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言い訳
シタール [ 2001/09/28 15:49:29 ]
 −513年9の月28日夕刻 黄昏亭にて−

はじめは、些細な会話だった。それははっきりと覚えてる。

狂騒じみかいた酒場もら夜更けとも静まってたし、客も既にまばらだった。
残ったのは俺、カイ、そして今日会ったばかり若い女(ベータ)。

そう、本当に発端はカイの何気のない一言だった。

「私はハーフエルフだから。」

俺はこの言葉が嫌いだ。
・・・いや、この言葉を言い訳に成長や変化をしない口実にするヤツが嫌いだ。

なぜならライカもそうだったから・・・会った頃のあいつは口を開く度にそういったから・・・。
劣等感というヤツってのは俺にも分かってる。そんなことは重々分かってる。
でも、その劣等感からあいつから解き放ちたかった。自惚れかもしれねえけど、それが俺のやるべき事だと思った。

そして、5年経った今は、もうそこにはそれを表だって口に出すあいつは居なかった。

カイに初めてあった時にも、それは酷く感じた。だから、あれこれ煩く言った時期もあった。
しばし別れの後、再会して、カイは強くなったと思った。

・・・でも、変わってなかった。それが無性にやるせなくなり、憤りを感じた。
あいつ、このままじゃ本当に駄目になっちまう。あいつ自身で自分を変えていかねえと・・・

こんな事・・・ラスにも相談出来ねえしな・・・

・・・カレンに相談すっか・・・・・・
 
ハーフということ
カイ [ 2001/09/29 1:04:27 ]
 「わたしは…ハーフエルフですから…」
 その一言が、シタールさんを怒らせてしまった。
 なにを言われても自分がハーフだということは変わらない…と思う。
 シタールさんには…自分が変わったかどうか考えてみろって言われたけど…

 明るくなったとはよく言われる。
 …けど、本質的なところはなにも変わってないんじゃないか…そうも思う。
 どちらにしても…よく考えた方がいいかもしれない…
 そんなことを思った夜だった…
 
鼓弓の音色
ラス [ 2001/09/30 0:05:28 ]
  「先に寝てろ」とカイには言ってあった。
 のに、朝方、宿に帰るとまだ起きていた。別に俺を待っていたわけじゃなくて、眠れなかったらしい。
 『考え事』とやらの内容は口にしなかったが、いくつか想像がつかなくもない。
 そしてその想像の先にはシタール。

 ってことで、シタールに会いに行く。場所は黄昏亭。
 
 まぁ……確かにシタールの言い分もわかる。でも多分、俺はカイの言い分もわかる。
 あ、シタール。勘違いするなよ。別におまえを殴りに来たわけじゃねえって(苦笑)。
 なんとなく……そう、ただ、何があったのかってのを確認したかっただけだ。

 『半妖精だから』。そうだな、その言葉は事実だ。
 逃げてるとか何とか…そういう風にも使えるし、そう使ってる奴らもいる。意識的にしろ無意識にしろ。
 何をどうしようと、半妖精である事実は変わらないなら、それを受け入れるだけ。そうすることのどこが逃げなんだと…そう言う奴も多いんだろうな、実際。

 最近の…旅から帰ってきてからのカイは変わったとは思う。そして同時に変わってないとも思う。
 でも俺は別にそれをとやかく言うつもりはなかった。
 カイはまだ若い。なら時間はまだある。
 今まで否定され続けて、誰にも甘えられなかったのなら、俺くらいは甘やかしてやってもいいかとも思ってた。
 …………そう思うのは、多分俺が甘いからなんだろけど。

 ん〜…なんか……言葉にしにくいな。
 とりあえず、シタールが俺に言いにくそうにしてたのは、俺も半妖精だからってことなんだろう。
 ってことは…やっぱ俺も、シタールの目から見ればあんまり変わってねえように見えんのかな。

 黄昏亭からの帰り道、奴が弾いてた鼓弓の音色を思い出しながらふとそう思った。