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星降る夜に・・・
シムズ [ 2001/09/26 3:29:31 ]
 旅立ち前の夜、私は思わぬ人に出会った。
彼は別の名前を名乗っていたが……私にはなんとなく分かっていた。
彼は己の顔を仮面で隠し、世界からそして自分から逃げていた。
その時、私はふと自分自身のことを思い起こした。
私も彼と同じだ。世界から逃げ、他人から逃げ、自分自身からも逃げていた。

しかし彼は違った。彼は偽りの仮面を捨て去った。
彼は自分自身に向かい合い、己の信条を貫き通すため、自らの運命に立ち向かうことを決意した。
そして、捨て去った仮面は今私の手元にある。
貴方の勇気、確かに受け取りました。
その勇気は、私自身抱えていたわだかまりを解決させ、勇気をくれた。
ある旅人曰く、旅の途中で道に迷ったら星を一つ選んでそれに進めと。そこに希望があるのだと。
今夜は満天の星空。その重みで降ってくるのではないかと思うほどだ。
……私が向うべきは、西。西に輝くあの星を目指して進んでみようか。
そこに希望があることを信じてね

私はその夜、仮面の裏に手紙を綴った。
彼は止めとけと言うだろうが、やはり急にいなくなったら目覚めの悪くなる人達もいるでしょうしね。
この仮面はこっそり一階のどこかにおいていくことにしましょう。