 彼らの初めての冒険譚は、それぞれの口から思い思いに語られることだろう。
 
オムレツでお祝い
キア [ 2006/03/01 1:24:00 ]
  ふわふわのオムレツは、口の中にふわっと広がっるん。タマゴはハンジュクだからこそ、ほかの具とからまってうまうま。
 数量ゲンテイだからこそ、お持ち帰りはないのだというハリートの言葉にナットクしながら、舌ヅツミ。
 明日にでもマネしてつくってみよー。

 「だけど、びっくりしたよね、こんな街中で見るなんて思わなかったな」
 「そうだね、でも今度から飼い主さんもちゃんと気をつけてくれるって言ってたし、アドバーツさんももう二度とさせないならって許してくれてよかった」
 
 ユーニスの言葉に、おいらもファントーもこくりとうなずく。
 いがいなハンニンは、なんとおサルさんだったん。しかも、飼われとるおサルさん。
 その日のうちにおサルさんは捕まえれたんけど、ちこっとヒトなれしとったん、もしかしたら飼われとるんじゃないかってファントーが言い出したのが、またまたせーかいだったんよねぃ。
 次の日にアドバーツさんにすぐひきわたさんでよかったんよね☆

 「うん、でもあの時キアちゃんが驚いて声をあげそうになったのは、どうしようかと思っちゃった」

 うみみ、ゴメンなんよ、とっさにファントーがお口をふさいでくれたんは助かったん。

 「だけどさ、やっぱり動物だから気配に敏感だったよね。キアの口を塞ぐのに少し動いただけだったのに、気が付かれちゃったもん」
 「ファントーの罠がうまく作動してくれて良かった。あのままだったら次の日から警戒されで捕まえられなかったかもしれない」

 そだねぃ、あれのおかげですんなりホカク出来たんし。庭に罠を仕掛けるといったときのアドバーツさんのお顔はにがにがしー感じだったんけどねぃ(にしし)
 あの後罠はちゃーんと取り外したんから、きっと大丈夫だよねぃ。

 「最初は暴れて大変だったけどね」
 「オレも腕引っかかれたんだよ、ほら」

 うみ、おいら引っかかれたあとがまだ痛いん。

 「それにキアちゃんもファントーもおサルさんをあたしに預かってくれって言うから、その日は宿のほうでも大変だったんだよ。確かにファントーのところはラスさんの家だから、つれて帰る訳にはいかなかっただろうけどね」

 にゃはは、ゴメンして。んでも飼い主さんのほうにもアリガト言われてお礼もらっちって、ちこっとラッキーだったんよねぃ(ぶぃ)
 それにー、おいらたち3人のおシゴト、初めてはセイコーで終わったんよ。祝してかんぱいしよ、かんぱーい!


 今度もまたガンバるぞー。(乾杯しつつ)
 
達成感と、ちょっとの疑問と。
ユーニス [ 2006/03/02 1:06:06 ]
  「初仕事の成功に、かんぱーい!」 

 オムレツ、サラダにパンにその他色々のお皿をテーブル一杯に広げて、私達は心ゆくまで遅いお昼御飯を食べていた。そろそろ夕方に差し掛かる時刻。

 私はいつものようにエールを頼んだのだが、キアちゃんとファントーは何故か紅茶や柑橘水ばかり頼んでいた。
 「ファントーはあんまり飲まないって知ってるけれど、キアちゃんはイケる口じゃなかったっけ?」
 「んみ、おいら今日はお酒よりオムレツなんよ。それに柑橘水が飲みたい気分なんよー」
 「そう、そうだよね。やっぱりお酒のにおい……をこんな時間からさせるのってなれなくってさー」
 何か、変。でも、今はとりあえず聞かないで置こう。折角の乾杯だし。

 昨日の夜半にはサルを捕まえた。早速突き出して帰ることもできたのに、依頼人を起こすのが申し訳ないのと、飼い主を探そうという理由で一旦預かって連れ帰ることになった。
 しかし、いざ連れ帰るとなると、あては私の宿しかなかった。
 ファントーは居候なので連れて帰るのが無理だというし、キアちゃんは巣穴に寄って近辺の情報集めと朝早めに戻ってきて周辺の邸宅の聞き込みをするから、サル連れでは無理だと申し訳なさそうに断ってきたのだ。
 そういわれては仕方なく、アドバーツさんの庭のテラスに「犯人確保」と「調査のため一旦場を空けるが午前中に戻る」旨の書置きを残して、私達は各々帰宅の途に着いた。

 遅く帰った私とサルに宿の主人夫婦が困った顔をしていたので、納屋で袋に入れたサルと夜明かしした。貴重な体験だったが、もう結構だ。私が気の短い性質だったら、闇霊をぶつけて気絶させていたかもしれないくらい、暴れていたから。
 今回、精霊を当てるまでもなく野伏の技量で捕獲できたことは幸いでもあり、不幸だったのかもしれない。お互いの腕を確認できたのだから幸いとしておこう。多分。

 「メイドさんやコックさんは朝早めでたすかったよね」
 「おかげでアドバーツさんが起きる前に飼い主さんみつかったんよねー」
 柑橘水をお替りしながらキアちゃんが頷く。巣穴がらみの可能性がないことを確認し、純粋にペットの可能性が残ればあとは近所の邸宅を聞き込み、という手はずだったのだ。

 「近所の屋敷、それも庭木伝いに入れそうな場所を優先的に回ったから、早かったんだよねきっと。それにしても大きなおうちばっかりで、ため息がでたよ」
 「いつかイセキで大もうけしたら、あんな家にすめるねぃ」
 「大きなたからものを掘り出せたらあっという間かもしれないよー」

 本当は「ファントーがずっとこっちにいてくれたら出来るかもね」って言いそうになったのだけれど、わがままを言うわけにも悩んでるファントーを追い詰めるわけにも行かず、そのまま飲み込んだ。

 お皿が片付いた頃、扉から射す夕陽に何故かそわそわしだした2人。  
 「もう少し食べる?」
 「んみ、今日はもう帰るん」
 「オレも、何だか寝たりないのかなー(ふあぁ)眠くなってきちゃった。それにラスに時間があれば市で買い物してきて、っていわれてるし。市が閉まる前にかえるねー」 

 何か、やっぱり、変。そう思いつつも、きままに亭で二人と別れた。

 ま、いいか。二人を信じてるし。仕事は成功したんだしね。

 明日以降、機会があったら聞いてみようと思いつつ、私も帰宅の途についた。
 とりあえず「お仕事完遂お疲れ様」、みんな!
 
祝いの前
ファントー [ 2006/03/03 22:08:08 ]
  名前はナナ。
 それが、庭荒らしの犯人の名前。ナナはメスのオナガザルなんだ。おてんばで寂しがりや。
 すらりと伸びた長い尻尾と、首につけた真っ赤なリボンが特徴。
 飼い主のゾラは、顔中皺だらけの、腰の曲がったお爺さんで、昔は、王さまや貴族のために鷹や犬を鍛える調教師だったんだって。
 ゾラの家は大きかった。ここだけの話、アドバーツの「おやしき」よりも立派だ。ゾラを気にかけていた貴族の一人が、ゾラが調教師を辞めるときに与えたものだそうだ。
 そんな大きな家なんだけど、住んでいるのはゾラと、ナナと、犬が三匹と、お手伝いさんが二人だけ。奥さんはずいぶん前に亡くなり、大勢いた娘さんたちはみなお嫁にいって、調教師として後を継いだ息子さんは今、ゾラに家を譲った貴族に仕えている。
「半月ほど前にひいた風邪をこじらせてしまってね。うつしてはいけないと、これを遠ざけていたんだが、寂しがらせてしまったようだ。それで、あんなことをしてしまったのだな」
 安楽椅子に深く沈みこんだゾラのそばに、ナナはぴったりとくっついて離れない。こうしてみていると、本当の親子みたい。といったらユーニスに突付かれた。
「ははは、まったくだ。末の娘のようなものだな。これも、私を親のように慕ってくれている」
 ゾラの皺だらけの手で頭を撫でられて、ナナは気持ちよさそうにしている。ナナのほうはゾラさんを旦那さんのように思っとるんかもねー、とキアがいったら、ユーニスに突付かれていた。
 庭を荒らしてしまったことについてはゾラがアドバーツと話をすることになり、オレたちの役目は終わった。ゾラはお礼をくれるといったけれど、それは断った。紅茶とお菓子だけで充分な気持ちだったから。
 また今度遊びに来ると約束して、オレたちはゾラの家を出た。
「いい人でよかったねぃ」
「そうだね。立派な暮らしをしているのに飾ったところもなくて」
「アドバーツさんよりウツワがおーきいと思わん?」
「それはいっちゃダメ」
 そんなことを話しながらアドバーツの邸へと歩いていたら、後ろから、小さなものが駆けてくる音がした。
 ナナだった。
「おー、お見送り?」
 キアの言葉に、ナナはキキッと小さく鳴いた。
「今度オイラのお菓子あげる。またあおーねぃ」
「袋に入れちゃってごめんねー」
 元気でね、ばいばい、ナナ。
 ナナはじっと動かずに、オレたちが角を曲がるのを見送っていた。
 
ひとまず、終わり
イベンター? [ 2006/03/04 21:54:43 ]
 3人の最初の冒険はこれで終わり。
これからも、彼らの上に幸いあらんことを。